勇者戦最後
二話連続デス。続けてじゃ無いデスけどね。
フェルが地面を凍らせ、その上をドールとフェルが放った水の矢が通る。
今行った通りのことが行われているのだが……
(飛ばした水が凍るってどういう事だよ……水が凍るって事は最低でも氷点下って事だよな……見えねぇな)
闘技場、観客席にギリ届かないか位まで広がっている凍った地面を見る目ながらフェルは思う。
ってか、火は人にだけ影響を与えるんだからその上位属性の氷とかも人だけに影響与えるんじゃないの?いや、専門家じゃ無いから分かんないんだけどさ……。と言うか逆に作用したら真っ先に俺達が凍るんだよな。しかもドールは水の塊だからすぐ固まるな。温かい方がすぐ凍るって聞くし。まあ水の〜の以前に魔法のって付くから殆ど意味無いんだけどな。何でも魔法でって言えば片付くと思うなよ!この世界の科学めっ!
上で言った感じに猛スピードで迫ってきた勇者を氷で追い払っているところなのだがいかんせんスピードが足りない。ワンステップ、凍らすって作業があるからどうしてもそこでスピード落ちるんだよな……
でも、流石の勇者も上位属性には余り手出しできないようで空中に浮遊してから一度も地面に降りていない。このまま持久戦に持ち込もうか?そんな考えが浮かんでいたその時、勇者が凍っている地面に降りた。
「え、何降参って事か?でも、それなら何故わざわざ凍った地面に……?」
「栄光の勇者の羽も氷には負けたと言う事ですねっ!」
「なんで少し嬉しそうなんだ?まあ氷と水って同じもんだけどさ」
一応反撃されてもいいように直ぐ退散出来るように構えてるんだけど……いや、この場合カレスになって突っ込んだほうがいいのか?凍るな。普通に上位に負けて凍るなこれ。
いつ来ても良いように身構えるフェル。それに気付いているのかな分からないが、虚空から何か物を取り出すように空間にズボッと手を入れていた。瞬間ッ!地面を軽く揺らす、鼓膜を潰すかのような音が響き渡った。その音が響いたのと同時にフェルが地面に張り巡らされていた氷が全て蒸発したかのように溶けていった。なーにこれ。
「これを使うつもりは無かったんだけど……しょうが無いッ!行くぞ、突撃銃召喚!ジェノサイドッ!」
勇者は虚空から何かを引っ張りだし、脇を閉め、思いっ切り引き金を……ってなんで銃なんて作ってんですかねぇ!?
音が聞こえると同時にフェルがいた場所に数発に弾丸が砂埃を上げながら地面にめり込む。そして数秒後に爆発した。
「……えー、色々要素付け足し過ぎて頭が痛くなって来たんだけど……と言うか毎回の様に異世界で銃作る奴って何なん?軍の方なん?まあ、ネットでそこら辺は調べれると思うけどさ……」
「ほら、銃火器は男のロマンって奴じゃないですか」
「狙われる側は溜まったもんじゃないけどな」
狙いをつけられ引き金を引かれたらすぐ終わるのでさっさと決着を決めないと俺の体が持たん。闘技場は娯楽の為であって、殺し合いの為じゃないんだよ!(必死の形相で)
まあ賭け事的な意味では娯楽に入りそうだけどな。
取り敢えず先は狙われたらダメなので視野を塞ぐ。
「えっと……確か『火よ』『水よ』」
勇者に向かって火を放ち、それを追うようにして水を放つ。その後水蒸気をめっちゃ出して視野を塞ぐはずなのだが……いやん、追いつく為に少し力込め過ぎたせいで火を飲み込んで勇者に突っ込んで行ってしまった水に塊。少し蒸発してるようで、直ぐ勇者に消されたが。
「……うん。やっぱ、人間は遠くから安全に卑怯にが鉄則だよなぁ」
「何、頬に鉛球飛んできたぐらいで賢者タイム入ってんですか怖気づいたんですか!?付いてるもんついてるんですか!?」
「頬に鉛球掠ったら普通の人は賢者通り越して昇天すっからな!?お前、銃火器なめんなよ!?と言うかそんなに俺のこれが勇気の象徴とかそんな扱いとかになるんだったらくれてやらぁ……あ?」
股間にぶら下がっているものをぶち取ろうと……したら流石に痛いどころじゃないので落ち着いていたらまた鉛球がかすったのでどうしようかと思ったら突飛つ的な考えを思い付いた。
「「面倒臭いし眠いからさっさと凍らせて休憩しよう。もう、眠いわ」」
どうやら十年近くの同居は心身共に共有するみたいでドールと全く同じ事を考えていたみたいだ。確かに、このままじゃリアルに終わりそうにない、むしろリアルが終わっちゃいそうなのでぶち殺す勢いでやってしまおうそうしよう。
まず最初にドールに全開で周囲に水を撒き散らす。次は俺が凍らせるのだがこのままじゃあまた、勇者に逃げられてしまうので上位の列を使用し、勇者の身体を押さえつける。ここで氷を発動し、
「勇者の氷漬けの完成だ。なんか言いたい事ある?」
「クッ……ぼ、僕はまだ、負けな……いぇッ!?こ、降参だ!」
何か言おうとした勇者の顎を思いっ切り蹴り上げ、頭を強めに踏むドール。凍らせる際にドールも結構使ったからなぁ……って、ドール霞んでね?何か幽霊みたくなってね?成仏すんの、え?
『勝者、フェルンッ!?ん!?』
初めて聞いた審判の声を最後にフェルはぶっ倒れた。え、キャパオーバーですか?
結果はフェルの圧勝って事で。敗因は水を被った銃火器が凍ったせいですね多分。