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僕らの大切なもの

とある村に一人の少年がいました。心優しい少年です。

ある日、少年が朝起きると、そこにはくまのぬいぐるみと小さなカレンダーがありました。そのカレンダーの、今日の日付のところには、赤丸がつけてありました。それを見た少年は、今日が自分の誕生日であることを思いだしました。


「誕生日、か…最近親とも喋ってないし、ケーキなんてものも、ずっと食べていないな」

少年は、何か買ってこようと思い、普段はなかなか着ない私服をクローゼットの中から取り出そうとしーー、すぐそばにあった、くまのぬいぐるみに足をぶつけました。

「なんだか邪魔だな、どかそう」

すると、少年の目に、何かが落ちているのが見えました。ぬいぐるみの所には、幼い少女の拙い字で書かれた手紙が置いてありました。

「だいすきなおにいちゃんへ おたんじょうびおめでとう」


手紙を読み終わった少年は、先程までの表情とは打って変わって、青ざめていました。

「俺に妹なんていないぞ……?」

彼がそう言った時、部屋の隅の方で何かが動きました。

「誰かいるのか……!?」

動いた方に視線を向けると、そこには、忘れられていた少女の写真たてがありました。

「こんなところに…いつの間に」


そこに写っている、少年と一緒に笑顔で笑う少女は、数年前に事故で亡くなった、少年の妹でした。彼は自らの妹の誕生日を忘れていたのです。

少年が中学二年生の時、彼の両親は、彼のことをとてもひどく扱い、小学四年生の妹のことばかり甘やかしていました。そのことが原因で、彼は両親の事を嫌い、妹の事も嫌い、妹が亡くなっても、何の感情も抱きませんでした。当然、写真たても、部屋の隅にまで追いやっていたのです。


久しぶりに妹の眩しい笑顔と、純粋に笑う彼自身を見た少年の頬には、光るものがありました。

「あいつ……寂しかっただろうな。俺たちがこれより小さかった頃は二人で仲良く遊びに行っていたのにな。」

そう言って彼は写真たてを、今度はちゃんと目に見えるようにと、棚の上に大切に置きました。


今はもういない少年の妹は、いつまでもずっと彼のそばで笑い続けています。

読んでいただき、ありがとうございました!


*スペシャルサンクス*

メガネっ娘さん(この物語を四コマ漫画にしてくださいました。活動報告のところにリンクを貼ったので是非見てください)

たまさん

スカーレットさん


読者の皆さん

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