準備不足
久しぶりに投稿します!
小説が少しではありますが評価されていてとても嬉しいです!
「ついに来たか、、、。」
俺は歴史の写真よりも更に大きく見えるペリーやその艦隊を見て当時の黒船がどれほど恐ろしいものだったのかを改めて悟った。艦隊の黒き巨塔にはアメリカ国旗が潮風に揺られて靡いていた。そしてとうとう黒船は沿岸沖で錨を下ろした。
「対応をしようと言ってもなんて返したら納得してくれるんだ?俺はあまり歴史を動かしたくはないんだよな、、、。」
そう、今この瞬間に日本の歴史に関する教科書などの書物はすべて白紙に帰しているのだ。日本国の代表とも言える私がここで誤った判断を下せば日本の歴史が大きく変動してしまうことになる。ここで全てを決めるのは荷が重すぎる。申し訳ないが一旦この場を離れて国会などで慎重な決断を、、、。
そう思い、俺はその場から離れようとした。しかし。
「バン!」
ペリー艦隊は強硬な姿勢を見せ、空砲を何度も海へ放った。この大きな音は周囲の平和な現代を生きる日本人にとって戦争が始まってしまったのかという勘違いを生むことになり、余計に艦隊の近くから人がいなくなった。江戸の日本人と何ら変わりもないこの状況。ただ、一つ違うことと言えば、誰もこんなことが起きるなんて予想もしていなかったということだ。現代日本の圧倒的な準備不足である。
くそ、、、今対応せねば日本人の命が危ない、、、。でも俺は英語しゃべれないから対応なんて無理な
んだよなぁ、、、ん?ていうかそれだったら絶対無理やんけ!俺も一旦、か、帰る!
この状況に対して俺も焦りを感じ始め、逃げることしか頭に残っていなかった。国民が逃げていく背を追って逃げるというのはなんとも心疚しいなことではあるが、仕方ない!
そう思って振り向いたその瞬間だった。
「あの!すみません!」
「!?」
俺は突然謎の女性に声をかけられた。声がした方を向いてみると急いで手招きをして俺を誘導してる。
腰を低くして俺は女性に近づき、
「ど、どうされたんですか?あ、あなたも早く逃げないと、、、。」
と少し申し訳なく返事をした。
すると、女性はこう答えた。
「総理?何を仰っているのですか?私ですよ!私!外務省の鹿又です!」
俺はこの時に自分の運の良さに思わず満悦した。