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魔王軍の訓練に……参加? 2



 魔王の花嫁になると決まって、ガルベス王国に転移魔法で送られてきてから、お城の外にきちんと出るのは初めてだ。


 ……体力は、ある方だと思っていたけれど、これは。

 しょせん、私の体力など人間の小娘レベルでしかないと思い知らされる。

 走っている最中に、息切れしてしまった。


「はあはあ。限界……」


 普段の温厚な表情は何だったのかという冷たい視線でこちらを見たレオン様は、「……やはり脆弱だな」と、いかにも魔王の配下らしい言葉を口にした。


 レオン様! 私の癒やしのレオン様が!


 けれど、次の瞬間、私の体は宙を舞い、レオン様に横抱きにされていた。


「はぇ?」


「……加減が難しいのですよ。リリアンヌ様が、けがをされたら困ります。でも、骨が弱くなるのも折れてしまいそうで困る。さて、どうしたものでしょうね?」


 こ、この状況はいったい?


 黒い軍服の犬耳騎士様に、お姫様抱っこされて、悩ましげに見つめられている。


 まあ、もちろん悩ましげなのは、魔物や魔族の基準で、私が弱々すぎるからだということは、わかっているけど……。


「力こそが全てだと思っていたのに……。リリアンヌ様は、どうして」


「レオン様?」


 レオン様は、かわいらしさのある顔に似合わず、鍛えられた体をしている。

 広範囲魔法は、使えないと言っていたレオン様。


 確かに、魔王軍といえば、街など消し飛んでしまう高火力魔法を、下っ端でも打ち込んでくる印象だわ。

 そしてたぶん、その認識は間違っていない。


 それなのに、レオン様は序列10位だという。

 それだけ努力したということよね……。


「ああ、でも今は、リリアンヌ様をお守りできるよう、もっと強くなりたいです」


「レオン様」


「だから、リリアンヌ様も、せめてバランホルムの突撃程度では、骨が折れないくらいに強くなってくださいね?」


 にこりと笑ったレオン様。

 破壊力がありすぎて、不覚にも胸が高鳴ってしまった。


 それと同時に、不穏すぎるその言葉にも。


「あの、バランホルムって突撃だけで城壁を軽々壊すって本で読んだことがあるのですが、事実ですか?」


「この国の王城みたいに、魔力で結界が同時に構築されていれば別でしょうが、普通の壁なら粉砕するでしょうね?」


「えっと、人間の骨は……」


 間違いなく、人間の骨は、いや体は城壁よりも、もろい。それはどんなに鍛えたって変わらない。


「我が軍の訓練に参加すれば、すぐに強くなれますよ!」


 たぶん、バランホルムに出会う前に、私の骨は折れてしまいそう。そんな予感がする。


「…………何があってもこの命をかけてお守りします。……でも、あと少しだけ安心して見ていられるように強くなってください!」


 後半の台詞、不要だなぁ……。

 このとき私は、本気でそう思った。

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