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あおだも
しんとした、青い水面に浮かぶ私は手のひらを空にかざして、すりガラス越しの視界に顰蹙する。
月はボヤけて、月光だけが目に届くのは、不愉快な不敏さを感じるものだった。
太陽なら輪が見えたが、月では簡単にはいかないから、楽しむ事の少なさで考えれば、幾分かはマシに思えるだろう。
同じような人間が同じように漂うボトルの中で、頭がくっつく事を待ち望むばかり。
傷を付けられたままでは狂ってしまいそうだ。
はやく、くっついて我を失いたい。
私はこのボトルに来て二日目で、常識がドブのそこでは書き換えられると、書き換えられながら意識を手放すのだった。




