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第4話 フルクト・リダルナ

昨日、スイートちゃんが言っていた【黒】の秋映(アキバエ)から襲撃され、私はスイートちゃんを(かば)った影響で私はアレルギー反応らしき症状が出ていた。やっと治ったけど…別の問題が起こった。


「ねぇ、そろそろ出てもいいかな…?」

「ダメです。せっかくなので、おねえさんはもう少しだけわたしのそばにいてください!」


スイートちゃんが私の腕に抱き着いてきてなかなか布団から出られないのである。


「けどさ、私にもやらなきゃいけないことがいっぱいあるわけでさぁ。一緒にいたくてもメリハリは付けたいから…」

「もぅ、おねえさんのイジワル…」


こうやって()ねるスイートちゃんも可愛くてキライではない。こんな可愛い妹分は放っておけないかも。


「しょうがないなぁ。あと少しだけ…」


「麗華ー、なんかアンタ宛てに客来てるぞー」


せっかく気が向いた時に限って来客か…。でも、今通ってる高校は県外の学校だし、幼なじみや友達も今は学校行ってる時間だろうし…。

(先生や学校にフルーツガールズの話を本人たちも同行の上で話しに行ったら信じてもらえて留年及び仮停学という扱いにしてもらった。)


「はい、どちら様でしょうか」

「ここか?【黒】が出たとおぼしき場所は」

「何であなたが【黒】のことを…」

「それはこっちの台詞(セリフ)だ!貴様ごときこの世界の一般人がなぜそれを知っているのかが到底理解に及ばない。貴様、フルーツガールズという言葉に聞き覚えは無いか?」


「それって、わたしたちのことですか?」

「なっ!?なぜ6人もいる!?貴様、さては密猟に協力し、我らに仇成(あだな)す凶悪犯だな!?」


「違います、誤解ですよ!私は、彼女たちに助けを求められて…」

「ほう、詳しく聞こうじゃないか」


そして事情聴取を受け、詳しい経緯(いきさつ)、それぞれの品種、私との関係性や彼女らが来てからの私の生活についてなどを調べられた。


「そうか。それで【黒】、が。それで、本当に身を(てい)して彼女を守ろうとしたのか?」

「はい、間違いないです」

「…まぁ、上に打診して次第だが、お前は私と同じ部署の所属になるな」

「部署?一体何の話か分かんないんですが…」

「私はマリィ・ラストレス。こう見えて異世界人だ。私が所属している団体は『フルクト・リダルナ』。フルーツガールズを守り、密猟者を裁く組織だ。もし仮にお前がそこに入れば寮生活になるし、金は入るが自由に外出したり家に帰って来たりすることはできない。普段の任務は密猟者の捜索、フルーツガールズの保護護衛、【黒】の捕獲、あとは保護町(トリカゴ)の見回りだな。保護町(トリカゴ)ってのは、人間とフルーツガールズが共存する一見普通の町だ。その町は通常、FJVV(フィヴ)、『フルーツガールズ保護福祉会』が警備してるんだが、『トリカゴ』なんて呼ばれ方するだけあって警備がザルなんだ。そんでもって私らはそこの落ちこぼれよ。だから私らは町の安全に務めて本部に戻ろうってことで活動始めたら…、本部よりもやりがいが出てくるようになった。まぁ、給料は良いとは言えねぇが、お前の人生の生きがいになると思うぞ。それだけフルーツガールズに助け求められてたんなら」

「…はい、やってみます!」

「そうか、なら3分40秒待ってやる。その間に支度しな」

「微妙なタイムですね…。誰かと誰かを…」

「そんなこと言ってる場合じゃないぞ。こんなタイムで支度しろって言うのは鬼畜だろうとは思うがせいぜい頑張れ」

「大丈夫だ、問題ない。なんちゃって☆」


その後、しっかりフラグ回収してまとめ切れなかった…。


「おい、出発するぞ。7人とも準備はいいな?行くぞ」


こうして、私たちは異世界へ旅立った。

数分経つと、気づけばロボットアニメの指令室のような広すぎる上に機械まみれのモニターの光くらいが光源に感じられる薄暗い部屋にいた。


「マリィ、情報回収ご苦労だった。何かいい土産(みやげ)はある?」

「はい、新しい入団希望者とフルーツガールズ6人をお連れしました」

「へぇ。フルーツガールズ6人とはどういうことかな?あとでじっくり…」

「その件については別で報告させていただきます」

「そう。それで、入団希望者というのは?」


「初めまして。私は綾乃麗華(あやのれいか)です。彼女たちフルーツガールズに助けを求められ、関わっていくうちに守ってあげたいと思うようになったのでこの(たび)入団を希望しました。よろしくお願いします!」


「マリィ、一応確認しておくけど彼女のフルーツガールズにかける想いは本当?」

「私の目で確認した限りは確かです」

「ならいいわ。お前、ここに来たばかりでまだパートナーが決まってないでしょ?…しまった、自己紹介が遅れたわね。私は桂川美咲(かつらがわみさき)よ。よろしく」

「は、はい。よろしくお願いします…」

「お、丁度(ちょうど)いいところに…。咲弥(さくや)、こっちにきて」


後ろを向くと、茶髪セミロングのアホ毛付きで眠そうに目をこする同い年くらいの少女がいた。


「咲弥、この()があなたのパートナーよ」

「そぅですか…。どうも、鈴村咲弥、16歳です。私も入団して3か月しか経っていない上に何もミッションに参加していないので銃の腕以外は特に変わらないと思います。よろしくお願いします」


外見や顔から想像するのは容易(たやす)かったけど、物静かな娘だなぁ。


「私は綾乃麗華。こっちこそよろしくね」


私が簡単な自己紹介を済ませると、何故か彼女の口元には笑みが浮かんでいた。


「おい、あの咲弥が微笑んでるなぁ~。めっずらしい~」


マリィさんが地味に茶化すように言うと、一瞬だった。咲弥ちゃんは目にもとまらぬ速さで銃をバックパックから器用に取り出し、マリィさんに向かって撃った。


パァン!


幸い、マリィさんの髪の一部を焼き切るくらいで済んだけど…。


「美咲さん!?」

「大丈夫よ…」

「本当に大丈夫なんですか!?」

「それはともかく、はい、これ。『フルクト・リダルナ』の制服と銃とバックパック。バックパックの中にはもしもの時に役に立つかもしれない道具とか弾丸のストックとか入れてあるから」

「はい、ありがとうございます」


「おねえさん、やっと見つけました!!」

「スイートちゃん!?それにみんなも…。一体どうしたの?」

「銃声が聞こえたから、おねえさんに何かあったんじゃないかと…」


「そうだ!いいこと思いついた。6人の中から誰か、2人と一緒に任務に行ってくれないかな?」


「はい!わたしが行きます!」

「シナノスイートちゃんだっけ?行ってくれるの?」

「はい!」


「余も異論は無いですしゃ」

「別に、悪くないんじゃない?」

「拙者も同意するであります!」

「わらわも推薦するぞ」

「ぼくはどっちでもいいよ」


こうして、5人の承諾もあって私と咲弥ちゃんの任務にはスイートちゃんがついてくることになった。


続く

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