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魔法と闇と絶望と  作者: 凛莉
第二章 ~崩れ~
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第29話 サプライズ計画 前編

桜の木の枝、彼はそこで、ある一室を、優しい微笑みを浮かべながら、見守っていた



「・・・」


〈マスター、行かないのですか?〉


「レヴィン ・・今日は会いには行かないよ、 ただ、会うかもしれないってこと」


しばらくして、彼についている腕輪がウィーンと唸る


まるで「あぁ」とでも言うように


〈そういう事でしたか、なら変装魔法は私がやってもいいですか?〉


「物分りが早くて助かるよ」


〈マスターに造られた最高傑作です それに数少ない、マスターのお役に立てるチャンスですから〉


ふふ、と彼は笑う


「それもそうだね、じゃあ、よろしくね」


〈はい〉

うれしそうに答える腕輪──レヴィンは、彼の足元に金色の魔方陣を展開させた



〈どうでしょうか?〉


彼──リーディは、自分の姿を確かめていた


「・・うん、バッチリ ありがとう」


〈この位、サポートロード、できなくては主の支えなど不可能です〉



「そう・・だね」

少しぎこちない笑みを浮かべると、上空に円盤状のものがある、ビルに入っていった



この時、レヴィンは考えた〈マスターの感情が喰われていっている〉と





入り口からすぐ側の、受付嬢の下へ行き、問う


「すいません アンサ=ナイアントの部屋は何処にありますか?」


「・・何故ですか?」


「私アンサの兄でして、少し様子を見たいな、と」


顔をしかめていた受付嬢だが、この言葉を聞くと、「成る程」という顔で、答えてくれた



「あちらの訓練舎の005番になります」

「ありがとうございます、では」


僕は早く妹に会いたいというような顔と仕草を見せ、さっさと訓練舎に向かった






コンコン


と、[005]と書かれた扉をノックする


部屋の中から「どうぞ」と聞こえたので、中へ入る


「失礼します」


「・・何方ですか?」


「貴方の兄・・という事にしていてください」

「何のことだっ! 答えろ、貴様は何者だ!」


ピッ、と二本の短剣をこちらに向け、構える




すると、アンサの顔が驚きに変わっていた


「貴方はもしや・・師なのですか?」


「正解、腕を上げたね」

「・・ハイ!」


パッと笑顔になるアンサ

その瞬間、変装を解く



「師よ、この時期に来るとはもしや・・」

「その通り、僕と一緒に来ない? ・・とても辛く険しい道のりだけど」


「勿論です、どんな道であろうと、師に着いて行きます」



「そう ・・今日はお別れ会?があるんだったよね」

「そうですね・・これからですね」


「うーん、じゃあ・・・」





「こんな流れでいい?」

「それはまた・・面白そうですね」


僕の提案に、悪そうな笑みを浮かべるアンサ


「・・でしょ?」


僕も、悪そうな顔をする





「「ふふふふふふふ・・・」」



この二人、あまり良い性格ではないようだ・・






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