VS大魔王ー消滅ー
武神ボルカッツから鍛えられたこの身体はランクが爆発していた。
S+ランク馬鹿超えとか本当にどうかしてるよ。武神様だってさぁ、なんか教えてくれても良かったのに。
僕はメリナがこれ以上強くなれないことを知って、修行をここで終わらせた。
僕自身は無限に強くなれるっぽいけど、彼女は無理なんだ。
だから、ここ最近はまたのんびりと過ごしていた。
んだけど、最近なぜか冒険ギルドで討伐依頼が殺到していた。
内容はほとんどが「悪魔」これは、僕のせい?とも思った。
ここ最近悪魔がこなくなったけど、そこら辺に散らばっていたのか。
街では「悪魔の進軍だ!」とか騒ぎが起きている。
だから僕はその討伐依頼を全て自分で片付ける責任を感じ、とりあえず全部まわった。
今の僕では雑魚ばっかりだったので、一瞬で終わり、街でまたマサハルブームが起きた。
それは軽く受け流しながら、考える。
なにかがおかしいと。
ボルカッツも言っていたけど、封印されたはずのヤバい竜とやらが復活しようとしているのか?
それで魔界が動き出そうとしている?
色々思い浮かんだ。
ならば、魔界大陸に行って止めた方がいいか?
エネルギー割合だって、僕も狂わせていただろうけど、魔界大陸だって狂わせているはずだ。
いや、そんなことは無謀だし、やめておこう。
向こうからくるかもしれない。
僕はあんまり深く考えないが、頭の隅っこにおいといた。
また討伐依頼がしばらく止まっていた間に、国のお偉いさんたちに呼ばれた。
貴族関係とかよく分からないし、国王に会えって言われてもどう話せばいいか分からない。
僕のせいなら自分で片付けるからと言い、断った。
そしてまた森にこもる。
なんか、昔の自分に戻ったかのように...
だがそれは違うと自分に言い聞かせた。
それから二週間。一気に展開は変わった。
ある日の夜。悪い夢を見た。悪魔などではなく、また魔王、いや、大魔王と名乗る男が出てきた。
そのエネルギーオーラは膨大で、僕よりも多く感じた。
その男が色々話した。
「貴様がマサハルだな。私は大魔王フィアビル・ボルソガーナ。急に驚かせるようですまない。謝る必要などないか。貴様のせいでだ、獄竜ディアンボルスが復活しようとしている!!!」
僕はその言葉を聞いて驚きで起きた。時間はまだ真夜中。
夢にしてはかなりリアル。
再び寝たけど、眠れはしなかった。
何度も思ったことはあったが、やはり僕がこの世界を狂わせている。その獄竜とやらが復活したらどうなるんだ?
考えることもいやになり入っていた寝袋から出て木に寄りかかった。
空は曇っていて星を見ることはできなかった。
翌朝。結局一睡もせずに朝を向かえた。
眠いという感覚はあまりなかった。
メリナにはなにも話さずに何もなかったように朝食の焼きパンを頬張る。
メリナは料理も極めたみたいで、そのパンは最高に美味しかった。
口に入れて噛むたびにふんわりとした食感が良く、味もとろぉっとしていて甘くて美味しい。
それは嫌なことを吹っ飛ばしてくれるようだった。
だが、その時間は一瞬にして終わる。
その声が聞こえた瞬間、僕の全身に鳥肌が立つ。
夢と同じ、大魔王と名乗る男。
「貴様がマサハルだな。私は大魔王フィアビル・ボルソガーナ。急に驚かせるようですまない。謝る必要などないか。貴様のせいでだ、獄竜ディアンボルスが復活しようとしている!!!」
全く同じだ。まさか、正夢?
かたかたと震える体はそれに怯えているようだった。
一方、となりのメリナは少しは震えているものの、それほど自分の強さに自身があるのかかなり強がって言った。
「なにそれ、嘘でしょ?」
何やってんだぁ! なんて心の中でしか言えない。
「嘘ではないぞ、じゃあ戦って試してみるか?」
「望むところよ」
メリナぁぁあ!!! 馬鹿ぁぁぁあ!!!
心で叫んでも無駄だとは分かっていてもとにかく叫ぶ。
あ、終わった。
「私はそこのマサハルに用があるんだが、少し遊びに付き合ってやろうではないか」
大魔王も乗り気じゃねえか。
ここは全部メリナに任せるか?いや、無理だな。僕も一緒に戦った方がいいよな?
色々考えたが、そんな必要なかった。
「んなーけないだろう。メリナと言ったか?貴様に興味はない。マサハル、貴様を消しに来た。貴様をこの世から消せばこの混乱は収まる」
いや、必要あった?
ヤバいヤバいヤバいヤバい。どうする?戦う?ここは僕が勝っても竜の封印が解けるのに利はあるんじゃないか?
なら、倒す?でも、そんなことできるか?いや、できるか。
やっみるしかない?
てかそもそもさ、悪魔も魔王もそうだけど、急に来るのやめてほしいよね。今回は夢だけど、予告的なのあったけどさ、急過ぎるんだよね!
僕は心の中で激怒しつつ、空中に浮いていた大魔王を見上げる。
「早く消さないと本当にヤバいんでね」
ヤバい、大魔王が動く。どうしよう?
あー、もういい! やってみるだけやってみないと、始まらない。
「メリナ、行けるか?」
「もちろん! そのつもりよ!」
よし、いけるな。僕ら二人ならいける気しかしない。
「貴様もかなりヤバイ存在だな、ついでに消す」
メリナを指差して言う大魔王。
僕はメリナのことを気にしながら戦わないとか。
そんな心配知らないって顔するメリナだけど、心配するに決まってる。
大魔王は多分魔法で来る。なら、魔法で対抗するか?でもメリナが魔法でおさえつつ、そこを剣で攻撃ってのもいいかもな。
方法はいくらでもある。戦い方も戦いながら考えるのもありだ。
考えながら剣を抜いて構える。
大魔王はこちらを睨んだ。
僕も睨み返した。
大魔王はマサハルを消せばこの混乱が収まると言ったが、この戦いがこの混乱を更に深め、世界を脅かすことになることを知らなかった。
僕は剣をまっすぐに構えて震わせながらも方向は変えない。
風が強く吹いて僕らを吹き飛ばすようだった。
「さあ、来ないのか?」
大魔王にくいっと人差し指を立てられ挑発を受ける。
僕は何も思わなかったが、それにメリナが乗った。
「はぁっ!!!」
彼女は言われてすぐに大魔王に構え直して風魔法を全力で吹いた。
しかし大魔王はびくともしずに向かい風を歩いて地面に降りてきた。
足が地についたとたん、地震が起きた。
ドドドドドドド! と、僕らを揺らす。
「えっ??」
メリナは戸惑いながらバランスを保とうとするが、尻餅をついた。
「あっ」
僕はメリナに防御を張って大魔王に抜かって跳んだ。
剣に光を宿して素早く触れ上げられたそれは眩しく光った。
しかし、それはパッと右手で受け止められた。
そしてニヤリと笑みを向けられる。
「危ないなぁ」
抜こうとしても抜けない。握力がめちゃくちゃ強い。
離す訳にはいかないから左手だけ離して最強で風を吹き、右手で剣を握ったまま離れようとしたが、風の圧力が僕の全身に加わっただけで、剣が大魔王の手からとれることはなかった。
「無駄だな」
「ちっ」
舌打ちをして右手を離し、さらに勢いの強い風を吹いて自分だけ離れた。
やっぱり、こいつも五属性通用しないみたいだ。
メリナにそのことを話したけど、「わかった。じゃあ、目眩ましでもいいから手伝うね!」と言い、戦いをやめようとしなかった。
そんな彼女に対してため息をつき、大魔王を探す。
ずっと向こうに影が見えた。
この距離ならばれないし、届くと思った僕は、鍛えられた必殺封印魔法の構えをする。
これで決まってくれよ
そう願いながら力をためる。
いつも思うが、今までにない最高の威力を放ちたい。
両手に力をためる。
するといつもとは違う感じで手が震えてボコボコと膨らみ始める。それはどんどんと大きくなり、今にも爆発しそうだった。
何が起きるのか...
さらに膨らんだ。
そして、一気に解放される。
それに合わせて全身全霊を込めて叫ぶ。
「ウオォォォォォォ!!!」
僕の両手から放たれたそれは、今まで知っていた必殺封印魔法ではなく、光輝かず、闇のように暗く、真っ黒な波動光線が放たれた。
その破壊光線は大魔王めがけて走り、大魔王は防御などする暇もなく、その攻撃を生身で受けた。
光線が通った所は次々に爆発を始め、森を荒らし尽くした。
収まったころには森は消えていた。
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