ー二度目の死ー
ここから長く戦いが続きます。多分。
初のマサハル苦戦!?
(あいつ、マキ・マサハル...あの暴走化バルズドラゴンを倒すとは、かなりの強敵だな。)
雅晴は大悪魔ディーモに勝手に敵視されていた。この悪魔もまた雅晴と同じ、Sランクだが、Sランクの中のSランクだった。
S+ランクが正しいだろうか。雅晴が勝てるか分からないくらいの強さだった。
魔界大陸ではアルファ大陸のマサハルぐらいのかなりの有名人で、魔王の次に強いとも言われていた。そんな彼はマサハルの存在を知るなり、自分よりも強い人間がいるなんて許せないという考えになり、マサハルを敵視していた。
(次は狼熊でいこうか?いや、そんな雑魚は使えない。他に何か...ないな。じゃあ、私が直接戦うしかないか...?)
ディーモは少しづつ、順調に計画を立てていた。
☆
そんなことは何も知らずにマサハルは今も冒険中。
「今日はこの森抜けて一回国に帰ろうか」
本当は帰りたくないんだけど、メリナをチームに登録しないといけない。もうメリナは僕のチームに参加して、名も広まっていたけど、ちゃんと登録した訳では無い。
だから、ベルシアス王国へ帰る。
シェルも久しぶりぃとか言いながら、ゆっくり歩く。
ベルシアスを出て一週間くらい経ったろうか?その間に大樹のダンジョン攻略して、エルフの都市をみつけ、バルズドラゴンを倒し、メリナが仲間に加わって...色々あったな。
やっぱり、冒険は最高だ。いつでも冒険心が大切で、大樹の時だってそうだけど、入ってみようと思ったら入る。いつでも冒険しないと。
気持ちのいい涼しい風が僕を覆う。
メリナが手を顎にあてて考え込んでいた。何を考えているかよく分からないけど、多分ベルシアス王国のことを考えているんだろう。
しばらく歩いていると...僕の右の木から突然魔獣が現れた!
「それはグッグよ! A-ランクの!」
メリナが言った。僕はグッグに向かった。そいつは、羽が生えた豚という感じで、なんかで見たとこがあるような気がした。約一メートルもあって、とてもデブ。
「きもい...」
シェルは珍しく驚かずに、きもいと言った。それと同時に思いっきり炎を放つ。シェルは氷と風が得意と言っていたが、炎が一番得意なんじゃないかと疑うくらい強い炎だった。多分Aランクだろう。
グッグは一瞬で消滅した。
シェルの戦闘シーン初めて見たけど、結構強いな。
それからまたしばらく歩いた。
まだ時間が昼というに、空は暗く、雲の色も黒かった。太陽は見ることが出来ないが、明るさがないので、雲に覆われている。天気が悪くなってきた。
かなりの大雨になりそうだ。
そう思った瞬間。空が眩しく輝く光に包まれる。それから二秒もしないうちに雷の怒りの音が鳴り響いた。
雷と同時に雨が降り始め、どんどん勢いを増していった。
「やばいな...」
僕達はメリナの結界の中に入り、雨を防いだ。結界はとても便利で、雷すら弾くらしい。だから安心して進むことが出来た。この結界の種類は張った人を中心に動く結界らしい。
たまにはみ出て雨に濡れることもあったが、ちょっとだから、別に困ることは無かった。
しかし、安心出来たのもほんの少しの時間だけ...
☆
ディーモはアルファ大陸まで自ら来ていた。マサハルの冒険情報をもとに探り出した。
たまたま天気が荒れていたので、雰囲気があると言ってやる気が増していた。
すぐにマサハルは見つかった。
「はは...こいつがマサハル。見た限り雑魚だな。周りに女が二人。こいつらはもらうとしよう」
ニヤッと深い笑みを浮かべ、マサハルの方へ近づいて行く。
☆
雅晴は嫌な予感を感じていた。視線と殺意。自分に対して入り交じるそれはだんだんと近づいてきていた。
我慢することが出来なくなり、雅晴は後ろを振り向く。
「何も...いない?」
「どうした?」
シェルとメリナに不安の目を送られる。
僕はずっと後ろを向く。
すると、そこに空を浮遊する人らしき影が現れた。「誰だ!」とその影に向かい叫ぶ。彼女達も気づいたのか、そちらを見て驚く。
そもそも、この世界の人間は空を飛ぶことが出来たのか...?それともそれは人間では無いのか?
色々考えているうちにそれはこちらにさらに近づいてくる。
ニヤリとした深い笑みを浮かべているのが見えた。服装は高そうな貴族服。そして、髪は濃い真っ赤な紅色。
さらに顔が見える。目が銀色に光り、周りを黒で囲む。
「フハハハハ!!! お前がマサハルか! 弱そうなただの人間じゃないか!」
そいつは、僕の強さも知らずに馬鹿なことを言う。もし分かってて言ったなら、相当な馬鹿か。
「そうだけど、なんの用?」
馬鹿の遊びに付き合ってやるかと、僕は言葉を返す。
するとメリナが震えた声で
「あ、あれ?分からない。強さが...ランクも...」
測定不能。ということか?まさかこいつ、かなり強い?今までで測定不能の敵なんていなかった。一番強くてSランク。こいつはSランク以上なのか?
いやいや、雑魚すぎて測定不能という可能性もある。でもなぜ、メリナはあんなにビクビクしていたのか?
「困ってるなぁ、そうだよな。お前らは、S+ランクなんて、知らないもんな」
そいつは僕達を挑発するように嬉しそうな声を上げた。
まさか、僕よりも強い?という考えが頭をよぎった。よく見ると明らかにオーラがおかしい。異常だ。
今にも逃げようかと思ったが、体が動いてくれない。
「何をした...?」
真っ直ぐそいつを睨んで問う。
「何も?私はお前を殺しに来た。お前という存在が癪に障るんだ」
怒りを込めた声でそいつは言う。なんだこいつは、適当な理由でただ僕を殺したいだけか。
ならば、こっちが殺せばいいだけ。
「それで、お前は誰だ?」
まずは相手の情報を聞き出す。いや、今から殺すなら、聞く必要も無いか。
「私は魔界大陸大悪魔ディーモだ」
魔界大陸から来たのか。大悪魔...それほどの強さということだな。
俺の名前はさっきから呼んでくるからいいとして、さて...もういっきにあの封印魔法放つか?空に向かってだったら被害も少ないだろ。
「おっけー、じゃ」
軽く言葉をかけて悪魔ディーモに狙いを定める。確実に当てておきたいからな。
全身の力が右手に集中させ、足で踏ん張る。
僕の周りは嵐が吹き荒れ始める。シェルとメリナは危険を察知して僕から離れていく。
冷たい風が僕を覆い、身体はどんどんと熱くなる。
「?」
ディーモは異変に気づいたようだ。
しかし、もう遅い。
「はぁぁぁあ!!!」
僕の魔法はディーモに直撃した。
魔法はディーモのいた所で大爆発を起こし、煙を発した。
「やったな」
僕は勝った気分になった。煙からはオーラも何も感じられない。狼熊の時と同じだ。急にオーラが消える...
煙の中から一つの人影。
まさかな...僕はまだ信じれなかった。オーラが復活し始めた。
「おい...?」
まさかまさかまさかまさか。ないないない。そんなわけない。
「効かないね。防御魔法が強すぎて」
ディーモの余裕そうな声。
僕と同じくらいの防御魔法が使えるというのか?僕は戸惑う。考える。しかし、何も思い浮かばない。負けるのか?とか勝てないかも?とか何も効かない?とかが浮かんだ。
「今度は倍にして返すよ」
ディーモのそんな声は聞こえてなかった。ディーモは僕に向けてデコピンの指をして人差し指を立てる。
その瞬間、隕石のような勢いで強さでデカさの紫色で黒く光る何かが僕に向かって来た。
「ぐっ...!」
とっさに防御魔法を張るも、メリナの全力魔法でもピクリともしなかったこれは、みしみし音を立てながら激しく振動していた。
「やばいっ!」
ピシッと音を立てて防御にヒビが入り始める。
考えろ考えろ考えろ...何か、何か...
とにかく、次の魔法を放て! 自分に何度も何度も言い聞かけた。
まず、氷で自分の周りを囲んだ。
しかし、一瞬で割れた。
ならば、風で対抗しようとしても、風が吹かない。
あと数秒で割れる。やばい。声だけ天使!
(おいっ! 助けてくれ! 今は本当にやばいんだ!)
(助けるって何を?)
こいつ...
(君はもうここで終わりさ。君がこの世界でやるべき事はまだ半分しか...いや、半分も果たせなかった。さあ、これで本当の死だ)
は?
(お.........)
そこで僕の意識は飛んだ。
(え?マサハルが死んだ?)
シェルとメリナは同時に同じことを考えた。物陰に隠れていたふたりは急いで逃げ出そうとする。
しかし、身体が動いてくれない。何かの魔法がかかっている?
メリナが手を見つめる。
「これは、結界よ」
ディーモに聞こえないよう、小さな声でボソッと話す。
「この範囲内しか動けなくなってるみたい...」
「ええ?」
「正しくは、この範囲外へ出ようとすると身体が固まる」
それを理解してしまった二人は絶望へ落ちる。
★
「なんだ...雑魚じゃないか」
ディーモはマサハルを上から見下ろす。
しかし、もうそこにはマサハルの欠片もなかった。
なのに、なぜか違和感を感じる。あの女二人からでは無い。マサハルが立っていたところからだ。
何かが、ある。
調べるためにディーモは下へ降り、穴になって何も無く、無の空間を調べる。
かすかにオーラを感じる。
「ふっ...やはり生きていたか」
ディーモはそれだけ言うと、一回離れ、女二人を探し始めた。
☆
死んだ...のか?
あーなんか、懐かしいなこの感じ。真っ白で先がどのくらい続いてるかも分からない空間。
この世界に来て一ヶ月もしないで死ぬなんて。
異世界系もので、こんな早く死ぬやついなかったよな。いや、なんか、いたような気もするな。でもそいつは生き返っていたような...でも僕は死ぬのか。
異世界転生転移召喚されたやつ全員集めても一ヶ月もしないうちに死ぬやつなんていないだろう。多分。
そういえば、この世界に他にもいないのかな?地球人。いたんだろうな...でもそいつは僕より上手くやっていただろうさ。こんなチート能力が無くても。
僕はどうせ何かに頼らないと何も出来ない。
(おい! いるんだろ! 声だけ天使!)
この空間に来たってことは、いるはず。
(ほいほーい! 馬鹿君おはよう)
また馬鹿馬鹿...いや、今の僕は確かに馬鹿だ。
(ああ、馬鹿だよ)
もう何も考えないで話そう。
(なぁに?復活したい?だろうな。この世界に転生して幸せだったろ?)
(ああ、そうだよ?)
(ま、君死んでないんだけどね)
(どういうこと?)
(だから、死んでないんだって!)
(だって...)
僕が何かを言おうとしたのに天使は
(うるさい。お前、人の話聞いてる?)
お前の方がうるさい。と言いたいが、言うともう話聞いてくれなくなる。
こいつは僕の呼び方をいちいち変える。お前とか君とか馬鹿とか...なんでも気分かよ。
(はぁ)
なぜか天使は大きなため息を吐く。
(オーラが残ってれば、意識が覚醒すればいくらでも復活出来るよ。君はね)
(またまた、チートってことか)
(まっ! そうなるねー!)
なら早く覚醒したいんだが。
(じゃあねーあとは自分で頑張って!)
天使が行ってしまう
(待って! 覚醒ってどうすればいいんだよ?)
(自分で考えてみ)
とだけ言い、天使の声が小さく、薄れてく。
次回も続きますディーモ戦
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