足で踏んであげましょう
森を抜け少し開けた場所に出た。長くなると思っていたので少し意外だった。道中は何にも出会う事はなく、ドール達と他愛も無い会話をしていた。ドールは何時も通り下なネタをブチ込むまくっていたんだけどな。
「ふぅ、意外と早く森抜けられたみたいだな。と言うか俺達が住んでいる所がアレなだけか」
「うん、そうだね。後は少し歩けば乗り合い所みたいな所あるから...ん、あ、そこだね。見える?」
そう言って少し離れた場所を指差した。指差された方向を見ると少し、辛うじてだがバス停っぽいのが見える。と言うかほぼバス停だ。
二人で確認をしていると何処からか何かが吠える声が聞こえた。
GUOOOOOOOO!!!!
「あ、ちょっと待ってくれ!今吠えたらテイムしてないみたいに見えるだろ!だから、落ち着いて、落ち着いてくれよ...」
声が聞こえた方を見てみると丁度俺達が通って来た森の上をドラゴンぽいものが飛んでいた。少し耳を澄ませてみると女の声が聞こえて来た。
「...ドラゴンって旨いのかな?」
「...聞いた話によるとドラゴンって割と雑食だから不味いって聞くけど...」
「でも食べるにしても人がいますけど...あ、人命救助って奴で知らない顔して襲っちゃいますか?」
怖いわ。ドールの発言に少し引きながら目を離してしまったドラゴンの方を見てみる。あれ?どこ行ったっけ?
見失ってしまったドラゴンを探していると背後から今先ほど聞いた声のある声が聞こえてきた。
「ドラゴンは余り美味しくないぜ?て、言っても各言う私も食べた事は無いんだけどね...あ、ちなみに私のドラゴンちゃんは食べさせないからね?まぁ食べられないと思うけど」
『無論だ。人の子に殺されるようなやわな生物などでは無いからな。後、ドラゴンちゃんはヤメろ』
「あ、ご、ごめんね!?」
...ドラゴンって喋れるんだなー。
背後で聞こえた声は上空で耳にした声と同じで、同一人物だと取られられるんだけど...ドラゴンデカすぎやしないっすかね?
そんな反応を取らせられたドラゴン。見た感じただデカイ。物で例えると小型のトラック位?そんな空飛ぶトカゲが背後にいるんだからすっげぇ圧迫感。初めて見たんだけど。
「あ、私の名前はエルバって言うんだけどさっき私のドラゴンが吠えちゃったでしょ?だから一応近くによって危なくないですよーって伝えるんだけど...そっちのお兄さんは何でずっと後ろ向いてるのかな?ちょっとこっちを見て直ぐ戻ったんだけど...」
『主が名を名乗っているのだからそちらも名乗るのが礼儀だと思うのだが?それにそちらのオスは目を見て話すと言う事も分からない様子』
どうやらさっき吠えたせいで野生のドラゴンじゃないって説明をしてきたようだ。凄く親切なのだがそのまま背に乗った状態でさっさと行った方が良かったんじゃないの?それと空飛ぶトカゲはどうやらお口が悪い様子。飼い主はちゃんと手綱を握っておけよな。
そんなトカゲの言葉に反応してマルナが挨拶をした。
「ごめんなさい、急に現れたからビックリして...私の名前はマルナって言います。で、そっちにいる男が...」
自分の身体よりも幾分か高い位置にある目をちゃんとしっかり見て話すマルナの言葉を遮ってドラゴンが言った。
『よい、お前の名は分かった。だがそちらのオスはまだか?それとも我の偉大さに気付きちびってしまったのか?』
なんか少し中途半端な挑発をしてくるドラゴン。ちなみにドールは目に入ってない様子。って言うかドラゴンがちびるとか言うと少し間抜けな気がするのは俺だけか?
挑発的な態度を取るドラゴン。では、その上に乗っている女は何をやっているのかと言うと「またかぁ...」と、呟きながら腕を組んでいた。いや、腕組む暇あったらやめさせろよ?これ、俺じゃなかったら普通にチビってるんじゃないの?
流石にドラゴンの言葉に苛ついたのかマルナは少し肘でフェルを突き、少し大声で言った。
「その気持ちは分かりますがフェルにも事情があって......ひゃあ!?」
「え、ちょ、何やってるんですか!?」
ドラゴンがやった事にビックリしたのか思わずフェルの隣りにいたドールが声を上げた。うん、俺もある程度しか見えてなかったけど何か言おうとしたマルナを自分の鋭く尖った角で押したな。うん。
この行動に流石の飼い主も慌てた様子で止めに入った。
「ちょっと、ドラゴン!?流石に手を出すのはイケないって!幾ら不満があっても礼儀がなって無くても手を出すのはいけないって!」
『ふむ、と言う事は主はこちらが名を名乗っているのに背を向けている輩を笑って許せと言うのか?それは幾ら我が主とはいえドラゴンの名を持つ我に失礼ではないのか?』
「まぁそうだけどさ〜」
うん、まぁ俺も悪かった。うん。幾ら女を見て殺意が出るとはいえ初対面の、しかも名前を名乗ってきた相手に対し背を向けるってのは礼儀がなってないよな。ここは殺意を抑えて...
「お、俺はフェルンって言うんだ。よろしくな?あ、俺はちょっと女の人が少し苦手で...えっと、今までの奴はホントすんませんでした」
そう、これが大人の余裕。謝罪だ。まぁ最終奥義DOGEZAはしてないけどいいだろう。と言うか飼い主の方にも問題があると思うんだけど、どうなの?アレだぜ?ずっと通行人に吠えまくっている犬を「こら、変なものが移るからダメよ!」って言って止める奴見たいな感じだぜ?しかもそれを抑えながらの謝罪。女に対する嫌悪がクソほど上がる会話だったんだけどこれ以上ここにいると俺の精神が終わるのでさっさと行こう。
そそくさと怒りを買わないようにふんわりと移動し、倒れたマルナに手を貸して立ち上がらせようとした瞬間。空飛ぶトカゲの足がそれを遮った。つか、踏んでる。
「あ、あのですね?ドラゴンさん?足が乗っているのですが退けてくれませんかね?」
『ん?名を名乗ることぐらいは誰でも出来る。それに謝ることもだ。だが、お前の場合誠意が足りん。ここまで長い時間我を同じ場所に縛り付けてそれだけで許されると思うなよ?』
「そ、そうですよねーで、俺は何をすればいいと?」
まだ、駄目だ。我慢だ。クソみたいな理論を並べている自称トカゲ野郎の言葉を待とう。幾ら脳内腐っていたって人に飼われるペットみたいな地位にいたって俺は我慢だ。根性見せてやるッ!!!
『そうだな...まずは地べたに両手両足をつき頭を垂れて許しをt...』
「よしテメェをブチ殺す。マルナはさっさとそっから出て後ろに下がれ!ドール行くぞ!」
「了解です!この糞トカゲ!」
叫ぶようなフェルの言葉に反応し、腹の上にのかった足を思いっ切り掴み、放り投げ走って此方の方まで逃げて来た。
ドールはここまで我慢して来たのか勢い良く飛び出し、取り敢えずこれでいいかな?と、高速で水の玉を飛ばしまくる。
『ぐ、グァ!?この餓鬼共がぁ!中位ドラゴンの力を舐めるなよ!主!』
「う、うん。分かった!流石に手を出されたらやり返さないとね!」
一気に体制を立て直し、上空に逃げたトカゲ。何をするかと待って...いられなかったフェル。
「取り敢えず邪魔な羽を毟り取る!カレス!ルト!行くぞ!」
地面が飛び出るようにしてフェル達を押し上げる。その横にはフェルによって呼び出されたカレス、ルトがいた。エルフィは地上で今か今かと待ち望んでいる。
押し上げるようにしてフェル達が近くに来た。その様子にビックリした様子だったが直ぐに平常心を取り戻し、顎を大きく開けた。
「行っけぇ!飛竜の火球!!!」
女がそう叫ぶのと同時にトカゲの口から轟々と燃える炎が漏れ出し、一気に放たれた。
「させないよ!」
ブレスと同時にカレスが飛び出し、右手に出現させたトカゲとは全く違う光の炎を纏った剣を出し、斬りつけた。トカゲの出したブレスが赤ならこちらは真紅だ。トカゲの炎を斬り、その斬った炎をも纏いより一層赤い炎を生み出し、放出した。その炎はトカゲの口から内部のすべての物を焼き、背中に乗っていた女をも燃やした。
だが、女は火に耐性を持っているようで少し皮膚を火傷しただけで済んだ。トカゲもその位だ。
「ふぅ...効いたけどまだまだだね!もう一発!焔龍の炎!」
今度は先程とは違い、口内だけでは無く、身体を覆っている鱗までもが紅く燃え、全身を燃やすかのようにして放たれた。
「ルト、行くぞ!」
「は、はい!」
そう言って迫り上がった地面から飛び上がり、ゴブリンの時に使った門を二人で作った。
________ゴオオオオオオ
ゴオオオオオオ、その表現に正しく地上から遥か上空の土が無い状態だったが、それをも諸共しない様子で地上から持ち上げるように土を集め、門の形を象った。その姿は以前作った時よりも遥かに大きく、分厚く、そして...禍々しい。以前は表面に悪魔が掘られているだけで後は閉じてあるだけであったが今回は完全に開いていた。そこから茶色い無数の腕が伸び、トカゲの放ったブレスを吸収する様にしながら耐え、どんどん近付き...捕らえた。
無数の腕が羽や足をもぎ取り、そこが見えない空間へと入っていく。勿論背に乗っていた女もだ。こちらは腕がもがれながらも何かの詠唱を繰り返し、少しの抵抗を見せたが腹を突かれたのを最後に糸が切れたように動かなくなった。
「ん?何かさっきまで意気がっていたみたいだけどいざ戦ってみるとクソ弱いな。まぁ人に飼われてる時点で察しはついていたけど一番元気だったのは口だけかよ...もう良いぞお前ら。あ、エルフィは一発ぶち当ててからでもいいけど?」
少し意外な気もするが呆気無く撃沈したトカゲと女。もう、やり返す気力も無いだろうと判断し二人を戻したのだがエルフィは何もやってなかったな、そう思い返しぶち当ててもいいと判断したのだが...何故かドールも魔法を放った。
当たる前に二つの魔法は良い感じに混ざり合い、と言うかドールの放った魔法をエルフィが加速している感じ。水に弾丸みたいな感じ。って言うかこんな速度でやったら途中で無くなりそうな気もするが異世界だし魔法だ。そんなの関係無い。多分。
そんな思いは詰まってないが二人の魔法が当たろうとした瞬間突然現れたこれまた女に止められた。
「良くも妹をこんな姿にして...許さん!」
別に許さなくても良いからさ...先進ませてくんない?絶対遅れそうな感じがするんだけど。
なんか...ウザったいキャラがよく分からんからコレでいいかな川´_ゝ`川




