17話 大狼レオン
すごくリアルでいやな夢を見たな。
そう思いながらも、アリシェは寝ていた。
それにしても、すごく寝心地がよかった。
干したてのふわふわしている布団に寝ているみたいだった。
上下に揺れている気がするが、それがまた気持ちいい。
「重くないのか?」
「こんくらい平気だぞ!それに、アリシェは命の恩人だかんな!」
フリードが誰かと会話しているのが聞こえた。
うっすら目を開けると、空はまだ明るかった。
倒れてから、そんなに時間は経ってないらしい。
「お前も乗せられるぞ。」
「あんな大怪我をしたばかりなんだ。いくら治ったとはいえ、無理するな。」
話し相手はとても活気に満ち、明るい声をしていた。
聞いているこっちも明るくなるくらい。
話し方からして、男のようだ。
「ヴァイルは人間しか襲わないと聞いたが、なぜレオンが襲われた?」
ヴァイルは人間の血肉を食すため、餌でもない動物を襲うことは絶対と言っていいほどない。
「俺もわからないことだらけだ。なんでしゃべれるのかもわからないし。」
この世界レグザムでは、動物は人間と同じ言葉を話せない。
だがこの大狼、レオンだけは動物と話せることはもちろん、人間とも話せるのだ。
「すごいね!レオンはしゃべれるんだ!」
1人と1匹の会話に割って入ったアリシェ。
「おはよう、アリシェ。さっきはありがとな!」
「・・・起きたか。」
アリシェはレオンの背に横になって寝ていた。
「レオンあったかいね。それにふわふわしてて、気持ちいい!」
「へへっ!いいだろ~」
その肌触りのいい体毛に、顔をすりすりする。
褒められて、レオンは上機嫌のようだ。
「レオンは行く宛てがない。だから、俺たちと一緒に旅をすることになった。」
「よろしくな!」
レオンはアリシェに振り向き、笑顔を見せた。
仲間が増えたことが嬉しく、アリシェも笑顔になる。
「うん、よろしく!」
「そいや俺、思ったんだけどさ、なんかあったかいものを感じるんだけど。気のせい?」
「あたたかいもの?」
「それってあたしの体温じゃない?」
「いや、こうなんか間接的にあったかいんだ。あと、遠いところで冷たいものを感じるんだ。」
アリシェは何か思いついたようだ。
そして、両手をレオンの額にあてた。
「もしかして、熱じゃない?!よし、それじゃあ、リキュアレ――― 」
「この馬鹿。また倒れる気か」
「ふぐぐぐぐ~!!」
そう言って、フリードはアリシェの口を塞いだ。
「熱じゃないぞ、ありがとな。」
「ふがっだ~!」
本気で熱を心配したアリシェは、その言葉に一安心した。
その様子に呆れながらも、フリードは口を塞いでいた手を外した。
「・・・お前、宝玉の力を感じ取れるのか?」
「レオン、これ?」
袋から宝玉を取り出し、レオンの眼前に差し出した。
「おっ!それだ!それあったけぇーっ!!」
「じゃあ、つめたく感じたものは別の宝玉の力か。」
フリードは冷静にこの状況を分析した。
「この先につめたいの感じるぞ。」
前方を見据えるように見つめる。
「案外早く宝玉が見つかりそうだね!」
アリシェはよし、とガッツポーズを見せた。
早く宝玉を集めて、元の世界に戻って、和人に会うんだ。
心の内で、あの女性の存在が気になって仕方がなかった。
そして2人と1匹は次の宝玉の在り処に向かった




