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06 ナトラの物語
ナトラ・フェノクラムという少女は人間ではない。
とある兵器の、生体パーツとして作られた人間だ。
親しい人間はおらず、友もいない彼女は、自分に用意された運命を受け入れていた。
しかし、彼女は自らのお世話係であるアクセルと出会い、変わった。
世界を見たいと思い、アクセルと共に生きたいと思うようになった。
しかし、だからこそ、世界もアクセルも守りたいと思うようになっていた。
そのため、兵器の一部となることでそれらを守れるなら、自分の命を差し出しても構わないと結論付けたのだ。
結果、アクセルはナトラを助けようと手を差し伸べたが、ナトラはその手を掴み続けなかった。
兵器として組み込まれる寸前、ナトラは次に生まれるなら、普通の人間がいいと願いながら、自らの生を終えた。




