崩壊と転移
やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい_______________
瓦礫の中を、鳥に狙われる蟲のように、はたまた”怪物”に襲われる人のように逃げ惑う。
いや、後者はこの場合比喩ではない。
すでに焼け野原と化したこの場所を、ひたすらに、がむしゃらに逃げている。
何が起こっているのか。そんなことを考える暇はなかった。
息の続く限り、なるべく遠くへ、走るのみ。
「う___っわぁっ......」
が、努力虚しく、俺は前方に激しく転倒する。
すぐ後ろに、”怪物”の気配。もうだめだ、立ち上がる気力どころか、振り向く勇気すら無い。
全身が脱力し、疲れすくんだ足は、むしろ転んだことに歓喜しているかのようだ。
「%ぼぅ___ゔぃじ@__ゔ#ぇ__」
何を言おうとしているのだろう。
何も知らされず死んでゆく俺を憐れむ言葉か。それとも、逃げることを諦めた俺への嘲笑か。
どっちでもいい。どうせ俺は助からない。
と、思った。
「オイ、手を伸ばせ」
耳に入ってくる声があるまでは。
”怪物”の声ではない、しっかり聞き取れる声で。
「いーから、早く」
完全に停止した思考の代わりに、オート操作となった俺の身体が、彼女の言うがままになる。
手が手に触れる感触。その直後___
意識、時間、時空、場所。全てにおいて『転移』が起こった。