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「Q.異世界でラノベが読みたいのですが?」「A.ダンジョンへ行きなさい」  作者: toichi
第二章 パーティ組んだからダンジョンへ!
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第12話


 メルエスタの街を出ると、草原地帯が続いていく。


 街路が整備されたこの近辺は魔物などに襲われる事も殆ど無いらしい。


 そんな街路をオレ達は魚車で移動していた。



 この魚車を引く巨大魚『スカイフィッシュ』にはさながら産卵の為に生まれた故郷へと戻る道筋を覚えている鮭のごとく通った道を覚える習性があり、目的地までは何の指示を出す事も無く連れて行ってくれるらしい。 



 そのスカイフィッシュという名前は某UMAを連想されるが、空に浮いている事から文字通りの名前だと言う事が分かる。



「何だい、そんなキョロキョロして。それとも始めてのダンジョン攻略って事で気が高ぶっているのかい?」

 魚車の横に座った一見少年に見紛う外見をした少女がからかうようにして笑った。


 その姿は昨日のようにローブこそ着けていなかったが、胸当てや篭手、腰には短剣を差していて戦闘態勢が整えられている。



 ダンジョン攻略。


 そう。本日、オレ達はギルド結成にして初のダンジョン攻略に挑むつもりだった。


 今日は異世界転生から二日目。



 何だかんだでパーティを組む事となった少女、アレイと話し合った結果、様子見ないしお試しという事で臨時のギルド及びパーティ編成となっている。


 例の写真を懐に収めておいてなんだが、実際のところ彼女がダンジョンに置いてどれだけ役に立つかオレには分からないのだ。



 予想通りにポンコツかも知れないし、あるいは予想外の活躍を見せるかも知れない。


 だからこそ一先ずの仮契約という形にしておいて、ダンジョンを一つ攻略出来た際には改めて正式な契約を結ぶ手はずとなっている。


 アレイも少々強引に話を進めてしまった事に若干の引け目を感じているのか、オレの提案に素直に従ってくれた。



 ……くくッ、計画通り!



 そんな形でダンジョンへと出発した訳だが、太陽はまだ天辺を過ぎておらず、時間にすれば朝の十時くらいだろう。


 異世界だと言う事で時間の概念はどうなっているのか、と疑問に思ったが日本と同じ読み方をするそうだ。



 昨日のカメラと良い、日本より伝えられし知識は色々なところに散見している。


 日本語も何の問題もなく通じるし、本当に異世界に来たのか疑問に思うところである。


 だが、律儀に道を進みながら空中を浮かぶ魚が異世界である事を思い出させてくれる。



「そういや、魔法とかってどうなっているんだ?」

 オレは何の気無しにアレイへと尋ねた。


 魔法。



 それは異世界転生したからには是非とも身につけておきたい技術である。



「魔法? 君の国にはそういうの無かったのかい?」


 アレイは不思議そうに聞いてくる。


「あー……あるにはあっただろうけれど、オレはあんま知らなくてさ」


「へー、結構常識だと思っていたのに、そういう事もあるんだね」


 オレの曖昧な返しにアレイは何ら疑問に思う事なく頷いた。


 こういう時、こいつの大雑把というか単純な性格は便利である。



「まあ、良いだろう。じゃあ、このボクが魔法についてきちんと伝授してやろう!」


 アレイはそう言って嬉しそうに胸を張った。



「まず文字が魔力を持つって話はしたよね?」


「ああ、そう言っていたな」


 文字が魔力を持ち、魔力を持った文字が合わさり意志を持つ。


 だからこそライトノベルがダンジョンを形成するという話は記憶に新しい。



「その辺を利用するのが『魔力文字』だ。各文字と予め契約しておいて魔力に指示を出せるよう準備を整えておく。そして指示の通り魔力を動かして発動させる、それが魔法さ」


「……よく分からん」


「まーまー、君が分からないのも無理はない。理解が遅いからと言って嘆く必要はないよ」


 間違いなくこいつの説明が下手だと思うが、オレはぐっと堪える事にする。



 ここで下手に反論して、こいつが泣き出してしまったら話が進まん。


 それからアレイの小馬鹿にした表情を浮かべつつの下手な話を要約するとこうだった。



 まずこの世界に置いて空気中には酸素やら何やらに混じり、魔力が混じっている。


 そして、この魔力、実のところ意思があるらしい。



 意志があると言っても大層なモノではなく、本能しかないような極々簡単なものだが。


 どうやら文字の集合体として高い魔力を持つライトノベルがこの世界に置いて独自の意思を持つのにもこの辺が関係しているとの事である。



 それはそれとして魔力の方はと言えば非常に素直で従順であるらしい。


 命令されれば魔力は簡単に従ってしまう。


 ただ、この命令と言うのが些か難しい。


 魔力にはオレ達の使うような日本語は読めないし、声も聞こえない。


 そこで魔力に読めるような文字をオレ達が使用し、言う事を聞かせる訳だ。



 その文字とやらが「魔力文字」なのである。


 魔力は全ての生命、現象の源であるとされており、魔力に命令を与えれば、その通りの物質に変換、命令通りの現象を起こしてくれる。



 例えば「風」という魔力文字を使用したとすれば、魔力は命令通り「風」を起こす。

 つまりは魔力に魔力文字で指示を与え現象を起こす事が「魔法」なのだ。



「そういや君、帰る手段がどうとか言ってたよね?」


「ああ。そういやそうだった」


 ラノベが手に入ると言う事ですっかり忘れていたが、当初の目的は現実への帰還だ。


 場合によっては暫く帰らなくても良いんじゃないかなって思い始めている訳だが……、当然帰る方法の確保は絶対条件である。



「つまりそれに当たる魔力文字と契約すれば良いと思うんだよ。『帰』とか『戻』とかだね」


「それは今すぐに契約出来るもんなのか?」


「んー、現実的に考えて難しいんじゃないかな。この辺でそれに該当する魔力文字を持った魔物なんて見た事無いし……」


 アレイは頭を悩ませるようにして唸った。



 やはりと言うかなんというか。どうもそう簡単にはいかないらしい。



「魔力文字と契約するにはどうしたら良いんだ?」


 一先ずオレは他の事に目を向ける事にした。



 帰還は現在、絶対優先事項ではない。


 ならば、ゆっくり考えれば良いだろう。



「基本的に条件は三つあるよ」

 オレの質問にアレイが答えた。



「一つ、文字についての知識を所持している事。二つ、魔力文字を契約する為の契約士を用意する事。三つ、魔力文字の固有魔力を所持していること」


「一つ目と二つ目については何となく分かるが……、三つ目はどういう事だ?」


「魔力文字を扱うにはその固有魔力、つまりはその魔力文字を扱う魔物を倒すなり、食べるなりして固有魔力を体内に取り込む必要があるのさ」


 魔力は生命や現象の源である。


 つまりそれはオレ達人間や他生物にも言える事なのである。



 魔物の中には魔力文字の使用する生物がおり、その生物の魔力をオレ達の体内に取り込む事によって魔力文字を使用可能とする固有魔力の取り込みが為されるという事らしい。


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