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phase 3
「おい、シャドー。サトを見なかったか?」
「いや、見てないな」
若きにして妖怪と人間のハーフであるハーラは、ここ最近、疑問に思うことがあった。結界が緩くなっている。結界とは、この世界の均衡を保つ為の者であり、何人たりとも触れてはならないものである。世界のバランスが崩れるからだ。しかし、それを恐れているのか、如何なる悪党であろうともそれに触れようとはしない。
「サト、あいつ、いつもはギルドにいるはずなんだが...。なにもなければいいんだけどな」
「あ、そうそう、ハーラ。この前売ってた魔法符なんだけどさ」
魔法符、とは、様々ことが可能なカードである。この世界の住人が主に戦いや狩りで使う。道具を収納したり、火を放ったり、その用途は様々だ。
「これか? あんまり使えそうにないんだがな」
「まあ、そう言うなよ。貰っとけって!」
「あ、ああ。分かった」
シャドーと別れたあと、しばらく本を読んでいた。時空の揺れが起きるまでは。
凄まじい揺れだった。地震ではないのは明らかだった。
「...この揺れ、何か...。 !! 吸い込まれる!」