神の登場!(カエル)
はい、ピョコピョコ(-)_(-)
ドシーン。ドシーンと、周りの被害お構いなしに跳ねて進むドール(カエル)その上で必死にしがみついている俺。これが乗ってるのがドラゴンとかだったら圧倒的な迫力で有無を言わせない力があったんだろうけど……ないものはないんです。自分家の犬が目覚めたらワニに!?って、事が無いのと道理……とは言いがたいけどまぁ、そんな感じだ。
自分は神だと自称する者が信じさせるために成るものがカエルって……
「神かどうかは謎だがカエルってことは分かったな」
「いや、だから間違えたんですって!カエルはほら……あれです捕食者的なイメージがありますからそれが全面的に出ちゃったって言うか」
「捕食者ってイメージでカエルが出るんならライオンとかの位置ってどんなんだよ……つか、捕食者の上って捕食者だったわ」
それでもカエルはねぇよな?と、考えながら頭上、カエルの頭部で上半身だけを出しているドールをジト目で見つめる俺だけど既に今の状況はおかしいよなって感じ。上半身だけって補食されているのはおまえじゃねぇかって気持ちにもなるが割愛。話が進まねぇよ……。
乗馬ならぬ乗蛙を堪能とまではいかないが脳震盪でぶっ倒れそうだねって話題が出るまでに数時間。進む先は異形の排出先、王都だった。
数時間も時間が経っている為、既に周りの景色は一転して完全にクトゥルフ状態になっていた。いや、純粋に言葉が見つからないってだけで言葉に言い表せないような異形の大群な訳でクトゥルフって感じの奴はいないと思う。……まぁ、クトゥルフ神話自体理解できてないんだけどな。
そんな異形をカエル跳びと言うなの大量殺戮で進路を切り開き、進んでいくなかで幾つか話があった。
一つは中二が言ったドールの微笑みの件。
あれ自体はそこまで意味がなく、ただ単に嬉しかっただけだと言う。何がだよ。俺がビュービューやってるのを見て言ってるんだったらただのサイコパスじゃねぇか、お前は人間じゃねぇ。
んで、話的には結構遡るらしく“支配属性”までいくらしい。まぁ、今は完全に乗ってるだけだし暇なわけで復習の意味を兼ねて思い返すんだけどな……。
最初に“支配属性”を渡したのは“ホワイユ”と言う人物だったらしい。何故“らしい”かと言うと記憶が曖昧でオスかメスか覚えてないらしい。らしいしか言ってねぇじゃねぇかよ……。んで、唯一覚えているのは純白の綺麗な髪が生えていた事だけ。何故髪の色だけは覚えているのかは深く聞かないでおこう。
当初の目的は数人に分けての権限の受託。一人で管理するのが難しくなった神が気に入った人に自分が持つ権限を一つ、渡す。そしてその人の生き方の中で自由に使ってもらう。行き過ぎたら殺し、相手を変える。そんな感じだったらしい。それ故に愛されたものって言う感じなのかな?
一つ目は様子見で姿形。つまり、容姿を変えられる権限を持たせた。
二つ目は他のものを従わせる。自分以外のものに影響を及ぼせる権限を持たせた。
三つ目は世界のほとんどを占める見えないモノ、魔法を奪う。自分だけのモノにしてしまう権限を持たせた。
これで大体の管理は良いよね?大丈夫だよね?と、考えていた矢先に糞勇者の糞脳みそを植え付けた王都の連中が糞勇者の仲間に(物理的な意味合いが強い)手を出し、勇者としての職務を投げ出し放浪。その間に倒さなくてはならない魔王が要領の限界で依り代を弾き飛ばし今に至る。
「つまりは自爆ってことじゃねぇか……」
「うーん、まぁ、そう言えなくもないよね?」
「……この上半身を引きちぎってやろうか? あ?」
軽く殺意を覚えながら揺れて進んでいく。ゆりかごみたいに心地良くはないし、むしろ頬に当たる生臭い臭いのせいで不快感しかないが普段感じることのない高さで満足ですね、ええ。