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「Q.異世界でラノベが読みたいのですが?」「A.ダンジョンへ行きなさい」  作者: toichi
第二章 パーティ組んだからダンジョンへ!
18/52

第17話


「これはこれは……誰かと思えばアレイ君じゃないか」



 アレイのサポート(?)を受けつつ、ダンジョンを探索するオレ達は奥からやって来る二人組の男女に遭遇した。


 男女の内、男は整った容姿に特徴的な長い耳から推測するにファンタジーではお馴染みのエルフだろうか。エルフと言えば魔法使い職だと相場は決まっているが、眼前の男は高そうな甲冑に身を包み腰には長剣を差していて、さながら騎士と言った出で立ちだ。



 一方、女の方はと言うと真っ黒い長髪に切れ長の目、身長は多分、比較的(ここ重要)低身長なオレと比べても一回りは大きく、その冷徹な雰囲気からラノベなら「冷徹の美女」とでも呼ばれてそうな女性であった。



 二人はオレ達を確認すると、男の方が侮蔑を込めた表情で口を開く。



「まだ冒険者なんて職業をやっていたのかい? 言っただろう、君はその辺の農家で畑を耕すような、そんな泥臭い職業がお似合いだって。そんな私の忠告を無視するとは君はなんて頭が悪いんだろうね。まったく理解に苦しむよ」


「な……なん、だと……」


 一方でテンプレ気味な挑発を受けたアレイはと言うと、拳をわなわなと震わせる。


 なんだ、こいつ……、知り合いか?



 オレは「友人と一緒に歩いていたら、その友人が自分の知らない他の友人に出くわした時の疎外感」のような、そんな気まずさを覚えていると男に視線を向けられる。



「それと君は……ん? お、おい、君……どうしてそんな服を着ているんだ? 見た目は女性のようだが、君は男性だろう? ……まさか、変態か?」


「なん、だと……」


 オレは彼の言葉を受けてアレイと同じくように拳を強く握り締めた。


 こいつ……今、オレの事をなんて言った?



「おい、お前! なんて言ったよぉ!? オレの事を今、なんて言いやがったぁ!」


 気付けばオレは感情を抑えきれずに声を出すと共に彼の元へと歩いていた。



「ツバキ君! 待ちたまえ!」

 そんなアレイの静止も聞かず、オレは男へと歩いていき、そして目の前で止まる。


 彼はそんなオレを見て、やれやれとばかりに肩を竦めた。



「……なんだ、君は。さっきのは軽い挨拶じゃないか。それに君のその服装は誰が見てもおかしいものだ。そんな君に変態と言って何が悪い?」



 オレは度重なる彼の言葉に奥歯を噛み締め、拳を突き出す――――



「ありがとう! オレの事を男だと一目で見抜いてくれて!」


「私は売られた喧嘩は買う主義でね。良いだろう、受けて――――ん?」


 突き出した両の手で彼の右手を握ったオレは感涙のあまり声が震えた。



「今までオレは人よりちょこっっっとだけ少ない男性ホルモンの所為でマトモな扱いを受けて来なかったんだ! やれ『お前は友達としては見れない……これから恋人として俺の傍に居てくれないか』だの『お前の事は親友だって言ったけれど、実はずっとお前の事が好きだったんだよ!』だの! 一緒に下校すりゃ『二人きりだね……』とか訳の分からない童貞思考を発揮してくる馬鹿もいるし、小学校で縦笛やら体操着やら上履きやら靴下やらその他諸々盗まれて、『これって……もしかして苛め?』とか嘆いてたら、実は匂い嗅がれてあまつさえペロペロされてたとか一生もんのトラウマだぞ、ふつー! しかも女子にアタックするよりハードルが低いとか距離が近い女友達みたいなものとか、そんな扱いをされ続けてバレンタインとかになるとアホみたいにチョコを要求されんだぞ! オレだって女子にチョコ貰いたくてそわそわしてたっつーの! どういうことだよ、『友チョコだよ、友チョコ』とか言った中林! テメェ、ちょっと前にオレに告白してきただろうが! 魂胆が見え見えなんだよ、死ね! 終いには体育のプールで『天道と男子を一緒に入れるのは教育上良くないのではないか』なんて学級議題が取り上げられるしよ! おかしくない? おかしーよなぁ!? 高校じゃあもしかしたらこんな事無くなるかもって思ったけどそんな事無かったよ! むしろ増えたよ! どういうことなの! 男子校だからだよ! オレは人より男性ホルモンが少ないだけの、れっきとした男だっての! それが……それを……貴方様はオレを一目で男だと見抜いてくれた! ありがとう……ありがとう……」




 今だったらオレはこの人の靴の裏までペロペロ出来る自信がある。


 女子に告白しても「え? 私、そういう趣味じゃないから。ごめんね」みたいな反応された中二の冬以降……オレがレズみたいな疑惑が流れて。ホント、どういうことなの……。


 ああ、辛かったなぁあれは……。




「…………、ええと、どういたしまして。なんか大変だね」


 そんなオレの反応に男は明後日の方向を向きながら、そんな事を口にする。



 どうやらオレの溢れんばかりのトラウマが彼を怯えさせてしまったらしい。


 押さえなければ……押さえなければ……。

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