脅威
なんか変な感じになってしまったような気もしなくも無いですが気にせず投稿。
ゴブリン。
RPGでは緑の色で子供ぐらいの背、悪鬼とも言われるが実際には緑で背が低く不細工で下半身お化け、敵対行動を取っている。恐らくこんな感じなのだが...こんな感じなんだけどぁ事実は小説よりどうたらって奴だよな...しかも危険を顧みず、殺される可能性のある人間の子の傷を癒やすとかイケメンかよ。見た目もだけど。
そんな事を思いながら物陰でこっそり見ているとドールがくしゅん、と小さくくしゃみをした。ちょ、お前...
「...ズズズ。あ、ちょっと、葉っぱが鼻に...え、ヤバかったですか?」
「おせぇよ...」
鼻を啜りながら言うドールに睨み付けながら応えるフェル。くしゃみは堪えろよ...
やっぱ草むらからくしゃみが聞こえたら警戒する筈、その意図に沿ってゴブリン達も声を上げる。
「な、何ッスか!?」
「クソっ敵か!お前は彼女を持って少し離れていろ!」
「で、でも...」
「良いんだよ...お前さんには守るもんがあるんだろ?」
「おやっさん...うっ、この子を安全な場所まで避難させたらすぐに戻りますから!」
「おう!じゃあこっちも頑張らないとな...出てこい!そこにいるのは分かってるんだよ!」
大剣を背負っているゴブリンが怒鳴りながら足元に落ちている石を投げて来た。ピシュン、空気を切る音が聞こえ肌を掠める。え、早過ぎない?
と言うかなんか死亡フラグっぽい物が聞こえていたが俺達が死にそうなのでさっさと立ち上がり、弁解した。
「ど、どうもー。フェルンって言うんですけど薬草を採りに来ましてねぇ、んで丁度採ろうとしたらくしゃみをしてしまいましてね...別に怪しくないですよ?怪しくないからな!ってぇ!最後まで聞けって!」
「問答無用!こうなったらこの身朽ちるまで貴様らと戦う!」
「だから話し聞けって!『水よ』」
フェルの言葉に目の前に拳大の水の塊が出来てゴブリンにあて...る前に切断された。魔法切るってどう言うことよ!つか、ドールはどこに行った!?
「逃げたいですけど...貸し1つって事にしますからね!」
ゴブリンに気付かせないように背後に回ったドールがそう叫び、両手を前に向け水を思いっ切りだす。流石にこれに当たったらただじゃ済まないだろう。でかしたドール!って事で!
「よし、逃げるぞ!ドール!」
「え、は、はい!あれ?ゴブリンは?」
保険で倒れているゴブリンの頭に水の塊を当て、ドールの手を取って逃げる。こんなバケモンみたいな奴と戦えるか!少し、躓きながらも目印に沿って来た道を引き返すと、懐かしいような陽の光が見えて来た。
「よし、もうちょっとでも外に出られる!ドール踏ん張れよ!」
「フェル様、ちょっと待って!」
「え?」
ドールの言葉に従って手を離して止まる。なんでだ?もう直ぐ外に出られるってのに...まさかさっきのゴブリンを倒しにとか言わないよな?
「ドール、さっきのゴブリンは倒しに行かないぞ?流石に初戦でボス級は無理だ。魔法を斬る奴なんて倒せる筈が...ん、どうした?」
何故、倒さなかったという理由を話しているとドールは口を半開きにさせ、フェルの丁度後ろを見ていた。
「どうした?ドール...あ」
フェルも後ろを見るとそこには様々な武器を持った長身のゴブリン達と目があった。えっと、これ、絶体絶命じゃね?
武器を持ったゴブリンと目を合わせていると奥の方から先程あった腰に剣を差したゴブリンが出て来た。
「魔法が斬れるゴブリン...そんなゴブリンはこの村では一人しかいないッス...しかもさっきの言葉の中に『倒す』って言葉が出てたッス...よくも...よくもおやっさんを!!!」
そう言って叫びながら向かって来る割と整った筋肉のゴブリン。あと、数メートルと言うとこで腰に差した剣を一気に抜き、先程とは違い少し魔力の乗った言葉を発する。
「オオオオオオ!!!!『時空斬・絶』」
その言葉に反応する様に左右の剣が青白く光り、十字を描くように斬った。瞬間、ゴオォォォォ、と音を立て空間を斬ったかのように黒い空間が見えた。ちょっと、これ絶対死ぬって!俺、終わるって!
「ちょ、ヤバ、取り敢えず防がないと...えっと、『土よ』『支配』」
取り敢えず頑丈な門を想像する。何にも開けられず、壊れないそんな門を想像するとそれに沿ったように地面からズズズと生えてくるようにフェルと双剣ゴブリンの間に作られた。何故か『支配』と言う言葉は考えてもいなかったが『土よ』と発する際に何となく言ってしまったのだが今はそれが命を救ったのだと言える。作られたのと同時に双剣ゴブリンの技とフェルが作った門がぶつかり合った。
「ドール!今のうちに逃げるぞ!早く、急げ!」
「は、はい!」
ただデカイ門などではなく所々に悪魔っぽい装飾がされていて、フェル達は逃げる為に背を向けていて走っていたので気付かなかったが攻撃を受ける際にその、悪魔の目が光り、攻撃を軽減させていた。
そんな中、フェルが作った門を信じ、ただ真っ直ぐ走った。道中で自分の後ろに幾つか壁を作り、来ると思われる追手に時間を稼ぐように設置する。何故かこんなに魔法を連発しても疲れないのが不思議だったのだが使えるに越した事はない。勿論ドールもフェル達が通った道に水をバラ撒き、泥に変える。
そんな感じで無我夢中で走っていると懐かしい村が見えてきた。
「よかった...あと少しで村につく。もうひと踏ん張りだ!」
「分かりましたフェル様!」
そう叫び、少しスピードを上げる。ここまで物凄い速度、時間を走って来たのだが披露よりも死の恐怖が勝って感じなくなっていた。
そして我が家に転がるように入って行ったのだった。
双剣ゴブリン強過ぎぃぃぃぃ、それよりもっとフェルの門が硬過ぎぃいぃぃぃ
ちなみに『硬い』『固い』『堅い』って同じような意味があるので使い分けし辛いッス。