エピローグ
「久しぶりに戻ってきたね」
丘の上に少年と女性が立っていた。
サラサラと草が風に揺られて、少年は心地よさそうに目を細めて丘の上からその下に広がる景色を眺めている。
女性もそうねぇと風になびく長い髪を手で抑えて少年と同じように景色を眺めている。
〈大分、緑が増えましたね〉
少年の側から聞こえてきた声は女性のものだが、機械音声で喋っているのは少年に付いている腕輪だった。
少年はこれでも頑張った方と自分で自分を褒めて笑っていた。
しかしふっとため息一つ吐いて後ろを振り向いた。それにつられて女性も振り返る。
後ろには坂があり、下る毎に草が少なくなって崩壊した街に入る頃には草一本なくなっていた。
「・・・こっちは、まだダメだ。ううん、まだまだ道のりは長いよ」
「そうね。でもこの年月でこれなら良い方じゃないかしら。最初はどうにもこうにもだった訳だし」
〈頑張りましょう。さて、これからどうなさいますか?〉
腕輪が二人に尋ねる。
女性は少年に任せると言い少年は今まで背になかった白い翼を広げて答えた。
「また色々周ってみるよ」
女性はまた新たな発見があるかもと頷いて、腕輪もまた音を鳴らして頷く代わりに答えた。
少年は地面を蹴りあげて白い翼を広げ、飛び上がった。
バタバタと翼を羽ばたかせ、青い空を仰ぎ見てから丘の上からでは見えなかった遠くの景色を見通す。
女性もするりと緩やかに舞い上がり少年の横に付いた。
「全部元にとは思わないけど。また人が暮らしていける世界になればいいな」
それが彼の願いでもあるのだしと、少年は左胸にそっと手を当てて目を閉じて。ポツリと少年が零した言葉に横の女性も穏やかに「ええ」と答えた。
そして少年は目を開けた。
開いた目に飛び込んできたのは、あの時から変わらない青い空に戻ってくる度大きくなっていく緑色。
それぞれの思い出を胸に三人は前へと飛び立った。
*
きっとこれからも運命の歯車は廻っていく。
僕の運命は僕が廻していくのだから。
それがいつ終わるのか?
それは僕にだって分からない。
2年近く掛け、更に更新にも3ヶ月近く掛かって申し訳ないです。
しかし無事・・・でもないですが完結まで辿り着くことが出来ました。
お疲れ様です。




