04 リズリィの物語
あるところに、魔人の少女がいた。
その少女の名前はリズリィ。
リズリィは、親のいない孤児だった。
彼女は、そういった者達が生きる地域で、毎日捨てられたものを拾い、ごみ箱をあさって生き延びてきた。
そんな彼女は、ある日お金持ちの少年と出会う。
その少年の名前はラッシュ。
最初の印象は最悪で、リズリィは彼とは仲良くなれないと思っていた。
しかし、ラッシュは心根は優しく、リズリィをいつも笑顔にさせてくれた。
ゴミ溜めからは遠い場所、いつも会って話す場所が、花畑だったせいか、ラッシュはリズリィが孤児である事も、迫害される種族ーー魔人である事も気づかなかった。
リズリィはラッシュに好意を抱いていたが、その思いを伝える事はできなかった。
なぜなら魔人狩りにあって、捕まってしまったからだ。
その結果、輸送先で奴隷の人形にされるために感情を失う手術を受ける事になった。
リズリィは幸運な事に、なぜか感情を失う事はなかったが、それを表に出す事は、危険だったため、そうはしなかった。
そうして手術を行う施設から出されたリズリィは、ラッシュの下で働く事になった。
彼女は自分には心があると伝えたかったが、それがラッシュのためになるかはわからなかった。
奴隷である魔人と心を通わせても、それがラッシュの幸せになるとは限らない。
だから、彼女はラッシュに真実を伝える事なく、道具のように仕え続けた。




