序章 魔王が転生します
初めて小説を書きました。
短編とかも書いたことがありません。
駄作ですがそれでもいいという方だけどうぞ。
この世界は争いに満ちていた。
魔族と人間の意味なき争いに。
終わることは無いと言うものは魔族にも人間にもいなかった。
皆が争いが終わるのを待ち望でいたからだ。
絶対に終わると信じたかった。
信じていたにも関わらずこの争いは終わらなかった。
家族を、大切なものを失うのを恐れ、争いが終わるのを待ち望んだが、自分たちから争いをやめたら相手に攻められ、失いたく無いものを失ってしまうからだ。
だから争いは終わらなかった。
そんな永遠に続くと思われた争いを終わらせた者がいた。
魔族にも関わらず、人間のことも考えていたこの男の名は
魔王イルガル・アルティシナ――――
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「俺のやることはもうないな」
「何を仰いますか。貴方様にはまだ大切な仕事が御座いましょう」
魔王イルガルのつぶやきを拾った臣下は心底分からないという顔をしていた。
ここは魔王城最上階にある《玉座の間》である。そこでイルガルと臣下であるアラビノル・アシミナルは会話をしていた。
「ほぅ、俺の大切な仕事とは、魔族と人間をまとめることか?」
「左様でございます。貴方様には未だ残る2つの種族のわだかまりを解いて頂かねば」
「俺がか。それは俺がやることなのか?」
「意味無き争いを終わらせ、魔族だけでなく人間にも感謝されている貴方様だからこそです。他の者が取り仕切ってもその他の者とは違う種族が納得するはずが御座いません」
アラビノルの言葉を聞いたイルガルは微かに口元に笑みを浮かべたが直ぐに笑みは無くなり代わりに少し悲しそうにした顔の口元を隠すように手を添えた。
「確かにそうかもしれぬ。共に争いを止めた勇者レオミカルト・シリミナルならばとあの者との記憶をさかのぼったが、レオミカルトはもうこの世にいなかったな」
「我らが王よ。未だ彼を引きずっておられたか。唯一の友人を失うのは確かに辛いと存じます。が、魔王様は彼との約束を守られた。故に彼が死んでしまったが安らかにして差し上げたのは貴方様のおかげでありましょう。そろそろ辛い過去ではなく、ただ楽しい過去となされなければまた安らかな眠りにつけなくなられましょう」
「ククッッ…そなたの言うとうりなのかもしれぬが、俺は忘れるつもりはない。レオミカルトの死を、あの争いで死んでいった幾万、幾億の者達を」
「ならば何故魔族と人間をまとめることを貴方様がしようとなさらないのですか」
イルガルの言葉を聞いたアラビノルは心底不思議そうに聞いた。
彼は分かっていたのだ。イルガルが死んでいった者達を忘れない訳を。二度とあのような争いを起こしたくないことを。
だからこそ不思議だった。このまま2種族のなかにわだかまりか残っていたらまた争いが起こる。
それを阻止しようとしない理由がなかった。
「俺がやっても意味がない。争いを止めた俺がやるのではなく、また新しい者が立ち上がらなければ。2種族が争っていた時代は終わった。俺が終わらせた。なら新しい時代を築くのは俺では無い。新しい時代に活躍する者なのだ。争いを止めた魔王などの手は借りず、新しい時代はその者達でつくれば良い。俺はもう用済みだ」
「確かにそうかもしれません。ですが2種族をまとめるのは新しい者がするとして魔王は貴方様でなければなりません。貴方様以外になれる者はいないでしょう。他の者がなろうにも貴方様と比べられるのですから。最強である貴方様に」
「だから魔王は要らないゆうなれば魔族の王も、人間の王も要らない。そもそも種族ごとにまとまらなければ良い。2種族をまとめた者が種族関係ない王となれば良い」
イルガルのその魔眼は先の先まで見ていた。
その目を見たアラビノルは流石我らが王と思い、思わずひれ伏していた。
だがそこでアラビノルはイルガルのこの先について思いを馳せた。
魔王が要らないならこのお方はどうするのだろうと。
「貴方様のこれからは何をのぞんでおられますか?」
素直にアラビノルが尋ねればイルガルは口元に笑みを浮かべて見せた。
「もう魔王として生きていても意味がない。転生でもするとしよう。何処か別の場所へ」
「貴方様がお望みとあらば反対はいたしません。いつなされるおつもりで?」
「今すぐ転生しようと思う。もうこの世界にいてもすることが無い。アラビノル、そなたにあとは任せる2種族の争いのはてのさらにはてを見守る事を」
「貴方様の転生を望まない者もおりましょうが私は貴方様の新たな生での幸せを願っております」
「有り難く受け取っておこう。では、さらばなアラビノル。またこの世界に俺が必要となればこの世界に呼ばれるであろう」
そうして魔王イルガル・アルティシナはこの世界を去った。
更新のスピードは期待しないでください。
気まぐれです。