#004 異世界転生のテンプレート
2016年4月11日
2016年10月21日
「世界には因果というものがある」
僕が事故で死んで、白い光の中の空間で目を覚まし、少し経ってから神様は言った。
「それは、時に運命と呼ばれ、カルマと呼ばれ……」
「テンプレとも呼ばれるんじゃ」
この時の幼女神はドヤ顔だったようだが、僕は自分が死んだ瞬間の恐怖に悶え、混乱と狂乱に陥っていたので、知る由もなかった。
幼女神はそんな僕を見て言った。
「だいじょぶ、だいじょぶ。お主の死には、異世界転生のテンプレ使うから」
その言葉で僕は立ち直り、目を輝かせた。
曰く、
「お主の前世の世界は不幸のテンプレが集約された世界じゃった。魔法もないし、かなり努力しないと報われない」
「これから行く世界は典型的なテンプレ異世界で、前世と比べれば、とても生きやすい」
「ただし、魔物と魔王が居る」
「魔王さえなんとかできれば、お主の次の人生は順風満帆じゃろう」
僕は一も二も無く頷いた。
大好きなネット小説で読んだ憧れの異世界転生。
どちらにしても、転生しなければこのまま死ぬだけだ。
行きましょう!異世界!
「そんでチートじゃがな、三百ポイントやるから」
「ポイントですか?」
チートと聞いて僕は小躍りをして、それから質問した。
曰く、
「次の世界では、レベルアップと称号取得の度にポイントが手に入る」
「そのポイントを振り分けて、自身を強化していくように」
「使徒の加護があれば、ポイントの振り直しが出来る」
ふむふむ、と僕は頷く。
「ポイント振り直しはともかく、メニューは向こうの住人には使えんから、バレんようにな」
「たまーにメッセ送るから。メニューから見るんじゃぞ」
チートはそれだけだと言う。
正直、実際にあっちに行ってみないと利便性がわからない。
幼女神は、「これと、これと、これと、これは最初からとっといたほうがいいの」と言って僕の能力を操作したようだった。
僕が何もしない間に、ポイントの残りは五十まで減っていた。
振替自由だって言うし、とりあえずこのまま行こう。
「向こうでは15で成人になるからの、14くらいにお主の年齢設定しとくから」
最後にそう言い残して、光の世界は消失した。
「あの!武器って……」
この言葉が届かなかったことを、僕はこの後、嘆くことになる。
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※※※(14)(Lv1)/※※※
【ポイント残/総】
70/320
【ステータス】
HP:100
膂力:10
頑強:10
敏捷:10
精密:10
魔力:10
【称号】
《使徒(300)》主神の加護を得た者。神殿の庇護を受けやすくなる。神官と同じようにPの振り分けができる
【能力】
・メニュー(0)メニューを開くことができる(術者にしか見えない)
・ポイント再配分(0)ポイント振分をやり直すことができる
・欺瞞(50)ステータスを改ざんして正しく見えないようにする
・契約魔術(100)約束や隷属の儀式に付与することで契約内容が保証される(ギルドと神殿の認可と国発行の免許が必要)
・攻撃知覚(50)攻撃情報を視認できるようになる
・動作最適化(50)所作を最適化し、目的に則した動きができるように補助する
【装備】
武器:なし
防具:布の服
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2016年4月11日
2016年10月21日:表現、誤字など修正しました