ね、こけし様?
えっと、あのカジュアル系の服はドラゴンさんのブレスとかで無くなったって事でおねがいします……正直忘れてたんですよ。はい。
流石に服の予備ぐらいは持ってるよ……ね?書き忘れて分かんないけど多分持ってない気がするけど気のせいです。ええ気のせいです。
無事ハシゴを登り切り、城壁の上にやって来た。やって来たと言うかまぁ、成り行きって感じだな。無駄に高いせいで風がビュービュー吹いたり災難だったぜ……
「んで、こっからどう降りんの?幸い真下には誰もいないが」
「……バンジーですかね?紐なしですけど」
「その場合俺は確実に潰れるんだけど……って、マジで行くん?え、ちょ、心の準備が」
最後まで言い終わる前にドールが俺の首根っこを掴み飛び降りた。せめて最後まで聞いてって!
ゆっくりと景色が見える……そんなことは無く、高い所から落ちる。そんな体験は生きていく中で体験した事が一度もなく、ただ身体が動かない。そんな事を考えていたのだが本格的にヤバくなってきたのでドールの中に避難。これもうキモい以前に寄生虫みたいだな。一応金を稼いだりは……やったかな?多分。
魔法で自分から飛び降りるのと身投げよろしく落とされるのとでは全然違うんだ!と、心の中で叫びつつ、地面が目の前に迫って来ているのが見えた。
ビチャ。
高い所から水を落とす。まぁ、水風船を割ったような音を数倍大きくした音が聞こえた後に潰れた身体を元に戻そうという力が働き一瞬低くなった視界は直ぐに元に戻った。その後にドールの身体から出て火炙りにしてやったからまぁ、許してやろう。扱いが完全にナメクジなんだよなぁ。
王都は謎の襲撃を無傷、とまでは行かなかったものの死傷者がいなかった事を王自らが伝え、この祭りが始まった……らしい。聞いただけで見てないから分かんないんだけどな。その時には勇者がいたらしいんだけど何故か髪が真っ白になっていたらしい。……ハーレムが妬ましいと思ってる奴らの嫌がらせのせいかな?まぁ、どっちにしろ白髪になるには早すぎるな……次会ったら心の中で白髪ジジィと呼んであげよう。流石に正面から言う度胸は俺には無いからな。うん。
「俺は別に度胸が無いとかじゃないからな?自分から物事を大きくしないって庶民根性を忘れないように生きてるだけだからな?」
「城壁から飛び降りるのを渋っていたのによく言いますよね……所詮見た目と中身は違うんですよ。ね、こけし様?」
「敬語とは名ばかりの暴言吐きまくっているまな板には言われたくないな。そろそろ自分のスタイルに気づけよ惨めだぞ?」
賑わっている店の前でクロスカウンター状態になっている二人だった。新しい状態異常みたくなってんじゃん。後、引きずりかもしれないけど主従関係は?
このまんま祭りに参加してもいいが金は部屋においているので一旦帰ることに。流石に全速力で走ったのは体力的にも……ね?
そんな様子で学園へと戻り、部屋へと向かう途中鍵をかけ忘れていたことに気付き泥棒とか入っていないかな?と心配になったのだが取られるものはドールの使用済み衣服と現金しか……あー、割と取られそうなのはあるのな。
いたら殴るいたら殴る。呟きながら扉に手を掛けた。