「第二話 二号機、見参」
ようやく二話が出来ました。一話よりボリューム感を考えて完成させました。
一読、よろしくお願いします。
何とか敵の攻撃を退けたユウとシン。無事演習場のある連合軍の島に到着した。
「よく来たね、さあかけたまえ」
「はっ!」
この島の司令官の言葉に、ユウとシンは敬礼し、着席した。
「報告書を見たよ、道中大変だったようだね」
「いえ、それほどでも。それよりグライデンを勝手に使って申し訳ありません」
ユウはそう言って謝罪した。
「いや構わんよ、場合が場合だったしな。現場判断ということだ」
司令官はそう言ってユウをなだめた。
「ところで司令官、ユウから聞いたことですが、ここにはグライデンの二号機があると言うことですが?」
「おや、さすがに耳が早い。それじゃ早速見に行くとしよう」
「はっ!」
三人は、グライデンの二号機がある格納庫へと向かった。
一方その頃・・・。
「ジェイク少佐、予定ポイントに到着しました」
「よろしい、敵の動きは?」
「目立った動きはありません」
「分かった、水陸機ダップとゼル隊の発進態勢を急げ」
「はっ!」
部下に命令を下しているのは、ジェイク・リー少佐。
帝国軍切ってのエースパイロットである。
現在は、敵の新兵器の情報を得て捜索の任務中だった。
すでにグライデンを発見し、上層部からも追跡の命令が出ていた。
ユウとシン、司令官の三人は島の山中にあるグライデンの格納庫に入った。
「これは立派な施設ですね」
「いやいや、本部のものに比べればこぢんまりしたものですよ」
ユウと司令官はそう言葉を交わした。
「ところでグライデンの二号機はどこに?」
シンははやる気持ちを抑えてそう言った。
「ははは、そう慌てなくてもいいですよ。一号機と一緒に置いてあります、まいりましょう」
そう言うと司令官は、ユウとシンをグライデンの格納庫に案内した。
そして、ユウとシンはグライデン二機を目の当たりにしたのだった。
一号機はゴッドアーマー形態で格納され、二号機は隣に並んで立っていた。
「あれが君が乗る二号機だよ、シン大尉」
「おお、あれが」
二号機は一号機より武骨で、重厚な印象だった。
「この機体は地上用だが、ブースターを装着すれば一号機のように飛ぶことが出来る。それに
この先予定されている、量産化のベース機になる予定だ」
「そうなんですか? すごいです」
シンは今にも小躍りしそうだった。
その時だった。
ウォォォォォォォ!
島中から警報音が聞こえた。
「ダップ隊、ゼル隊発進しました。続けてミサイル発射します」
「よし、念のため私のゼルも用意しておけ」
「了解」
ジェイク少佐の命令一下、帝国軍部隊が行動を開始した。
「敵襲、敵襲!」
「何、それで数は?」
「ゼル四機、ダップ三機です」
司令官の言葉に、部下がそう言って答えた。
「戦闘機部隊直ちに発進、戦車隊も急がせろ!」
司令官は部下にそう命じた。
「司令官、グライデンを。ゴッドアーマー相手にはそれしかありません」
「グライデンは二機とも最終チェック中だ。もう少し待ってくれ」
「・・・了解」
「くそっ! こんな時に」
ユウとシンは悔しさの握り拳を作った。
その頃、島では空と陸から連合軍と帝国軍の戦闘が繰り広げられていた。
連合軍は戦闘機部隊と戦車部隊で応戦するも、やはり最新兵器である帝国軍のゴッドアーマー
部隊には歯が立たず、次々破壊されていった。
「司令、防衛線が間もなく突破されます!」
「何、もうか!」
部下の言葉に司令官は蒼白した。
その時だった。
「グライデン二機、最終チェック完了しました。いつでもいけます!」
格納庫にいた整備兵から、そんな声が聞こえた。
「よし、これでいける! 司令官、いいですね!」
「お願いします」
ユウとシンはそう司令官に進言した。
「言うまでも無い。こちらからお願いする、ユウとシン両大尉よ、グライデンで出撃せよ!」
「了解」
二人は司令官に敬礼した。
「敵部隊ほぼ鎮圧しました」
「よし、敵の新兵器の場所を探すぞ」
中隊長の命令で、敵機が動き出そうとしたときだった。
ブォォォォォォ!
島の山頂から勢いよく飛び出す物があった。
「あれは?」
「データ照合・・・、例のゴッドアーマーです」
「よし、ついに出て来たか。迎撃用意」
中隊長の命令で、各機攻撃用意に入ったときだった。
ウォォォォォォォン
滑走路のエレベーターがせり上がって、何か出て来た。
「何なんだ」
「データ照合・・・、ありません。別のゴッドアーマーです」
「何、もう一機あるというのか?」
敵部隊はこの衝撃にうろたえていた。
「もっと早くキャンサーを起動させておけば、ここまで被害を出さずに済んだのに・・・」
ユウはため息をついた。
「そう言っても仕方無い。二人で片付けるしかないだろ、な?」
シンは励ますように答えた。
「それよりグライデンの調子はどうだ? いきなり実戦だぞ」
「何を言うユウ、そっちもほとんど同じだろ? それより始めるぞ」
「おう」
二人はグライデンで攻撃を開始した。
向かってくるゼル隊に、一号機が空からビームガンを両手から放ち、二機一度に破壊した。
「俺も行くぜ!」
シンも二号機をローラーダッシュで行動した。
ダップ三機は腹部からビームを放ったが、その重厚な姿とは裏腹に快適な走行でかわしていった。
そして、一機に右手のビームガンのソードモードで腹部を貫いた。そして、素早く抜いて離れると
爆発した。
「よし、まず一つ」
シンはコクピットの中でそう呟いた。
「やるな、よしこっちも」
ユウも一号機で攻撃を続けた。ゼル二機は避けるのが精一杯だった。
二号機は胸部アーマーを開け、ミサイルを放った。
「!」
虚を突かれたダップ二機は、全弾を食らったが重装甲のおかげで大したダメージは無かった。
「隙あり!」
二号機は両手からビームガンを放ち、ダップ二機の重装甲を貫き、二機は爆発した。
「よし、陸上部隊は鎮圧したか。ユウ、後はそっちだ」
「分かった。後は任せろ」
ユウは一号機を加速させた。
その時だった。
ドビュン! ドビュン!
真下からビームが降って来た。
ユウが見ると青い色をしたゼルがビームライフルを撃ってきた。
「まさか私が出て来ないといけないとな」
乗っているのはジェイク少佐だった。
「ゼルがビーム兵器とは。隊長機か」
ユウも応戦するも、動きが速く当たらない。
「えらいことになったな、三対一か」
「こらこら、俺を忘れるな。地上から支援する!」
シンはそう言いながらビームガンを放った。
「どうします? 少佐」
「地上のやつは任せる。こいつは私がやる」
ジェイク少佐はそう命令すると、一号機に迫った。
ビームを乱射しながら、一号機に接近するジェイク機。
ユウは左のビームガンをシールド展開し防御する。
「なんて防御力だ。ならこれで」
ジェイク機は、右腰から左手でビームサーベルを抜いて一号機に斬りかかった。
「なんの! こっちにもあるんだよ!」
ユウは右腰から右手でビームサーベルを逆向きに抜き、ジェイク機の左手を切り裂いた。
「これはおまけだ!」
一号機の頭部からバルカン砲を発射し、ゼルのメインカメラに命中した。
「ちっ、連合のゴッドアーマーは化け物か!」
ジェイク機は急いでその場を離れると、撤退信号を放った。
二号機と戦っていた部下の二機は、それに気付くとジェイク機と共に戦闘空域を離れた。
「どうやら退ける事が出来たな」
「そうだな、ユウ」
そこへ司令官の通信が入った。
「二人ともご苦労だった。礼を言わせてもらうよ」
「いえ、そんなことは」
「命令通り働いただけです」
ユウとシンは淡々と答えた。
「しかし、これでは演習は出来ませんね」
「そうですね。敵に知られてしまったわけですし」
二人が残念そうに答えると、司令官から意外な言葉が出た。
「心配することは無い。実はすでに君たちの乗る母艦が向かっておる」
「そうなんですか? 司令官」
「対応が早いですね」
「こんな時も考えておるよ。一両日中に到着後、早速乗ってもらう、いいかね?」
「了解」
ユウとシンは口を揃えて答えると基地の中へと戻っていった。
一方その頃、ジェイク少佐を乗せた潜水艦はゼル三機を回収後、島の様子を偵察していた。
「少佐、切られた左手は基地で修理しないとだめですね。後の二機は、大丈夫ですが・・・」
「そうか。あと補給も必要だしな、しばらくは動けんか。とにかく敵に動きがあったら報告
しろ」
「はっ」
「さて、しばらくは様子見か」
ジェイク少佐は椅子に座り、ふっとため息をついた。
その頃、大型戦艦が一隻、島へと向かっていた・・・。
(第三話に続く)
いや、完成したら、前回よりボリュームつけすぎですね。反省します。
三話以降はもう少しスリムにしたいと思います。