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鉄と真鍮でできた指環 ~季節編~  作者: とり
 短編12 読書(どくしょ)の秋
29/36

12-2.図書券 【後編】



 〇このものがたりは『12-1.図書券としょけん 【前編ぜんぺん】』のつづきです。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 〇登場とうじょうするキャラクターの紹介しょうかいです。

 ・はく 時臣ときおみ:50才ほどの男性。魔術まじゅつ名門めいもん校【学院がくいん】の学院長がくいんちょうをつとめる魔術師まじゅつし

 ・和泉いずみ:【学院がくいん】の初等部しょとうぶ所属しょぞくする、11才の少年しょうねん。【おもて】(魔法まほうのない世界)からきた。




 和泉(いずみ)は森林庭園のベンチで本をんでいた。

 ながそでのトレーナーに、はし()ったデニムのズボン。みじかい黒髪(くろかみ)黒眼(くろめ)の、典型的な日本人男子(にほんじんだんし)といった風情の少年しょうねんだ。

 としは十歳(じゅっさい)かそこいらだが、背は同世代の子どもたちにくらべて低い。

 ふっ。

 と影がさす。

 和泉はかおをあげた。

 はい色のかみをオールバックにした、鉄面皮(てつめんぴ)おとこおろしている。よこには怖い顔付かおつきのおおかみもいる。

(はっ……。(はく)先生だ……!)

 このわりみたいな表情ひょうじょうをして和泉はかたまった。

 相手あいてはじっと険しいつきでこちらを睨んでいる。

 和泉は自分のんでいる(ほん)を、よっぽど隠そうかとおもった。

おこられる。……ってか。殺される)

 【(おもて)】(魔法まほうのない世界)の出身者しゅっしんしゃが、こちらで書いて出版(しゅっぱん)していた娯楽小説(ごらくしょうせつ)だ。

 【表】にいた頃、ネットのレビュー動画や小説しょうせつの感想欄で、『こんなん誰がむねん』と散々たたかれていた(たぐい)の。

 内容ないようはすっからかんだし、文章(ぶんしょう)もうまくないけれど。和泉は(この)んでこの手の小説しょうせつを読んでいた。


 ひょい。

 とはく和泉(いずみ)からほんを取りあげる。

 まっさおになって、和泉は箔の行動をみつめるばかり。

 というより。視線もふくめて、身体の全部が言うことをきかなかった。

 くだらん。

 もっと()になるものをめ。

 こんなものをるひまがあったら授業じゅぎょうに出ろ。そのほかいろいろ(エトセトラ)……。

 そんな非難(ひなん)の飛んでくる未来が、一瞬(いっしゅん)の内に和泉の脳裏(のうり)去来(きょらい)する。

 ぱらぱら。

 (はく)はページをめくって言った。

「私はおもしろいとおもわないが。きみはこういうのがきなのか?」

「は……」

 やっと和泉は運動を取りもどした。なので。

 ちぢこまって。

 かぼそい声で。

 きそうになりながら。

 ちっちゃく返事した。


「はい……」

「なら。今度こんど買う時の()しにするといい」

 はくは白くほそながい封筒(ふうとう)を、(しおり)みたいにしてほんにはさんだ。

 ぱたんと閉じて、和泉いずみに返す。

 きょとん。

 と和泉(いずみ)(はく)からほんを受けとった。

 ページにはさまれた封筒ふうとうのなかには、千円分(せんえんぶん)図書券(としょけん)はいっていた。




                (【短編たんぺん12:読書どくしょあき】おわり)





 んでいただき、ありがとうございました。



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