6話 再会 彼の者を思い出すとき
街灯の下にさらされた、見覚えのある緑色の長髪。
短いスカートから覗く綺麗な脚線美を描いた、両脚。
「あっ!あなたは・・・!!」
その容姿を見て、アリシェは思い出した。
声をかけられ、膝に埋めてた顔を上げた。
「・・・・・アリシェ?」
胸元に見える、街灯の光を反射した橙の石の首飾りで確信した。
あの優しい声音は、今や悲しみに満ちていた。
「はい、さっきはありがとうございました。あの、お名前をお伺いしたいのですが」
ぺこり、と小さく頭を下げると、女性は涙を服の袖で拭いながら、首を横に振る。
「たいしたことないわ。私はミアノ。・・・でも、どうしてここに?」
「あたし、無一文だったんで泊まるとこなくて。・・・ミアノさんは?」
拭っても、拭いきれない涙はあふれて止まらない。
「・・・呼び捨てで呼んでいいわ。」
アリシェの問いには答えてくれなさそうだった。
そして、顔を両膝の間に埋めた。
でも、笑顔が似合うミアノが泣き腫らしているのを放っておけなかった。
「何か、つらいことがあったんですか?」
ミアノの隣に、アリシェは腰を掛けた。
「・・・・・・」
肩を震わしながら、それでも無言を通した。
その震えをとめるように、ミアノの肩にそっと手を置いた。
「ためてちゃ、つらいよ?」
「――― えっ?」
アリシェの言葉に反応し、ミアノはくしゃっとした顔を勢いよく上げた。
『ひとりでためてちゃ、つらいぞ?』
アリシェの言葉と重なり、なぜかあのときの声が脳裏をよぎった。
一人悩む私を救ってくれた、あの言葉。
そして、彼の存在。
あたしは、話してもいいのかな。
今日初めて会った人だけれど、このことを話してもいいのかな。
「あの・・?」
アリシェを見つめたまま動かないミアノ。
心配になり、肩をトントン、と叩くと、それに気づいたらしくようやく口を開いた。
このとき、ミアノの過去をきっかけに始まるこれからの出来事が、あんな結末を辿るとは、誰も思いもしなかった。




