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動き出す者たち

ここからがこの物語のスタートと言ってもいいところです!

 マサハルに宿った古き伝説の勇者の話ー。

 それは千二年前。

 ウォルカシオ・パリビリア・キン。

 彼はのんびりと冒険者をやっていたが、ある日迷い込んだ迷宮で武神に拒否権をなく強引に強制的に鍛えられる。

 結果。彼は喧嘩っパヤイ性格になり、S+ランクという最強クラスにまで上り詰めた。

 その後、六魔王へ喧嘩を売り、大戦争を巻き起こした。

 しかし、ウォルカシオは魔王にあっさり負けた。

 だが死後、その功績を称え勇者と呼ばれるようになった。

 千二年後。ウォルカシオの魂体は自分と同じくらいの強さの冒険者を見つけ、そいつに宿ろうと狙った。

 そいつには何百もの厚い防御壁が張られており、簡単には宿れなかった。

 だがある日、そいつは魔王フレドロスとストムと交戦した。その時、厚く張られていた防御壁は薄くなっていた。

 ウォルカシオはそこを狙い、マサハルに宿った。

 するとそのマサハルの身体で自由に動けるようになった。

 ウォルカシオはその身体を動かして分かった。こいつは過去の自分より強いと。

 魔王を見て彼は何千年ぶりの戦いだ!? と喜び全力で挑んだ。

 しかし、その身体はすぐに限界になった。

 今のウォルカシオでは、マサハルの身体を動かすなど地獄のように難しいことだったからだ。

 くそっここまでかと思いながら意識を失ったが、彼はしっかりとマサハルに宿った。

 それから一ヶ月。

 ウォルカシオの意識が戻った。

 見るとマサハルがメリナという娘と模擬戦中だったみたいた。

 その戦いを見て驚かされるところや言いたいことなど色々浮かんだ。

 だがなぜか今このマサハルの身体を動かすことが出来ない。

 原因不明。

 仕方ないのでのんびりとマサハルのことを観察してさらに一ヶ月。

 そのマサハルがなんと...




 S+ランクを超えたのだ。


 ウォルカシオはこれがなんなのか理解出来ず、困惑した。SSランク?Z?SE?など新たなランクの名前を出してみたがしっくりくるものが無い。

 大魔王に匹敵するほどの強さのように思えたが、すぐに大魔王には敵わないなと悟った。

 なぜなら大魔王はその強さを測ることすら出来ないのだから。


◇◆◇


 僕はメリナと修行を続けて二ヶ月、最近感覚が変になり始めた。

 力の制御は出来ているのに、全開放したら恐ろしいことになるような気がしてならない。

 S+ランクという次元を超えたのかと思うくらい。

 一回、新しい必殺技を空に向かって打ってみた。

 するとそれは今までにない威力と破壊力で宇宙まで飛んでいったようだった。


「あ、あ...」


 驚きで尻もちを着くほど。

 これはメリナには隠そうといつも通りの威力に制御して過ごした。

 そんな彼女はS+ランクまで上り詰めた。

 そっちの方がやばい気がしてきたが彼女はS+ランクに到達してからそれ以上強くはならなかった。

 人間や通常の魔族の限界がS+ランクなんだろう。

 なのに僕はS+ランクを超えた。これは僕自身が進化したとしか思えない。人間魔王?神?魔人?

 そんなことを考えながら僕は空高くを見上げた。

 青空は遠く綺麗に透き通っていて宇宙まで見えそうだった。

 考えても答えは出てこなかったのでもう考えることをやめた。

 こういう時は神に聞けばいいんだし。創造神なんだから、この世界のことをなんでも知っているんだろう。


(このS+ランクを超えたランクなに?)


 最近は神に対してタメ口だった。


(あのな、私は世界の半分しか持ってないんだって)


 あらま、じゃあその半分は?


(もう半分は大魔王が握ってるな)


 やっぱり?


(じゃあこの謎のランクのことも知らないの?)


(ん?んー...分からん!)


(...)


 そんなにキッパリ言わなくても。

 神でもダメか。

 ならこのことはほっとこう。

 僕はそれから自分の強さのことをあまり気にしなくなった。

 なのに、度々襲ってくる馬鹿な悪魔どもがそのことを思い出させてくる。

 悪魔が言葉を発する前に瞬殺するようになってからは変わったが。


◇◆◇


 このことは大魔王フィルガナにも渡っていた。

 フィルガナはその報告を受けて改めてマキ・マサハルがどれほど恐ろしい男なのかを知った。

 しかもマサハルはもう人間ではなく魔人になっていた。それは人間が人間ではなくなった時、進化する種族。

 さらにマサハルはS+ランクを超え、新たなランクを生み出した。大魔王フィルガナに匹敵するほどの強さ。

 フィルガナは自分よりも強い存在が生まれるのを嫌った。絶対に許せなかった。

 実際。この世界でフィルガナより強い者なんか、彼が言うアイツを除けばいないのだ。いや、いないはずだった。

 だが今、それが覆されようとしていた。

 それだけじゃない。マサハルの存在によって世界のエネルギー割合が高くなり、封印されし竜が復活してしまう可能性だってあるのだ。

 大昔。フィルガナが誕生したばかり、この世界が誕生したばかりの頃。それは存在した。

 それは一瞬世界を滅ぼしかけた。

 今の彼でも勝てないほどの竜だ。

 まだある。マサハルにより、千二年前の勇者が復活しかねない。

 マサハルという存在がこの世界をぐちゃぐちゃにしているのだ。

 マサハルは世界を滅ぼす種になる。

 大魔王が動くのもそう遠くは無いのかもしれない。


「グヌヌ...」


 ダンッ!!! フィルガナが座っていた玉座に拳を叩きつけた。

 周りにいた配下たちがビクビクと怯え始める。

 その場はなぜ怒っているのかが理解出来ずに心配ではなく恐怖だ。

 落ち着いてくださいと言うも、聞かないフィルガナは立ち上がり、どこかへ去っていった。


◇◆◇


 神界ベネゼルファ。武神、守神、自然神、創造神、天空神、魔神が集まる世界。

 それぞれの神が何らかの加護を与えたり、領地を守護したり。

 世界を創ったり。

 この世界は神で出来ていると言ってもいい。

 しかし、現在半分を魔王に支配されている状況である。

 しかもそれに合わせてこの世界に新たな異常転生者が現れる。その転生者がこの世界の一割を支配しようともしていた。

 様々な事がおきすぎて混乱中。


「創造神! お前がこのマサハルとやらを転生させたんだろう?能力を与えすぎじゃないか!」


 ガチガチの筋肉が目立つ武神ボルカッツが創造神ウェイの白い美しいすけ服の襟を掴んで叫びかける。


「そんなに与えたつもりじゃないんですけれども、勝手にエネルギーが増えてきちゃってね」


 自分は何もしてないと主張するウェイは少し笑いながら話した。

 それに武神はさらに激怒。


「この世界のエネルギー割合が異常なほどに狂って、あの封印されたはずの竜が復活してしまうんだぞ!!!」


 怒鳴りかけられたウェイは溜息を一つしてやれやれと首を左右に振った。


「マサハルが自分でなんとかしますよ。しかも、少しならエネルギー割合を調整することだって出来ますし。」


 そう言ってウェイは姿を消した。


「グヌ...」


 武神ボルカッツは右手拳をギリギリと握りしめた。


「マサハルと言ったな...俺がさらに鍛えてやらねば...」


 武神ボルカッツは千二年ぶりに再び地上に戻ろうとしていた。


 こうして大魔王、封印竜、神が同タイミングで動き出す。

 竜の封印は徐々に解かれようとしていた。


◇◆◇


 そんなマサハルだが、そんなことを知る由もない。

 ただ魔王に備えるためにと、のんびり修行中。

 自分がどんな存在なのか、自分がどれほど世界を狂わせているか、何も分かっていなかった。

 今も、「疲れたぁ...」などと言って呑気に川の綺麗な冷水をグビグビと飲んでいる。

 そしてまた動く。ひたすら魔法を放っては制御の練習、模擬戦と繰り返していた。

 この修行がとても危険だということも知らずにー。


最後までお読みいただきありがとうございます。

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