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鉄と真鍮でできた指環 ~季節編~  作者: とり
 短編9 おぼん
25/36

9-4.ロシアンおはぎ ~お墓参り編~




 〇このものがたりは、『9-3.ロシアン・おはぎ ~お花畑はなばたけ編~』のつづきです。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 〇登場キャラクター紹介しょうかいです。

 ・シロ:うさぎのみみをはやした、白いボブショートの少女。外見の年齢ねんれい、17才くらい。魔術まじゅつ名門めいもん校・【学院がくいん】の女学長おんながくちょう史貴しき あおい使つか。元はカイウサギという品種ひんしゅのうさぎ。

 ・チャコ:ちゃ色いながいかみに、メイドすがたの女性。外見の年齢ねんれい、18才くらい。【学院】の最高実力者さいこうじつりょくしゃ史貴しき あかね使つか。元は小型のしばいぬ。

 ・リョーコ・エー・ブロッケン:あかいセミロングに赤いの20才の魔女まじょ。【学院】付属の研究所けんきゅうじょではたらいている。

 ・史貴しき あおい:【学院】の女学長。21才。シロの主人。食べたら死ぬタイプの料理りょうりをつくるのが得意。名前なまえのみの登場とうじょう




   〇


「おーい、ブロッケンさーん」

 シロは(ゆか)ている赤毛(あかげ)魔女(まじょ)をゆさぶった。

 ターンテーブルでルーレットをした結果、リョーコの(せき)に来たおはぎをチャコが食べさせた途端とたんたおれたのだ。

 リョーコの(かお)(みどり)変色へんしょくし、両目りょうめ白目(しろめ)をむいている。

 くちからは(あわ)まじりのよだれが垂れているが……。心なしか。しあわせそーな笑顔(えがお)である。

 シロとおなじようにしゃがみこんで、リョーコをのぞき込みながらチャコが結論した。

「これは。つまり……。ブロッケンさまは、見事みごと大当(おおあ)たりをひいたと」

 ながい茶髪(ちゃぱつ)のメイド――チャコのことだが――は、ぽんと手を打って満足(まんぞく)げに言った。


 飛びあがらんばかりにシロが立ちあがった。

「やったあっ。じゃあのこりの五個は、私とチャコが作った安心安全あんしんあんぜん設計のやつだね!」

「ええ」

 チャコもぽんぽんとエプロンドレスのスカートをたたいて立ちあがる。

 のこりのおはぎがった中華(ちゅうか)テーブルにあるきながら。

「それじゃあ。ブロッケンさまがを覚ましてややこしいことになるまえに、さっさと食べてずらかりましょう」

「それ以前に……。目え覚めるのかな。まさか死んじゃったってことはないよね?」

「だいじょうぶよ。あなたがおもってる以上いじょう頑丈(がんじょう)だから。その人」

「だああああああああ!!」

 うわさをすれば。なんとやら。

 リョーコは昏倒こんとうしていた状態じょうたいからきた。

 グリーンだった顔色(かおいろ)(あお)くらいにまで回復し、目は充血(じゅうけつ)した赤目(あかめ)――虹彩(こうさい)が赤いのはこの魔女(まじょ)の生来の特徴(とくちょう)だが――になっている。


 (あわ)まじりのよだれをぐいっと力強(ちからづよ)くぬぐって、彼女かのじょはいつもどおりそこそこ元気なすがたでフローリングに立っていた。

「うわっ。ブロッケンさん……。おはやいお目覚めざめで」

「もうすこしねむっていらしてもよかったのに」

 と。どこから取りだしたのか。トンカチをリョーコの(あたま)めがけて振りかぶってチャコ。

 はっしッ。

 脳天(のうてん)への(かな)づちを、リョーコは白刃取(しらはど)りで受け止めた。

「っざけんなッ。あれ以上いじょうながく留まってたら、死んだじーさんとこにふらふら辿たどりついちゃってたわよ!」

「あ。臨死(りんし)体験してたんですね」

 シロが合点(がてん)がいったとばかりに(ゆび)らす。すかッ。

 行きのなくなったトンカチを、片手にとんとん打ちながらチャコはにっこりする。

「よかったではありませんかブロッケンさま。丁度ちょうど今日きょうはおぼんですし。お墓参(はかまい)りの手間てまもはぶけて」

「そういえば。おぼんには先祖の霊が現世にもどってくるとも言いますね」

 びすっ。

 と親指立(おやゆびた)てポーズで。シロお。

「だから。ご先祖さまのほうもこっちに帰ってくるめんどうがなくなって一石二鳥(いっせきにちょう)じゃないですか」

「あ、ん、た、ら、わあああああああああ」

 両手(りょうて)をわなわなふるわせてリョーコはうめいた。

 チャコはわるびれるふうなく。

「わかりましたブロッケンさま。そこまでお怒りなのでしたら、私たちもなにかおびをしなくてはなりませんね」

 (むね)のまえに両腕りょううでを組んでリョーコは青筋(あおすじ)を浮かべた。「ほおおー。チャコさんとシロさんが? この私になにをしてくれんのかしらね」

 チャコは自分達の作ったおはぎをもきゅもきゅ()べながら。

「ふぁふいふぇんもふぉふぁふぇふぇむははひまふ」

()ってからしゃべんなさい」

来年(らいねん)も来させていただきます」

 ――ごっくん。

 くちのなかのものをみこんでチャコは言った。


「今度はひとつとは言わず。みっつ。葵印(あおいじるし)のおはぎをぜてルーレットいたしましょう。そうすればスリルがなんと今回の三倍(さんばい)。ブロッケンさまがおじいさまと再会できる確率も三倍の、なんともお得な仕様(しよう)になります」

「わあ。これはもうやるしかないですねブロッケンさん!」

 うさんくさい笑顔(えがお)で勝手に盛りあがる使(つか)()たち。

 きゃあきゃあ騒ぐふたりにリョーコは手を突きあげた。

「するかあああああああああ!!」

 純白(じゅんぱく)高熱波(こうねつは)はなつ。

 魔術(まじゅつ)の光がシロとチャコを吹き飛ばす。

 おはぎもピューンと飛んでいった。



 ――その後。


 決して今回のことに触発(しょくはつ)されたわけではなかったが――。

 リョーコはせっせとおはぎを作り、祖父のくなった場所ばしょにこそこそおそなえに行った。




            〈【短編たんぺん9:おぼん】おわり〉







 んでいただきありがとうございました。



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