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鉄と真鍮でできた指環 ~季節編~  作者: とり
 短編9 おぼん
23/36

9-2.ロシアンおはぎ ~ルーレット編~



 〇このものがたりは、『9-1.ロシアンおはぎ』のつづきです。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 〇登場とうじょうキャラクター紹介しょうかいです。


 ・シロ:うさぎのみみをはやした白いボブショートの少女しょーじょ。外見の年齢ねんれい、17才くらい。魔術まじゅつ名門めいもん校【学院がくいん】の女学長・史貴しき あおい使つか。元はカイウサギという品種ひんしゅのうさぎ。ぴょんぴょんかない。

 ・チャコ:ちゃ色いながいかみに、メイドすがたの女性。外見の年齢ねんれい18才くらい。【学院】の最高実力者さいこうじつりょくしゃ史貴しき あかね使つか。元は小型のしばいぬ。

 ・リョーコ・エー・ブロッケン:あかいセミロングに赤いの、20才の魔女まじょ。【学院】付属の研究所けんきゅうじょではたらいている。

 ・史貴しき あおい:【学院】の女学長。21才。シロの主人。おさいほう以外の家事がとことんできない。今回は名前なまえのみの登場とうじょう





じつはですねー」

 ぴょこぴょこ。

 シロの(なが)(みみ)がゆれる。元はウサギであるゆえに、のこった形質もくせがつよい。

 彼女かのじょはぐるるっとあさっての方角(ほうがく)に視線をのがした。

「うちのご主人(しゅじん)……。(あおい)さまが」

「葵が?」

「私たちがちょっとはなしたすきに、ご自分で作られたおはぎをぜちゃったみたいで」

「……それで?」

「食べようにも、どれが葵さまの作ったやつかわからなくて。怖くて手をつけられなくなったんですよお」

 シロは白状(はくじょう)した。その(かん)。リョーコにはほぼうしろ(あたま)をむけたままである。

 チャコが説明せつめいを引きつぐ。


「そこで我々が考えたのが、誰でもたのしく爆死(ばくし)できる小面憎こづらにくいゲーム。ロシアンルーレットから取りまして――」

「ロシアンおはぎ。ってわけ」

「そうですそうです」

「でもそれだと『ロシア(ふう)のおはぎ』って意味いみになっちゃうんじゃあ……」

「こまかいことは気にしない!」

 ごッ。

 チャコの(よこ)からシロがリョーコにおさら(ふち)をぶっつける。

 おはぎが六個のった陶器の側面そくめんが、若い女魔術師おんなまじゅつしのほっぺをえぐった。

 シロはまくしたてる。

「とーにかく。ですよ。ご主人しゅじん料理りょうりの殺人的なのはブロッケンさんも知るところ。私もチャコも、まだまだ死にたくはありません」

「つってもさあ。いーんじゃないの。お料理りょーりくらい」」

 リョーコは皿を手でどけた。

「は?」

「できないってわかってることをえてやろうとする姿勢は私()きだし。使(つか)()のあなたが、主人のその努力(どりょく)みとめてあげなくてどーすんのよ」

「食うほうのにもなれっつってんですよ」

 ぐい。ぐいっ。

 皿を再度リョーコにしつけながら。シロ。

 チャコが中身なかみのない笑顔えがおをつくる。

「ブロッケンさまは言うことが違いますね。あおいさまとのルームメイト時代に、毎日まいにちのように手料理てりょうりを食べさせられていただけのことはありますね」

「ちっちゃい頃のはなよ」

「じゃあ免疫(めんえき)もついてるしあたってもモンダイないですね」


 シロとチャコがリョーコの部屋にはいってくる。

 どっかん。ばったん。

 みちをあけたリョーコのうしろ。――寝室と実験室を()ねた洋間(ようま)から、物騒な物音ものおとがする。

 ふりむけば、なんてことはない。

 チャコが中華(ちゅうか)テーブルを出していただけのことだった。

(って……チャコさん。どっから?)

 問う()もなくふたりの使つかはてきぱきロシアンおはぎの準備(じゅんび)をすすめていく。

 椅子いす(いっ)個だけ設置して、やはりどこから出したのかわからない円卓(えんたく)外周(がいしゅう)六枚(ろくまい)の皿をおいていく。

 そこに、シロが持っていた大皿(おおざら)から、おはぎをひとつずつセッティングしていった。

 チャコが中華テーブルの回転部をつかんで、宣言(せんげん)する。

「じゃあ。まわしますね」

「……。……」

「ルーレットが止まったときに椅子いすのまえにきたおはぎがブロッケンさんの取り分ですよ」

「……。わかったわよ」


 すすめられるままにリョーコはふたりの用意よういした椅子いすすわった。

 チャコが中華ちゅうかテーブルをまわす。

 ぎゅるるるるるるるるるるるる!!

 テーブルにのったおはぎは高速回転による遠心力(えんしんりょく)で外にふっとんで

 いかなかった。

(あのテーブルどうなってんのかしら?)

 疑問にはおもったが、リョーコはつっこむのをやめた。




                 (つづく)




 

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