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【勇者になる前の勇者】

最初に書いておきますけど細かい事は頭の済に置いといて下さいね?

今、思い返せば後悔しかない人生だった。


両親はごく普通の会社に務めるサラリーマンで共働き。夜は遅くに、朝は早くに仕事に出掛け一人でいる事が多かった。

だからだろうか、高校の入学の際に買ってもらったパソコンにのめり込んでいったのは。

最初はただの暇潰しから始まった。お小遣いは人並みには貰っていたし、使う機会も相手もいなかったのでずっと貯金していた物を全て使って漁った。最近CM等で話題になっていたネットゲーム。有料サイト等など……のめり込めばのめり込むほど出れなくなってしまった。

ネトゲにはリアルと違って仲が良い友達が出来たし、アニメやマンガを見ているだけの毎日も楽しかった。

その時からだろうか、学校を不登校気味になったのは。あんなに一生懸命頑張って親の声援を受けて入った高校も、今になって考えればどうだって良かった。あまり優れていない見た目のせいで仲良くしようとしてくれる人はほぼいなかったし、それでも仲良くしてくれようとして人はいたけど距離が遠かった。僕と離れたい感じだった。

何でそこまでして僕といたいんだ?別に頭も良くないし、運動も得意って訳じゃない。寧ろ苦手な分野だ。もしかして哀れに思ったのか?整っていない、そう言ってもブスって程じゃないし……ブスじゃないよね?


だからなのだろう。不登校気味になった僕を心配して滅多に休む事が無かった仕事を休み、両親が集まった時に暴言を吐いてしまった。


『僕をほっておいて仕事を優先していた癖に何で今になって帰ってくるの!?学校くらい自分の判断で行くから邪魔しないで!』


そう、呆気に取られておる親を無視して自分の部屋に籠もってしまった。最初はこれでいい、これしか無かったんだ……そう自分に言い聞かせる様にしていたのだが時間が立つに連れ、冷静になっていき自分がやってしまった事に重大さに気付いてしまった。本当なら今すぐ閉じた扉を開いて謝るべきだったのだがそんな勇気が出なかった。

扉の向こう側で啜り泣いている母さんの声を聞いたら……



そんな出来事があってから母さんと父さんが家にいるようになった。少し疲れている感じだったけど嬉しかった。高校生になってもってのは変な感じだったのだが、その時の僕はただただ嬉しかった。


それから少し経ったある日、僕は何時もと同じ様にネトゲをしていた。本当は学校に行った方が良いのだが未だに勇気が出なかった。いや、ただ怖かっただけなのかもしれなかった。「今まで引き籠っていたくせに今更出てきて……」白い目で、軽蔑している感じで僕を見ている様子が簡単に想像出来た。だから逃避する為に架空の空間で架空の時間を過ごす。いっそ、開き直った方が良かったのかも知れないがそんな度胸は無かった。

その時、扉の向こうから「ドッシャーン!……ドタッ」と、何かが倒れる様な音がした。何だろう?この音は食器でも落ちたんだろうか?でも、最後の音は完全に食器などの音では無く、もっと、こう質量を持った感じの音だった。……もしや!?この時間、仕事で間に合うギリギリの時間までいる母さんがいたのを思い出した。まさか母さんが倒れたのか?

心配に思い、トイレと食事以外は開いてなかった扉に手をかけようとしていた。


(何だ、僕もやろうと思えば何時でも扉を開けたじゃないか)


何故かこの時そんな事を思ってしまった。だからなのか、急に身体が動かなくなってしまった。


(な、何で!?……あ、こ、声も……誰か!誰か助けて!)


動かなくなってしまった身体を必死に動かそうとしたが一切動かず、声を喉が張り裂けそうになるぐらい叫んだのだが全く出なかった。

そんな不思議な現象はそれだけでは飽きたらず、僕の身体の内、心臓が張り裂けそうなぐらい鼓動を繰り返した。


(む、胸が痛い……心臓が痛い!助けて母さ……ああ、母さん!?)


胸が張り裂けそうなぐらい痛い。心臓が激しく鼓動を繰り返していて凄く呼吸するのが苦しい。しかもグルグル視界が回っていき凄く気持ちが悪い……でも、そんな自分を差し置いてでも母さんの事が心配だった。今、母さんがどうしているのかを知りたい。無事なのかを確かめたい。この、忌まわしい身体を引き裂いてでも動いて無事を確認したい。だが、そんな考えを一切許さずにもっと苦しくなっていった。

そして徐々に視界が暗くなっていき、身体がふわふわしてきた。何故だか凄く心地が良かった。



そして、僕ーー市永木 勇気(しながき ゆうき)は11月27日、誰からの記憶も残らずに消えていった……これが僕の新しい冒険の始まりだったとは今の僕には到底理解出来なかった。

一応書いておきますけどこの内容は作者の勝手な想像ですのでリアルでは全く関係はございません。はい。

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