10話 絶対助けてみせるから
何度も話し合おうと試みたが、団長はその度にヴァイルを向けてきた。
ミアノの両親は今、彼らの手中にあるらしい。
「お前の両親をヴァイルに食わせていいのか?」
そう言われて、抵抗できなかったという。
そして、今に至る。
「そんなことがあったんだ・・・」
枯れることのない涙を、何度も拭うミアノ。
この3年間、ずっとこうして泣いていたんだろう。
「アリシェ、・・・話を聞いてくれてありがとう。あたし、そろそろ戻らなくちゃ。」
今にも泣き崩れそうな笑みを浮かべながら、ゆっくりと足を地面に下ろした。
服の袖でもう一度拭うと、ミアノは立ちあがった。
「待って!あたし、ミアノの力になるよ!!」
アリシェは、ミアノを見つめた。
「このままだと、ミアノは一生泣く人生を送ることになる。そんなのダメだよ!」
「・・・あたしだって、前の生活に戻りたい!でも、ヴァイルが相手じゃ・・・」
「ヴァイルが何だろうが、あたしはあなたを助けるから!もう決めたもん!」
でも、ミアノを助けるためにはどうすればいいのだろう。
話を聞く限り、ヴァイルを倒せる力は、アリシェにはない。
魔法も剣も扱えないからだ。
「アリシェ・・・」
ヴァイルと対決するのを避けられる方法はないか考えてみた。
ミアノは家族を人質にとられているから、ヴァイルを向けられるから抵抗できない。
それなら、まず家族を助けるのはどうだろうか。
「・・・そうだよ!家族を人質にとられてるなら、家族を取り返せばいいんだ!」
「そう思って、あたしもテント内をくまなく探したわ。でも、どこにもいなくって・・・あっ!」
ミアノは何かを思い出したようだ。
「サーカス会場入口の正反対のところに裏口があるんだけど、そこにヴァイルの檻があるのよ。ヴァイルの檻の中には大きな箱があるんだけど、常にヴァイルがいるから探せなくて・・」
「ミアノはヴァイルを手なづけているんじゃないの?」
「あたしは司会進行役で、ヴァイルを操っているのは団長。あたしには操らせてくれないわ。」
「それじゃ、何でミアノをつれてきたんだろう?」
「理由はわからない。でも、両親がいるとしたらあの中だと思うの。」
「それなら、まず檻にいるヴァイルを追い出さなくちゃね!」
先程の笑みは消え、活気に満ちた笑顔を見せた。
「あたしに任せて!」
ミアノは拳をつくり、トン、と胸にあてた。




