表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/46

23話 絶対絶命


宝玉を手にすると、リュナは一歩後ずさった。

尊敬していたあのマークスは、今やどこにもいない。

それがとても悲しかった。


「あーっはっはっは!!」


マークスは大口を開けて声高く笑った。

突然笑い出したマークスに、皆が注目する。


「黙れ!マークス!」


村人が言うも、マークスの笑い声は止まらない。


「ワン!(何で笑うんだ?)」

「・・・何か嫌な予感がする」


アリシェ、レオンはマークスから守るように、リュナの前に立つ。


「・・・何を考えてるんです?」


リュナは恐る恐る聞いた。

その問いに答えることなく、そして、予感は的中した。



「ウィーガ・アロー!!」



誰かが唱えた風魔法。

形の見えない矢は、一瞬にして後ろからリュナの肩を貫通した。


「うっ・・・!」

「リュナ!!」


大量出血している肩を押さえて倒れるリュナ。

アリシェがすぐにリュナを支えた。

宝玉を持っている手の肩をやられた。

白い巫女服に、血が染みていく。


「リュナ!大丈夫か!?」


リュナの怪我に犬の鳴き声を止めたレオン。

だが、このことを誰も気に留めなかった。


「薬を持ってこい!!」


マークスを縛る縄を持つ村人が叫ぶと、他の人が駆け、家に薬を取りに戻った。


『風の上級魔法ウィーガを自在に操れるだと・・・?』


魔法は低級、中級、上級、最高級に分かれている。

そして"ウィーガ"は風魔法の上級クラスに位置する。

"ウィーガ"は大きな威力のある竜巻を起こす。

さらに修行を積めば、その魔法の形を自在に変えることができる。

例えば、「ウィーガ・レイン」なら竜巻の矢雨を降らせることができるのだ。


フリードは、村を見回し、呪文の唱え主を探した。

幼さが含まれているが高い女性の声であった。


「マークスちゃん☆願い叶えたげたよ~ん♪」


そのとき、やけに縦長い三角帽子を被った女が、マークスの背後に現れた。

身丈は150cmくらいあり、金色に輝くスパンコールドレスを身に纏っている。


「こいつっ!!」


縄を持っていた村人が、その女に殴りかかった。


「やぁ~ん!暴力はよくないのよ~ん☆」


そう言って、女は殴りかかる男を睨みつけた。


「ロクシィガ!!」


"ロクシィガ"も石化魔法の上級クラスで、上のクラスほど石化効果が持続する。

殴る寸前で、男は石化したため動きが止まった。

この様子を見て、女の魔法に怯え、村の皆は反抗することをやめた。


「あーっはっはっは!!」


マークスは怖いものなしと言ったように、かん高く笑った。

フリードは、アリシェ、レオン、リュナを背で庇うように立ちはだかる。

そして剣を構えた。


「アリシェ、これを・・・」


リュナは必死の思いで、手のひらを開いた。

宝玉をアリシェに渡そうとしているのだ。

リュナの額からすごい量の汗が滲み出た。


「私の血が、これに滴れば・・・力を、解放してしまうから、早く・・・」


何とか言葉を紡ぐ。

血は肩から腕に、そして手首まで伝わっていた。

今のリュナに腕を上げる力はない。


「リュナ、そんなことより手当てしなくちゃ!あ、そうだ!!」

「アリシェ、早く受け取ったほうがいいぞ!!」


あと少しで、血の流れは宝玉にたどり着く。


「肩の負傷なら死にはせん。落ち着け、アリシェ。」


フリードは慌てるアリシェを宥めるように声をかけた。


「・・・わかった。リュナ、ありがとう!」


宝玉を取り、それを袋の中にしまった。

リュナは笑みを浮かべると、ゆっくり目を伏せ、うな垂れた。

かくん、と首を落とした。


「リュナ、今治してあげるからね!!・・・リュナ?」


アリシェは怪我をしてない方の肩を叩くが、リュナの反応は返ってこない。

フリードは振り返ってその様子を見る。


「フリード、リュナが目を覚まさないんだ!!何でだ?!寝ているのか!?」


レオンがフリードに答えを求める。

だがフリードもこの状況をつかめていなかった。


「ざーんねーんでした☆キャハハ♡」


女はマークスの縄を解くと、可愛く笑って見せた。


「あたしってば、頭がいいからさぁ☆さっきの矢に毒を仕込んだのよ~ん♪えへへ!」


村人たちは黙って見ていることしかできなかった。

何もできないことが悔しくて拳を握るが、それを振るう勇気はなかった。


「そ、そんな・・・」


この女のことだ。

仕込んだ毒も"ガスドガ"という上級クラスの毒魔法だろう。

この魔法にかかれば、急速に体力を奪われ、死に至るのもたやすいと言われている。


「リュナ、起きてよ!!ねぇ、リュナ!!」


何度も呼びかけるが、二度と目を開けることはないだろう。

呼吸は絶え、すでに死者となった。

微笑みを浮かべた死に顔は、とても綺麗だ。


「さあ、その宝玉を寄こすんじゃ!!」


マークスはアリシェに近づこうとする。

そしてそれを、フリードが阻止しようとする。

フリードの横に、レオンも立った。


「ワォーーーーーン!!!(お前なんかに絶対に渡すもんか!!)」


レオンが怒りを込めて吠えた。

眉間にしわを寄せ、睨みを利かせ殺気立たせる。

そしてマークスに噛みつこうと襲いかかった。


「その怒った表情が素敵よん☆よぉ~し、可愛いから特別にこの魔法をプレゼントしたげる♪」


女は指を鳴らした。


「ウィーガ・カッター!!」


噛みつく寸前、どこからともなく複数の刃が襲いかかって来た。

避けるすべもなく、風によって形成された鋭い刃がレオンを突き刺す。


「レオンっ!!」

「うぅっ!!」


フリードは素早くレオンの前に立ち、襲い来る風の刃をすべて剣で斬った。

斬られた刃は形を失くし、その場で消失した。

多くの刃を身に受け、レオンは倒れる。


「レオン!!」


死んだリュナを支えながら、アリシェはレオンを心配し、声を上げた。


「お、俺なら、だいじょーぶだっ!!」


よろけながらも起き上がるレオン。

体からは、所々血が噴き出している。

だが痛みに耐えきれず、レオンは再び倒れた。


「くっ、くそっ・・・」


もはや起き上がる力が残ってないレオンは、弱い自分にとても苛立った。


「許さんっ!!」


フリードの怒声が村に響き渡る。

次の瞬間地を蹴り、フリードはマークスを退け、女めがけて駆ける。

そして雷光のごとき速さで斬りにかかる。


「野蛮な人は嫌いなんだから~(;_;)ロクシィガ!!」


キツく睨むと、斬る寸前でフリードは石化した。

太刀は女の頭上で振り留まっていた。

もう少し遅ければ間違いなく、女は死んでいた。


「フリード!!」


フリードは石化し、レオンが倒れ、残るのはアリシェ1人のみ。

見たところ何もできない村人同様。

女とマークスは勝ったも同然と、勝利の雄たけびをあげた。


「あーっはっはっは!!早く渡せばこんなことにはならなかったのになあ!??」

「残念ね☆あんた一人なんか軽ーくひねるつぶしたげるんだから♪」


そして2人はアリシェに歩み寄った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ