獄竜復活
懐かしい...ベルシアス王国だ。
僕はその大きな門をおでこに手をあてて見上げた。
入国する人の列に混じり、冒険者カードを取り出す。シェルとメリナもバッグを漁っている。
あっという間に僕らの番になり
「入国書か冒険者カードを見せてください」
その人の手に渡し、入国許可をもらう。僕らが「チーター」だと気づいた人たちはこっちをじろじろ見てくる。サインを欲しいと言うやつまで出てきた。本当に有名人になったものだな。
そして寄り道をせずまっすぐ国の城へと向かう。街から見るあの城はまるで要塞だな。
太陽が眩しくて見ることも難しい。
城の門を潜り、国王様がいる王室へ。
シェルとメリナは中にはいれないのでおいて行く。
そこはまあ豪華で、真っ赤なカーペットが敷き詰められ、ランタンの組み合わせのシャンデリアに二メートルほどの高さの玉座。ベルシアス王、ベリオドー・バレイシンはそこに座っていた。王はモコモコした黒い服に上からまたモコモコした赤色のマントをかけている。
高いんだろうなどうせ。
つけ髭みたいな大きな髭で貴族風醸し出しているし。貴族ってみんなこんななのか?
僕はその前にあった机にかかる椅子にゆっくりと腰かけた。
周りには護衛やら大臣やら貴族お偉いさんが集っている。僕には重すぎる空気だ。
それから大袈裟な挨拶が十分くらい続いたあと、話が本題にはいる。
「マサハルよ、リラックスをしたまえ」
「いやっ、でも」
国王の前でリラックスって言われても
「命令だ。従え」
隣に座っていた大臣に無理やりリラックスさせりる。
だからこういうのは慣れないんだって。
「さて、今この世は...マサハル、お主のせいで大混乱じゃ」
そうやって全図僕に押し付ける言い方やめてほしいんですけど、王様。
それにしても王様の一言一言迫力がやばくてずしんずしんと重りがかかっているようだ。
「は、はい」
「獄竜は魔界大陸にて封印されているのだが、封印が解かれると魔界大陸ではすまず、この世界全体に被害がおよび、最後には滅びる」
わぁお
「だから、お主にはその封印が解ける前にその封印結界の上からさらに封印結界を広げてほしいのだ」
まあ重い仕事ですこと。
ようは復活する前に止めろと。できそうだけど、封印結界ってのができないしー
「かつて獄竜を封印した勇者はどう封印したかは分からぬが、お主なら出来ると信じているぞ」
勇者って、僕に宿った...ではないか。そいつよりも強いだろう。
「んぅ...やってみます」
ということで、やることになりましたぁぁぁぁ!
大任務。大仕事。年間行事。ぐぬぁぁ...
まぁでも達成したときの報酬が凄いんだろうなぁ...色んな意味でやってみる価値はある。
そと出て思ったけど、もう夕方...結構時間かかったな。まぁ挨拶ひとつがいちいち長いもんな。話もゆぅぅっくり進められたし。
さてと、シェルとメリナが待ってる。戻ろう。
ギルド宿にて。今日は部屋が空いてなくて三人同じ部屋で寝る。
女子二人と同じ部屋で寝るとか、夢かよぉ
最高すぎるぅ↑
部屋へ戻った。二人は服屋でも寄ったのか服が変わっていた。シェルはハイウエストデニムと腹が見えるなんて言うんだっけってやつ。いやまさにギャル!!!異世界ギャル!!!
そしてメリナは半袖レディースにハーフパンツ。
どっちも似合っている。デザインは元の世界とは全然違うけど。
てかベッド並んでるし! 囲まれてるし! 近いし! 狭いし! 神すぎる!
転生してよかった。人生諦めなくてよかったぁ...こんな日が来るとは...
だけど、その前に重要な話。
「ということだから、明日いや明後日、出発します」
僕は二人に魔界大陸にいくことを話した。
「ええええええええ!?」
最初はそりゃあ嫌がられたけど、最後まで頼んだらオッケーしてくれた。
てことで夜!!!
めんどくさい話はすぐにおわらせて楽しい夜の時間に!
「おやすみぃ」
僕は布団に潜り込む。顔をちょこんとだけ出して。
二人は普通に寝てる。
あー、あれだ。やばいモゾモゾするこの感じあれだ。集落二つだ。
てかなに変なこと考えてるんだ! どんなに天国でも手は出してはいけない!!!いつか、いつかのお楽しみとして、今はそんなことしてはいけない!
我慢。
一時間後。
眠れない。全っ然眠れない。二人が寝相で僕にくっついてきた。
僕が真ん中に棒のように転がっていて、その左右に女二人。いや、無理だ。どう考えても眠れん。
しかもなんかシェルが右足を僕の股に挟んでるし。メリナベタベタだし!
どうしようどうしよう。楽しみにしていた天国のはずが、まずい状況になった。
いっそのこと床で寝るか?そっちの方が安全だよな?
いやー、でも痛いしそっちの方が寝付けなさそうだし。あー、もういい! ここで寝る!
結局一睡もできなかった。
朝。二人が起きて離れたあと、マサハルはずっと寝とくと言って爆睡中。
「明日は準備!」とか言ってたのに、一人だけなに寝てるんだとシェルは少し怒。
メリナはその寝顔を見つめている。
「よく見るとかわいい」
「っ!? 何言ってるの! メリナ! って、人のこと言えないか...」
シェルは後ろから二人の様子を見ていた。すると
「うわわわわわ!?やめなさっメリナ!」
何があったかは誰にも言えない。メリナが急に...うんまあ下ろして触りは...
マサハルは誰のモノだと思ってるのよ。と自分で恥ずかしがりながも思うシェルであった。
今日は準備のはずがマサハルがぐったりなので二人は買い物へ。
ついてくるだけでなにもしなくていいかもーとかマサハルは言っていたから二人は今日準備することなどないのだ。ついていって帰るだけ。
そう、ついていって帰るだけ。
「なにしよっかー?」
「劇でも見に行くー?」
シェルとメリナはお出かけへゴー。
化粧品の買い物やお菓子、靴やカバンと、色々見に行って、劇や音楽コンサートなども楽しんだ。
「はー、楽しかったぁーやっぱり女同士でお出かけっていいねー」
「うん、楽しかった!」
らんらん気分で宿へと歩いていく二人。
マサハルは今起きた!
「ハッ!」
時計を探してキョロキョロ。
「あ、もう夜やん」
周りを見回す。誰もいない。鳴る腹。
「夜、夜...」
「ただいまあー!」
空いたドアを見るとそこには二人の姿が。
「お、おかえり。どこ行ってたの?」
「お出かけだよ、?」
僕が寝ている間とりあえず遊んでたのか。
はぁー、寝すぎた。
「ご飯は?」
「食べた」
「そのバッグは?」
「買った」
「その口に加えてるクッキーは?」
「買った」
「その袋は?」
「化粧品」
「?」
「買った」
「その...」
「もういいでしょ!」
まあ、確かにシェルとメリナには特に準備はいらないと言ったのは僕だし。
「そう」
僕は今から急いで準備すればいっか。
「じゃ、先に風呂行って寝てるよ?」
「うん、おやすみ」
◇◆◇
魔界大陸中央部。
「大魔王様! まずいです! 今にも復活しそうな!」
「落ち着けぇっ!!!」
獄竜封印陣前。
「再封印の必要がある」
「ですが...」
魔王と配下全員集合。
「フィアビルぅー、どうすんだこれー?魔界大陸に封印魔法使えるやついねぇーぜー?」
「黙れフレドロス!」
目の前には封印結界の中に眠る獄竜。
「マサハル...お前には責任を取ってもらうぞ...!」
大魔王は右手を強く握りしめた。
「大魔王様、今魔界大陸から出るのはいけません!」
「ちっ」
大魔王は復活したばかりでまだ世界の空気に馴染めていない。
「だったら待てと?」
「私が行きます!」
一人の配下が手を上げる。
「無駄だ」
大魔王が言うとその手はストンと落ちた。
◇◆◇
翌日。僕は昨日遅くまで剣の手入れや着替え、寝袋に食料と、念入りに準備した。
「なにその大荷物?」
シェルが僕のバッグを指差して言った。
「いやぁ、長い旅になると思って」
「?膨らむブロックに詰め込めばいいじゃない?」
「あ」
一気に軽くなった。ショルダーバッグっで全然足りる。
「いやーごめんごめん」
次こそ出発!
と、思ったが
「あと、私の瞬間移動魔法使えば一瞬で行けるって」
「あ」
ということで二秒で魔界大陸に。
その時、大魔王らはマサハルによる異常なエネルギー反応に気づいていた。
うん、つい最近来たばっかだけど懐かしいと言うか...
一気に城まで入っちゃったけど、誰もいないな?
どこにいるんだ?
まさか魔王も一緒に避難したとか?それはないか?
「どうしたんだろう」
辺りを探していると、騒がしい声が聞こえた。
「どうしましょう大魔王様! もうあと十分以内に封印が解けてしまいますよ!?」
「ここにマサハルが来た。もう少し待て」
「なっ...!?」
僕がいることばれてる?どうする?出るか?
「出てこい、マサハル。今は争っている場合ではない」
大魔王が真剣な顔で僕を呼んできた。
「あ、はーい」
少し早口で軽く挨拶して姿を現す。
「ひっさしぶりー、マサハルー」
誰だ?僕のことを軽く呼ぶのは?
あ、フレドロスか。
「黙ってろフレドロス」
「うぃ」
フレドロス意外全員真剣な顔をしている。僕を見て動揺もしないのか。
「マサハル、これを再封印しろ」
急すぎ!?
「あっ、えっ」
大魔王が言う“これ”とは、黒く銀色に光る鱗で全身をまとい、頭は葉脈みたいな模様がある恐ろしい顔。しかも、大型バスくらいある大きな翼。
今まで見たこともないかっけぇドラゴンだ。
国王様にも言われたけどどうやってやるのかまだ分かってない。
そういえば、メリナなら使えるかも?
「メリナ、封印魔法使える?」
「使えるけど?」
良かったぁー
僕は周りに聞こえないような声でメリナに話す。
「やって」
「あんなの私のエネルギーじゃ無料だわ」
「んー、じゃ教えて」
「はー、今使えるようにしたわ」
おお! 僕はパチンと指を鳴らしてメリナに親指を立てて「ありがとう!」と言った。
「やばいです大魔王様っ、もう時間が!」
「じゃ、行きますよ」
僕は封印結界の中の獄竜に両手を突き出す。
「あっ! もうあと予想時刻10秒、9!」
8!
僕は早めの深呼吸をして頭の中で唱えた。
永遠に眠ってろ!!!
7!
そして元あった封印結界がピシピシと揺れてヒビが入る。
6!
獄竜が目を覚ます。
「グギャアァァァァア!!!」
5!
「まずいですって!」
4!
「はあっ!」
そして放った。永遠封印眠。
3!
それは綺麗に獄竜を包んでいく。
2!
「ギュアァ!?」
1...
「はぁ、はぁ」
やばいっ、息が
「お、おお!?」
再び獄竜が眠る。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
魔王の配下達は一斉に抱きつきあって喜びの声を上げた。
「はぁ、まさか行けるとはな」
大魔王が僕を見てそう言った。
「え、あ、僕も驚き」
「助かった。原因はほぼお前だが」
だから、そうゆう言い方やめて。
「これからしばらく私たちはお前にあまり関わらないでおいてやろう」
お、うん。それはありがたい。
「また獄竜が復活しそうになった時は呼ぶがな」
「あ、はい」
その付け足しいらなかったぁ
その後、魔界大陸には一般市民が戻ってきた。また魔族や悪魔が活発化し始めた。
世界は獄竜の驚異から逃れられた。
一旦平和になった。
それを国王様にも伝えなければ!
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