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7人目のV6   作者: siori
2/4

(第2話)

警察署から解放された俺を月が煌々と照らしている。長い取り調べだった。俺の受けた取り調べの中でもベスト3には入るだろう。

しかしV6に入るためにジャニーズ事務所に行く、という至極まっとうな手順を踏んだのに、なぜこんなことになったのだろう?

腐敗した権力。官憲の横暴だ。俺がV6になったのち、何らかのイベントで一日署長になったあかつきには、全員クビにしてやる。


警察官の論旨は「あなたがV6になるのは難しい」「迷惑になるから事務所に行くのはやめなさい」という二点だった。

それに対し俺は「宝くじで一等になるのも確率的には難しいはずだが世間はみんな買っている」「V6は俺が加入してはじめて完全体になるので俺が行かない方が事務所にとっては不利益になる」という論を張ったが、話は平行線だった。


長く拘留されたせいで自転車が撤去されてしまった。おかげで帰りは徒歩で帰るはめになった。トホホってか。ふざけやがって。あの自転車はまだ盗んだばっかりだったのに。


ようよう家に帰った俺はさっそく森野に電話した。


「もしもし」

「誰だ」

「俺だ」

「おまえか。なんだ?」

「だめだった」

「そうか」

「どうすればいい?」

「V6になりたいんだろ?」

「そうだ」

「勝手になっちまえばいい」

「どうやって?」

「コンサートに乱入しろ。そして一曲でもいいから歌いきれ」

「それでV6になったことになるのか?」

「V6のウィキペディア記事に自分の項目を書き足せ」

「わかった」


なるほど、さすが森野だ。既成事実さえ作ってしまえば誰も文句は言えない。飢狼伝の丹波方式だな。世間に誰が本当のV6か分からせる時が来たって訳だ。俺は勝利を確信した。なぜなら偉大なる先駆者がいるからだ。そう、船橋市のマスコットキャラ、ふなっしーだ。

奴はもともと非公認、アンダーグラウンドな活動として勝手にゆるキャラをやっていたのが、世間の耳目を集めた結果、押しも押されもせぬゆるキャラ界の重鎮に昇りつめた。アメリカンドリームの象徴だ。俺もやる。やるなっしー。そう叫んでふなっしーの真似をして二段ジャンプとヘッドバンキングをしたら、隣の住人が壁を思い切り蹴ってきた。俺は、うるっせええ~っっ! と怒鳴って壁にジャンピングヘッドバッドを決めた。またもや奴は完全に沈黙した。少しは学習しろ。思い知ったかこのキチガイが。


つづく

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