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夜型死神の日常

ああああ。例のあれが来た。「死にたい」「消えたい」「生きることに疲れた」で例のあれだ。割ときれいに魂の塊ができている奴もいたら、魂の回収がものすごく面倒な奴もいる。

例のネットで拡散された自殺の名所に、例の安っぽい自殺防止ポスターがぜんぜん自殺防止の機能を果していない。と強く言いたいけど、我々死神が魂を回収すればいい。I mean、朽網あずささんが魂を回収すればいい。

だんだん私の機能の限界が分かって来たから。私の体は水に強いけど、心の涙に溶かされてしまう。これ、うまくやっていけばトカゲの自切のように活用できるじゃない?

今回の舞台(げんば)は、西九州国立大学彼杵(そのぎ)キャンパスで最も高い建物の下だ。時間が夜。私たちがついたごろにはもう死亡何十分だと思う。顔から性別不明となっているが、一応学生証がある。だがそれは警察たちのやることだ。

刑事ごっごはここまで。早く見つかれる前に回収しないと。私は、カエルの卵っぽくなった魂をほうきで1方向にはく。

死の予兆があるものの、介入はできない。遺憾だ。

しかも夜になって、観光地とも紹介されている穏やかな波見えるが海岸が見えないし。

操り人形とされた人生は辛かったのだろう?残念ながら課金していないやつは恵まれていない。

と愚痴を言いながら、順調に当事者の魂をちりとりで集める。そして、魔法瓶のような容器に入れた。

「まだ生きたかった」

魂の集まりからひと声と似た振動が伝わってくる。おいおい、死んでからこういう願いを言うのはやめてちょうだい?死神として、他人の人生、ましてや、その人の命の決定に口を挟む資格がないかもしれない。私はもとろん、師匠もコンビニの妖狐オーナーさんもできかねるんだ。

私の脳内タイマーが正しかったら、朽網あずささんが軽バンで乗ってくるはずだ。だけど朽網あずささんが現れない。

仕方なく、校外に向いて歩き始めた。

アイカギで開けられた門をこっそりと締めて、門の前に通る道路に、朽網あずささんが車を停めて寝ている。疲れたのだろう。

ある気持ちが止まなくて、挙句の果てに、師匠の鼻の穴に私の小指を入れてみた。

「なんだよ!」

生存確認。

「死んだと思ったから」

「まだ生きたかった」

もちろん私の声じゃない。

「魂の塊がしゃべっている?その時は乳鉢に入れて細かく砕くことを何度も教えたのじゃない?」

初耳な気しかしない。でもまた朽網あずささんに怒られた。

そしてその後はその魔法瓶っぽい容器を箱詰めした。軽バンの後ろガラス半分が埋まってある。1つの器に1つの魂?効率わりぃー。

「今日いくら集めている?」

「うん…」

朽網あずささんが後ろに振り向く。

「4500円じゃない?にしても、最寄りの提携おろしスポットが定休日だしなぁ」

低い。売りにくい。


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