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飛行中のエトセトラ

全然思ったほど進まず、です( ; ; )

建物を抜け、少し開けた場所に出る。

そこでは、ダスカンその他10名程(恐らく剣士候補生と推察される)が飛龍に鞍を着けたり等々、遠征の準備を行なっていた。


「お待たせ!皆、こちらが今日手伝いをしてくれるクラウディくんだ!君達の食事を運ぶんだ。虐めたり、怪我させたりしたら、食事は無いぞ!」


「「「「イエス、サー!」」」」


部下達は笑いながら答えた。

どうやらジルさまは、剣士としてだけでなく、上官としても優秀らしい。

よろしく、と笑顔で挨拶される。


「ぅし!準備は出来たぜ!

おっと、忘れちゃいけねぇ、助っ人!!

これ背負っとけ!!」


俺は食事の入った背嚢をダスカンからキャッチした。水も入っているからか、結構重い。


「クラウディくんは、僕の後ろ。

最初はちょっと揺れるからね。僕か、手前の手綱をしっかり握っててくれ!」


おっかなびっくりで、龍の背中に乗ってみる。

飛龍が呼吸するたびに上下する自分の身体が、心の高揚感を後押しする。


「よし!行くぞ!上昇!!」

ジルの掛け声で順に皆が飛び立つ。

そのタイミングの完璧さに、この隊の練度の高さが感じられた。


「どうだいクラウディくん!!風を切る感覚が非常に心地いいだろう!!!?」


1000mほど上昇したところで、ジル様に話しかけられた。

しかし、悲しいかな、自分には応答できる余裕が全く無かった。


何故ならば、未だ安定した気流に乗っていなかったので、馬車が空中に浮いた時の様な浮遊感が継続しており、何とも言えぬ気持ち悪さが自身を襲ってきていたからである。


「うぐ、、」


漸く出た一言は、言葉とは言えない、ただの呻き声であった。


「クラウディくん?」

ジルは振り返って自分の状態を見た。

一瞬きょんとした彼は、あぁ!と声を上げ、合点がいった様に頷いた。


「すまない、何の訓練もしていない君が酔うかもしれないという事を失念していたよ。


・・・アル!!酔い止めをくれないか!!」


ジルは左斜め後ろを飛んでいた錆色の髪をした青年に合図した。


嫌な予感がする。


青年はジルの命令を快諾すると、自分達の背後に並んできた。


「了解しましたァ!じゃ、サン、ニー、イチ!で渡しますね!

行きますよォ!

サン、

ニー、


イチ!」


「ゥウワアァァアアアァ!!!!!」


投げて渡すのかと思いきや、アルは背面飛行で自分達の頭上すれすれを飛び、そのまま宙でヒラリと元に戻った。


「その袋の中に何時も入ってるっスから、取り出して君の持ってる水で流し込むといいっス!!」


にかっと笑顔でアルが説明してくれた。


「ありがとうございます。」

心の中で、やる前に言って欲しかったという一言は飲み込んだ。


もし落ちたらと思うと、ゾッとする。

つられて、下を覗き込んだ。


すぅ、と背筋が冷えるのを感じた自分は、何も見なかったことに決め、薬を飲むと目を閉じた。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



ようやく気分が落ち着いた頃、遠征の目的場所に到着した。


そこは、樹林が生い茂った何の変哲も無い森であった。


「降下する!クラウディくん!つかまって!」

「はい!」


ジルは自分を気遣ってか、周囲が垂直降下(実際はもう少し緩やかだが、クラウディにはその様に感じた)する中、旋回し円を描きながら降下した。


「やぁやぁお疲れ様!

気を付けて降りてくれ!」


「了解です。」


自分は差し出された手を有り難く借り、数刻振りの地面を踏みしめた。


連続投稿しまする٩( 'ω' )و

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