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8話 真実を伝えること

団員らが眠る中、朝までミアノは起きていた。

先程の出来事について考えていたのだ。

あれから、団長は帰ってきていない。


「団長はまだかな」


ミアノは1人で、団長の帰りを待っていた。

あの話が嘘だと思いたかったが、この耳で聞いた以上、事実であることに間違いないだろう。


「絶対止めなくちゃ。でも、どうすれば・・・」


確かに、パルフェ団の名は有名どころか、その名を知る人があまりいないのが現実。

だが売れなくても、あたしたちは7人全員で、多くの人に笑顔を届けるという夢を諦めなかった。

その夢を叶えるために、今まで一生懸命頑張ってきた。

これからもそれは変わらない。

誰もがそう思っていたと、ミアノは思っていた。


人々の恐怖の対象であるヴァイルに曲芸をさせれば、それを目当てに人が押し寄せてくるかもしれない。

でもそんなサーカスを、あたしたちは求めていない。


「話せば、きっとわかってくれるはずよ。」


そう信じていたが、実際会って話を聞いてもらえるのかどうか、不安になった。

そんなとき、背後から声をかけられた。


「おはよう、ミアノ。」


テントの外で座り込んでいたミアノの肩に、毛布をかけたウェスト。


「あっ・・・おはよう。まだ寝てるかと思った。頭、痛くない?」


体が冷えていたため、ぬくもりが残った毛布はありがたかった。

二日酔いを心配したミアノに、ウェストは手を握った状態から親指を立てた。


「大丈夫だよ。ミアノこそ、何で外にいるんだ?外は寒いだろ。」


これから起こるであろうことについて、考えていたなんて言えなかった。

そしてそのことに関して、団長と話し合おうと思っていることも。

特に、ヴァイルを憎く思っているウェストには。


「今日は外で寝たい気分だったの。」

「そんな気分になるようなことがあったのか?」

「えっ・・・?」


ウェストは胡坐をかいて、隣に座った。


「お前が暗いから。」

「・・・そんなこと!」


ミアノはウェストを見つめた。


「お前はいつもそうだ。新しい芸当を考える時も周りに相談せずに一人で悩んで。何があったのか知らないけど、今また一人で悩んでる。」


ウェストの言うとおりだった。

あたしは、どんな悩みができようが誰にも相談せずに、1人で解決しようと悩んでいた。


でもこれだけは、今回のことだけは言えない!

そう思ったあたしは、それを否定した。


「あたし、悩んでなんか!」

「その嘘が、見破られないとでも?」


そしてウェストも、ミアノを見つめた。


「団員皆はお前が悩んでいることを知っていた。でも、待ってた。いつかきっとお前から話してくれることを信じて。でもミアノは、また一人で悩みを抱えてる。違うか?」


ミアノは黙ったまま、ウェストの話を聞いていた。

そしてウェストは、そっと手を伸ばしたかと思うと、ミアノの頭を優しく撫でた。




「ひとりでためてちゃ、つらいぞ?」




「えっ・・・」


正にその通りだった。

1人で溜めてて、いいことなんてなかった。

1人で考える癖がついていたのかも知れない。


その言葉が、ミアノの心に響いた。

同時に、せき止めていた心のダムが、崩れた気がした。


「無理して話さなくてもいい。でも、俺はつらそうなお前を、これ以上見てられないんだ・・・」


寂しげに微笑むウェスト。


「もしあたしの悩みが、ウェストを不愉快な思いにさせてしまうことだったら?」


聞いてはいけないことだったかもしれない。

話しちゃいけないことかもしれない。

でも、聞かずにはいられなかった。


「そんなの、聞いてみなきゃわからないだろ?」


ウェストの優しい言葉に、ミアノは涙した。

いつも親切にしてもらっているが、このときばかりはつらくて、でも嬉しくて涙が止まらなかった。

毛布を握りしめながら、一呼吸置いて、口を開いた。


「・・・ウェスト、あのね・・・」


そしてミアノは思い切って、すべてを話した。



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