滅びゆく世界
あれから二ヶ月。
ディーモは「お前の力が俺と同じくらいまで抜けたら戻ってくる」とか訳も分からないことを言ってどっかに行った。
僕はずーっと封印されたままだ。誰もいないし、やることもない、何もない。おまけに動くことも出来ない。ディーモはいつ戻ってくるんだ?
暇で暇で、退屈した。でも空腹はなかったし、寝ようと思えばいつでも寝れた。
僕が転生したばかりの頃や、冒険して仲間を増やした頃のことが夢で思い出された。懐かしいなと思いながら見ていると、暇潰しにもなったから楽しかった…と言える。
そんな感じで二ヶ月。
はぁと思いっきり力を込めるように、出来もしないため息を頭のなかで吐く。
もうずっとこのままなのかなと思うと心が折れる。だからきっと誰かが助けてくれる、そう願い続けた。
が、また二週間後。
ディーモが来た。
「やぁやぁマサハル、お前の力はSランクまで落ちているな。落としすぎたが問題ない。よし、解放してやろう」
と僕のことを見上げて言って、なんと、僕は動くことが出来て息をし、喋れるようにもなった!
まさかこんな簡単に戻れるとは……と言っても、力が抜かれたようだし、ここで暴れて逃げようとしても無駄ってことだ。
今はシェルとメリナのことを聞くことくらいしか出来ないな。
「で、シェルとメリナは?」
「あいつらも封印したで、そうそう、人間も魔族も魔物も魔獣も、魔王すらも滅ぼしたわ。だから、今この世界には俺とお前とお前の仲間しかいないって訳だ」
二人のことを訊いただけなのに、ディーモはとんでもない冗談を言ったのだ。
僕はなにも言い返せずに、ただぼーっとディーモのことを見つめた。驚きすぎて口が開いているのにも気づいていない。
するとディーモは付け足すように「冗談じゃないからな」と言い、僕はまたも圧倒された。
は?冗談じゃない?なら、本当にこの世界は…そうかそうか。異世界転生して、僕のせいで色々あったけど、結局僕のせいで世界を滅ぼすことになるとは…
なんだこのめちゃくちゃな世界は…おかしすぎる……
「てことで、後はお前らだけだな。俺は俺だけの世界を造る」
はぁ?なにを言って?
「あいつらも解放するな」
と言い、ディーモは勝手にどっかに消えた。
今がチャンスか?まだ同じ部屋だが、廊下に出れば窓から外の様子が見えるかも?
僕は恐る恐る部屋を出て、ディーモがいないことを確認し、窓を覗いた。
そこは、簡単に言えば地獄だ。
あんなに綺麗だった森や草原などもうない。
荒れ果て、枯れ果て、所々にマグマが広がっている。
「おいおい、嘘だろ……」
これ、ディーモがやったんだよな?てことは、もう僕じゃあ勝てないんじゃ?
そうか、なら僕じゃなくて……
もう封印は解けたんだし、繋がるはず……
(創造神様っ! 助けて!)
(ん、あー、久しぶりぃー、こっちからそっちの世界の様子が見れなかったんだけど、どした?)
(それどころじゃない、助けて! こっちの世界に来てくれ! 話しは後!)
(え、あーうん?)
僕は無理矢理に創造神を引き出した。
廊下のど真ん中に出現したそれは、かなり昔にディーモと戦ったときのあの人だ。てか、神様。光輝いていてまぶしい。
凛としたその女は、僕を見つめた。なんだろう、全て見すかれているようなこの感覚は…
「す、すみません、急に呼び出して」
僕はディーモが戻る前に急いで事情を話した。
「分かりました、では……」
すると、廊下の奥から聞こえるかすかな足音。ディーモだ。
「やばい、来た! 隠れて隠れて!」
僕は神様を一旦、もといた部屋に押し戻した。
そしてとりあえず神の世界に戻ってもらった。いろいろ申し訳ないなと思う。
廊下から来たディーモはシェルとメリナを連れてやってきた。
二人ともげっそりとしていて、疲れきっているようだ。目には涙が浮かんでいる。
ディーモはにやりと嫌らしい笑みを浮かべている。
ま、僕にはその笑みがなんであろうと関係ない、こっちの方が完全に有利なのだから。
するとシェルとメリナが僕に気づいて泣きながら抱きついてきた。
僕はよしよし、と二人の頭をなで、ディーモを睨む。
二人は戦えそうにないが、大丈夫だ。
さて、こっから一気に逆転だ!!!
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