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10 クレファンの物語
クレファンという少女は、若くして命を落とした。
だが彼女は、死後神様となり、世界を見守る立場を得ていた。
生きていた頃は、特別誰かの役に立つ少女ではなかったが、それからの彼女は、様々な人を助けていった。
けれど、それは助かりたいと願う人にだけだ。
人からの助けを拒絶するものには、手を差し伸べることはできない。
だから、生きていた頃の兄が復讐の道を歩んでいてもどうすることもできなかった。
クレファンだった神様が、次に兄だったものと会えるのは、その人物が死んだときになるだろう。
それまで彼女は何もできず、見守ることしかできないままだ。




