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なんの変哲も無い、いつも通りの一日…そう、思っていた。
いつも何気なく点けているテレビは…突如、「緊急速報」という言葉と共に画面を一転させた。
どうせ地震か何かだろう、そう思っていたが…そうではなかった。
「番組の途中ですが、政府の緊急会見です。 現場に繋ぎます」
どこか緊迫したような口調でそう告げるアナウンサー、会見場所に切り替わる画面。
途切れることのないシャッター音と、山のように束ねられたマイク…そして、その奥に立つ政治家であろう男。
数秒ののち、男は歪ませていた口を開く。
「まず初めに…皆様、ここ数日トップニュースとなっている、『破裂死体』となって見つかった方々のことを、ご存知だと思います。 謎が多かったそれらの遺体を解剖し、詳しく検査した結果…恐ろしい事実が判明しました」
未だ鳴り止まないシャッターの音と、それに埋もれながらも聞こえる男の声。
その声はどこか震えているような、そんな気がした。
男は続ける。
「彼らの死因は…
我々の身体に注入されている奇跡の虫、《チュード》によるものだったのです」
突如、あれほどなり続けていたシャッター音が止み、続く男の声がはっきりと聞こえる。
「これによる緊急会議により…国民の《チュード》注入義務を廃止致することを決定しました」
次にテレビから聞こえたのは…会見場所にいた人々の悲鳴や、男に対する罵声。
手に持ったスマホの画面には、【日本終了のお知らせ】の一文が目にも留まらぬ速さで流れていくだけだった。
※投稿は超絶スローペースの予定です※