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海と友情のスイカ割り

二話です、よろしくお願いいたします。

「うっみだぁぁぁ!!」


「海だねぇ」


 夏休み二週目の日曜日。

 俺と幼馴染みは、家族で海に来ていた。


「準備体操したな? んじゃいくぜ!!」


「待ちなよ、親と一緒じゃないと危ないよ」


 目の前の海によりテンションマックスな俺を、幼馴染みがたしなめる。


「父さん、早く早くっ」


「待ってくれ、今行くからっ」


 俺は父さんを待ちきれず、父さんの手をつかんで走り出す。


「元気だねぇ……」


「まったくだわ。我が息子ながら元気すぎよ」


 浜辺に敷いたシートの上に横になった母親二人が何かを言っているが、俺は関係ないとばかりに父さんと泳ぎまくった。


………………

…………

……


「つっかれたぁ」


「泳ぎっぱなしだったもんね?」


 あれから時間も忘れて泳いでいると、幼馴染みにお昼だと呼ばれた。

 父さんと戻ってきた俺は、両親が用意してくれたお弁当を食べる前に、シートに大の字に寝転んだ。


「まったくもう、仕方ない子ね」


「いいじゃないの、元気が一番よ」


 俺は寝転んだ事で疲れが出たのか、そのまま意識を失った。


………………

…………

……


「起きなさい。スイカ割りするわよっ?」


「スイカ割りっ!?」


 母のスイカ割りという言葉に反応し、俺は飛び起きる。


「やるやるっ、スイカ割りやるっ!!」


 俺はお昼を食べられなかった事も忘れ、元気一杯に跳ね回る。


「準備できてるぞー」


「こっちへおいでー」


 父さんと幼馴染みの父さんに呼ばれる。


「ほら、行くぜ」


「うわっとと」


 俺は座っていた幼馴染みを引っ張ると、そのままスイカ割りの場所へと向かう。


「それじゃやるぜー?」


「目隠ししたら二十回回るんだぞ?」


「わかってるよ。一発で当ててやるっ!!」


 俺は気合いを入れると、目隠しをしてから二十回回る。


「うわっ、わわわっ」


 予想以上にこの状態は大変で、俺は一瞬前がどこなのかさえわからなくなる。


「どうしたー? 歩くことすらできないのかー?」


「仕方ねぇ奴だなぁ。頑張れよー」


 父さんたちがヤジを飛ばしてくるが、俺はふらふらしたまま動けない。


「大丈夫? 僕が手伝うよ」


「お、おぅ。ありがとよ」


 上下左右すらわからなくりそうだった俺の横に、幼馴染みが寄り添ってくれる。

 おかげで何とかしっかりと立てた俺は、幼馴染みにお礼を言うと、だんだんと感覚を取り戻していく。


「もう大丈夫だ。離れててくれ」


「うん、わかった。頑張ってね」


 目隠しで前は見えないが、どちらが前かはわかる。

 これならもう大丈夫だと確信し、幼馴染みに離れてもらう。


「まっすぐだまっすぐ。後十五歩くらいだぞー」


「いやいや、斜め右前に術歩くらいだ」


「うっせー。父さんたちの事なんか信じねえぞ!!」


 そう強がるも、スイカの場所はわからない。


「右に二歩、真っ直ぐに五歩だよ」


 そんな時、幼馴染みの声が聞こえた。

 俺はその言葉を信じると、慎重に歩き出す。


「もう少しもう少し。左にちょっと。……そこ。そこで振り下ろしてっ」


「とりゃぁぁぁっ!!」


 バコーンと言う音が響き渡り、俺の振り下ろした棒が見事にスイカに当たる。


「よっしゃぁぁぁ」


「やったぁぁぁ」


 俺は目隠しを外すと、幼馴染みのもとへと向かう。


「ありがとな。おかげでやれたぜっ」


「そうかな? 力になれたなら何よりだよ」


 俺は幼馴染みに喜びを伝えると、父さんたちに向けてどや顔する。


「まぁ、割れてねぇんだがな?」


「一回で割るとか無理なんだけどね」


 父さんたちの言う通り、スイカにはヒビすら入っていない。


「うるせぇー。当てたんだから勝ちなんだよっ」


 俺はその場でニカっと笑うと、満足して父さんたちのもとへと向かった。



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