表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/32

それぞれの修行と決意

そういえば、十二話と十三話の順番を間違えました。すみません。

正しくは、十三話、十二話です。

僕がこの世界に転生して急に名をとどろかせたからか、喧嘩っパヤイ悪魔や魔王までもが戦いを申し出てくるようになった。

しかも、僕の中に古き伝説の勇者が宿った。色々と僕に急展開が降りかかりすぎて状況理解、状況整理が追いつきそうにない。

これからのために、もっと強くなろうとシェルと共に決意をし、修行の旅に出ようと思うが、修行といっても何をすればいいのか?僕とシェルがひたすら戦って強くなる?それは少し危険な気もするし、僕が遠慮がちになってしまう。

もっと思いっきり修行出来る方法を探さないと。

その前にここを何とかしなきゃな。

魔王との戦いで荒れ果てた森は原型が掴めないほどに平地になっていた。

多分冒険者などがこの森に来ているはず...だから、これがバレればかなり不味いことになる。

早く治そう。


僕は荒れた地に手をあてて深呼吸をし、最高の回復魔法をかける。

すると洞窟のように穴が空いた地は土が盛り上がり元通りになり、そのまま草が生え始めた。さらにそこから木が生え始め、生命が生まれ変わり始めた。生命のオーラが魔王のオーラのように凄まじくなり、光り輝いた。

森がまた生き生きとした。


「ふぅ...」


僕は手を離すとそのまま体が倒れた。まただ。

なぜか僕の体が思うように動けない。

立ってくれない。

まさか体力の限界?

エネルギーが尽きた?

とにかく立ち上がることで精一杯という感じになっていた僕は、シェルと肩を組んで、木の影によりかかった。


「ありがとう」


肩を話すと木に背中があたる感触がし、スッ…と力が抜けた。


「うん」


シェルが落ち着いた声で言いながら僕の方に体重を乗せながら立ち上がった。


「私師匠の元に帰ろうと思うの」


「シェルに師匠がいたんだ」


「うん」


シェルは彼女の師匠に修行をしてもらうらしい。明日にでも出発したいと言っていた。

ということは僕は久しぶりに一人になるのか。


「一年ほど、修行してくるわ」


「分かった」


翌日。朝早く起きたが、もう彼女はいなかった。どれだけ出発早いんだよと独り言を喋っていた。

そういえば、メリナはどうなったんだろう?一人になると人を探そうと身体が動く。

気づけば神聖の大樹の前に立っていた。

そして、ダンジョンの裏口を通りエルフの都市に入った。

久しぶりにメリナの家に来た。いないかと思ったけど、そこには彼女の姿があった。


「あー! マサハル! 久しぶり!」


その顔は一度別れた時よりも美人化しており、魅力的だった。可愛いと言うより美女だ。美しかった。


「あ、うん。それで、メリナは今まで何を?」


すぐに聞くのもあれだと思うが、とりあえず聞いてみた。


「私ね、しゅぎょーしてたの!」


顔は変わっても性格や話し方はやはり子供っぽく、可愛かった。


「そう、どれくらい強くなったの?」


「フフーン! S-ランクよ!」


彼女は胸を張って自信満々にそう言った。確かに凄かった。S-なんて、僕が転生したばっかりの時とほぼ同じじゃないか。

彼女は努力でSランクまでたどり着いたのか。僕みたいにチートじゃなくて。彼女なりに努力して...

そう思うと涙が零れた。


「そうか、凄いね」


その言葉は少し泣き声になっていた。


「えっ?えっ?どうしたの?マサハル?」


僕の顔を下から覗いてきた。

彼女は僕を心配して慰め言葉を並べてくれたが、意味は無い。感動だから。


「大丈夫だよ、ごめんね」


話を聞いてみると、ここのエルフの戦闘隊長さんに修行を受けてもらったらしいが、隊長までも越したらしい。凄い女の子だ。

メリナの家におじゃまして、お礼をし、すぐに彼女と神聖の大樹を出た。

その後、彼女がこう言った。


「私、マサハルと修行したい。もっと強くなりたいんだぁ」


「えっ?」


その言葉を聞いてドキッとし、困惑した。それと怖くなった。もしかしたら、メリナは僕のことを越すかもしれないと。

でもその恐怖?は、すぐに収まり


「いいよ」


と修行を受けることにした。越えられない程度で抑えればいいじゃないかと思いながら、軽く受け入れた。

メリナも本気みたいだから、少し力を使いながら戦っても問題ないだろう。


「じゃあ、メリナ、早速メニューをこなしてもらうよー?」


僕は調子を良くし、基本的な自主練レベルの少しキツイ感じのメニューをこなしてもらった。


「はいおっけー」


僕は軽く手をパンパンと叩いてメリナに歩み寄った。


「次は実戦してみよっか」


と言って僕はそこにいた魔獣を指さした。

だいたいAランクといったところか。多分今のメリナなら余裕だろう。


「うんっ!」


メリナは今までになかった構えをして、魔獣に向かう。そして、目を瞑りながら深呼吸をしてまた目を開いた。

その瞬間、メリナの手から熱く燃え上がる炎が放たれた。


「えぇっ!?」


僕はそれを見て驚き、手を口にあてた。メリナが炎を操った。


「すご...」


しばらく見とれていた。気づけば魔獣は灰になっていた。


「フフーン、どう?」


「さすが、Sランク」


もうこれは僕と実戦してもいいくらいだろうと思った僕はメリナに伝えた。


「ホント!?本気になってもいい?」


そんな言われ方すると少し怖くなるけど、多分大丈夫。初めてメリナと戦った時とは変わっているだろうけど、今でも勝てると確信できた。


「一回休憩してからね」


そう言ってメリナは給水をした。

彼女は炎魔法を放ったことでかなりの汗をかいていた。

その汗は、彼女の肌をするりと流れ落ち、さらに彼女を魅力的にした。


「おっけー、じゃあ始めよっか」


メリナは僕をまっすぐ見つめて深く息をした。

ドクンドクンと心臓の音が鳴り響く。

なんだこれは?緊張?

雅晴が少し固まっていたところを隙と見た彼女は、すぐに魔法を放つ構えになっていた。

やべつ

僕は咄嗟に防御魔法を放ち、彼女に魔法を放つ構えをした。

しかし彼女はそれが分かっていたのか僕に向かって炎の玉を投げたあと、すぐ近くに接近していた。

まずいっ...僕は少し焦った。動きが読まれているようだった。

彼女は僕の背後に回りこみ、今度は草(自然)魔法で、僕の足元から木を生やした。

それは防御魔法をも貫通し、僕をきつく縛り付けた。

やばいやばいやばい...かなり焦った。


「凄いでしょ?」


彼女は自信満々にそう言うと次なる攻撃の準備をした。

僕はそれに対抗すべく、自分の体にまとわりつく木を払い、自分の身を竜巻で囲んだ。

そして、急速に近づいて行った。

その竜巻は激しさを増し、そこらの木をなぎ倒しては根っこからぶち抜いて空へ飛ばした。

そしてメリナを目の前にしてさらに激しさを増して彼女を包み込んだ。


「きゃあっ!?」


これで終わりだ! 心の中で笑いながら叫ぶと、思いっきりメリナを吹き飛ばした。


「キャアァァァア!!!」


彼女は空高く吹き飛ばされて急速で落下して来た。

僕は急いで竜巻を収めて彼女をキャッチした。


「ありがとう」


しかし彼女はお礼を言ったあと、ニヤリと笑い僕の腕から飛び跳ねてすぐに僕に向かって構えた。

勝ったと思ったけど、彼女はまだ戦うつもりだ。


「ふーん、そう」


僕もニヤリと笑いながら構えなおす。

メリナから来た!

彼女は風魔法で僕と同じように竜巻を放ち、僕の目をくらませた。

しかし、そんなの暗視能力があれば余裕。竜巻の先だって霧の中だって見えるのだから。

なのに彼女の影はどこにもなかった。

その瞬間、背筋が凍るような感覚を覚えた。

背後からメリナが氷の剣をもって接近していた。


「なにっ!?」


僕は驚きを隠せずに思わず口にして振り向く。この子はとんでもない子だな。努力だけでこんなに強くなるなんて...と関心もしていた。

その瞬間、僕はメリナを尊敬した。

瞬きをしたら右肩に凍るような冷たい感覚を覚えた。

僕はしゃがみこんで、防御魔法を放ちさっとその場から離れた。そして草(自然)魔法の木でメリナの体を縛り付けて


「残念」


と言ってその木ごと吹っ飛ばした。

はぁー、強かったーともう終わったようなこと考えていた。

僕は疲れてその場に座り込んで念の為、全身に回復魔法をかけておいた。

上を見上げてメリナがいつ落ちてくるかをしっかり探す。

すると彼女が空から猛スピードで落ちてきた。

僕はさっきのようにキャッチした。もうさっきのようなパターンはないだろうと思った。

しかし彼女はまたニヤリと笑った。


「!」


僕はまた何か来ると思い、さっと避けて構えたが、彼女は僕を笑った。


「はは、ごめんごめん、私の負け」


なんだよ、ビックリさせるなーと内心ヒヤリとしながらも


「うぃー」


なんか喜んだ。


「あともう少しだったのになー」


メリナが僕の隣に座り込んで空を見上げながらそう言った。


「だな、僕も驚いたよ。まさかそんなに強くなってたなんて」


心から褒めた。

メリナは嬉しそうに頬を赤らめて右手で顔を隠していた。

こういう時こそ娯楽がしたい。最近、楽しいこと少ないし、米がなくてストレス溜まっている気がするし、なんかしよう。

出来ることと言ったら、この自然の中でなら季節に合わせて花火だろう。

まず、木の枝を持ってそれに炎魔法で炎を込めて先から火を出す。

まあやってみよう。

夜、木の枝を沢山集めて準備しているとメリナが不思議そうにこちらを見てきた。焚き火では無いことに気づいたのか、興味があるっぽい。


「遊びをするんだよ」


分かりやすく説明したつもりだったけど分からないみたい。


「花火って言って...」


という感じで花火について説明してあげた。

すると彼女は目を輝かせてさらに興味を持ったようだった。


「なにそれ! やりたい!」


さて、成功するかは分からんけど...

とりあえず木の枝を持つ。そして炎魔法を放ってみる。

分かってたけど、ただ炎を放つだけじゃあ枝が燃えるだけ。


「あぢっ」


先につけたって燃えるだけ。そもそも、花火は木の枝で出来るものじゃない。火薬が必要なんだけど...火薬って、どうやって作るか分かんないし。奇跡を願うしかないか。そもそも火薬がなんだかよく分かってない。

花火が本当に火薬なのかさえ理解してないし。

前世中二だもんねー!


(なんか方法ないですか?)


創造神に頼んだって無理だろうけど、最後の頼みづなだ。


(かんったん! まかせろ!)


なんか?張り切ってる?ま、良かった良かった。

神によると炎魔法と草(自然)魔法を同時に宿せばできるらしい。結構簡単じゃないか。

早速木の枝を持って炎と自然の力を宿す。

枝に集中すると枝はぷるぷると震え始めた。失敗かと思ったけど、その後枝の先っぽから小さな火の目が出た。

そして、パチチと音を立てて赤い光が照り輝く。まだ普通の火だけど、こっから色を変える。

それは簡単で頭の中で色を考えるだけでいい。

メリナも簡単に成功していた。

火は赤、青、緑、黄色と色を変形させ、明るく照った。

まっすぐに火の柱が立つ。


「うおわっ!?」


「綺麗!!!」


メリナは花火を見てまた目を光らせて、ずっと見つめていた。その目には美しく花火が映っていた。

僕も久しぶりにニッコリ笑った。

最後までお読みいただきありがとうございます。

よかったらブックマーク登録、評価よろしくお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ