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33話 クアトスの決意

クアトスはゆっくり立ち上がると、何かを決意したように頷いた。

そしてズボンのポケットから、鎚を取り出した。

ハープめがけて、鎚を振り下ろす。


「ワンワン!!(クアトス!何を・・・!!)」

「だ、だめだよ!!」


制止の声を振り切り、思い切り鎚でハープの曲線状の枠を叩いた。



バキッ



木棒でできたハープは打ち砕かれ、周囲に木屑が飛び散った。

ハープ奏者が商売道具であるハープを破壊したのだ。


「・・・これで、いいんだ」


木屑とともに宝玉が、芝生の上に転がっていた。

それを拾い上げると、アリシェの前に差し出した。

ハープの中に埋めていた宝玉を、取り出すために壊したのだろう。


「クアトス・・・ごめんなさい。」


アリシェが謝ると、クアトスは笑った。


「僕は君たちに感謝したいくらいだよ。ありがとう。」


後悔のかけらもない満面の笑みを見せる。

これでたとえ両親に嫌われたとしても、クアトスはハープを弾き続ける。

自分の力でまた、ラスカノンで有名になってやる。

クアトスの心は、前向きな気持ちで満ちていた。

アリシェは宝玉を受け取ると、袋に入れた。

中では三つの宝玉が、共鳴しあっているかのように小さな淡い光を発している。

残る宝玉はあと二つ。


「君たちは、宝玉集めをしていると言ってたね。」

「あぁ、そうだ。」

「次行く場所は決めているのかい?」


クアトスに問われると、フリードはレオンを見やる。

宝玉の力を感じれるレオンなら、次に行くべき場所もわかるはずだ。


「ワン!!(かすかに向こうから宝玉の力を感じるぞ!)」


レオンが顎で指した先には、大きな山々がそびえ立っていた。

山の上半分は雲がかかって見えない。


「・・・君たち、もしかしてあの山に行くの?」

「あの山か、もしくはあれを越えた向こうに宝玉があるらしい。」

「そうなの?」


へぇ~、と言ってアリシェは遠くにある山を見た。


「もしかしたら、虹岬(にじみさき)かもね。」

「虹岬?」

「あぁ、昔聞いたことがあるんだ。あの山のどこかに虹への架け橋がある岬があるって。一人の男が虹岬に行くと言ってラスカノンを出てから、帰ってくることはなかった。」

「その人は虹の向こうに行って、何をしようとしたの?」

「わからない。でも、虹は天神界とつながっているとかなんとか。」

「天神界って・・・?」


アリシェが聞くと、クアトスは口をへの字にして、頭を横に振った。

その隣で、フリードは一瞬顔を歪めた。


「僕もわからないんだ。」

「・・・レグザムの神が集まる世界。」


深刻そうな面持ちで、口を開いたのはレオンだった。

クアトスは普通に話すレオンに驚いた。

そしてフリードも、レオンが天神界を知っていることに驚く。


「君、話せるんだ?!」

「・・・おう!そうだぞ!でも、俺・・・」


いつもの調子に戻るも、レオン自身も驚いていた。

無意識に口から出た言葉に、覚えはない。


「そんな世界があるんだね。行ってみようよ!」


アリシェの言葉を拒みたいが、それを我慢した。

天神界には、いつかは行かなければならないのだから。


「それなら、山に行く途中にあるメルポルという街で一休みしなよ。」

「メルポル?それって食い物か?!」

「今、街って言ってたじゃん!」


珍しくアリシェがレオンにツッコミを入れた。


「あぁ、そうしよう。ありがとう、クアトス。」


フリードが礼を言うと、クアトスはニカッと笑って見せた。


「こちらこそ、本当にありがとう!あと、これを持ってって。」

「何それ?」


クアトスが胸元のポケットから小さな袋を取り出した。

フリードが受け取ると、紐を解いて中身を見た。

アリシェも一緒に覗き込む。


「これは、金か?」

「これがお金なのね!!でも、いいの?」


袋の中には多くの紙幣が、1000ガル分入っていた。

これだけあれば、皆で10回は宿泊できるだろう。


「感謝の気持ちだよ。受け取って。」

「ありがとう!」

「ありがとな!!」


お金の入った袋はフリードが預かり、ズボンのポケットに入れた。


「それじゃあ、行こうぜ!」


レオンが歩こうとすると、アリシェが背に飛び乗った。


「クアトス、じゃーな!!」

「また演奏聞かせてね~!!」

「うん!近くに来たら、いつでも寄ってね!じゃあね!!」


アリシェとクアトスが、大きく手を振り合い、別れの挨拶をした。

そして一行は、ラスカノンを後にし、次の目的地メルポルに向かった。

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