第21話 10年
「ふふ、ははっ、あははははははっ!!」
やっぱり、面白い
壊す事が
1人の少年がある惑星の小さな村を襲っていた
最近、惑星を壊さなくなった
何故か「それだけは」って、心の奥で言っているんだ
「僕は別に構わないのにな~」
だから僕は、イキモノを壊す事にしたんだ
一気にやる事もいいけど、それだと僕がつまんないからね
「この村も、もうお終い? 次、行こっと」
動き出そうとしたが、ふと動きを止める
「・・そろそろ? あーあ、つまんない」
そう言うと、少年の背にあった黒い翼が消えていった
「・・また、やってしまった・・・」
〈私が、頑張って犯罪者を襲うように、上手く言っておきます・・それに、マスターのせいではありません、Aeternam solitudinem《永遠の孤独》がしているだけ、マスターは悪くありません〉
「ありがとう・・・レヴィン」
破壊している彼はスリーデニィ=タンティース 壊れてしまった彼の心そのもの
僕の・・前世らしい
「だけど、この翼って一体なんだろう・・・?」
僕がそう言った瞬間、意識が無くなった
「あははっ、レヴィン、いい所はない?」
〈第15世界バリーゼのラムザクヤ 第1259世界ファイゾのルワラガ が良いかと〉
「分かった! どんな所か、楽しみだなぁ!」
どれだけ、僕を傷つけられるかな
どれだけ、イノチを奪えるかな
どれだけ、絶望に染まってくれるかな?
僕は瞬間移動して、その場から去った
† † † † †
~ユズキSide~
「・・見つかった?」
今は小学5年生の夏休み、だからゼリスクで任務をこなしたりしてるよ
「いや、私の所には何も」
「そう・・ですか」
雪矢君は保護惑星とかを、壊してしまったので犯罪者扱い
だから探せる・・嬉しいような、悲しいような感じなの
「あーあ、どこ行ったのかな?」
「本当、彼はどこに行き、何が目的なのか・・分からないな」
~Side-out~
† † † † †
時っていうものはあっという間
特に、Aeternam solitudinem《永遠の孤独》、覚醒後からは・・
もうあれから10年経った
だけど僕はあの時から全然成長していない
〈あれから10年ですね〉
「そうだね・・ 最近表に出れる時間が多くなって、嬉しいな」
僕は少しだけ笑った
〈彼のおかげで、マスターは感情を取り戻しましたね〉
「ふふ、でも失ったものも多かったな でもこうして泣いたり笑ったり出来る事が出来て嬉しいよ」
苦笑しながら僕は言う
Aeternam solitudinem《永遠の孤独》が覚醒してから、僕は少しずつ感情を取り戻してきた
5歳の時に失った、感情
今までは自分の都合に合わせて作ってきた表情
今は自然と笑ったり、涙を流したり出来るようになった
〈マスター、どうしたらこの呪い・・魔法を解くことが出来るのでしょう?〉
「うーん、まだ分からないんだ こればっかりは」
〈そうですか ・・後、どの位は持ちます?〉
「今日中は大丈夫 そう交渉した いくらあのリーディでも、約束は守る人だからね」
〈だからリーディさんは破壊を最低限に留め、犯罪組織を潰すのですね?〉
「それに飽きてきたらしいんだ こっちにしては嬉しい限りだ」
今日はまだ午前中だ
10年ぶりに、あの人達に会いに行こう
† † † † †
~ユズキSide~
「はい!午前はここまで! 午後になったらまたここに集合!」
『ハイ!』
そしてマーレちゃんと私しかいなくなった訓練室に、私はその場に座り込んだ
「ふー・・終わったぁ」
皆優秀だから、ちょっと大変
「そうねぇ、そろそろ私達で部隊でも作りたいわ」
「あ、それいいかも、アールちゃん達も誘ってみよう」
その時、訓練室の扉が開いた
「私達が何だって?ユズキ教官」
「あ、3人共!」
入ってきたのはアールちゃん、ソーミィちゃん、星武君の三人だった
私達は3人にさっきの会話を伝えた
「へぇ、面白そうだね」
「私もお姉・・アール秘書補佐と同感」
「俺もいいと思うよ、2人の生徒人数は確か・・5人だっけ?」
補助型のトラーイア=ヒルーリアちゃん
遠距離型のスペルヴ=リンキエー君
同じく遠距離のイキュリー=エリシュちゃん
接近型のアンサ=ナイアントちゃん
広域・支援型エン=ヴァイアン君
皆結構バラバラだから疲れるのよね・・
「うん、5人」
いきなり私達の中央に光が現われた
それはだんだん人の形を成して行き、一番会いたかった人の姿に変わった
~Side-out~
† † † † †
あれ、僕、中央に転移しちゃったのか
「お久しぶりです、皆さん」
僕は苦笑しながら言った
『雪矢(君)!!?』
まぁ、反応は予想通りだけどね
「雪矢、ここに来て大丈夫なの?」
「マーレ ・・今日はね」
すると3人が目を潤ませていた
「望月大丈夫か?お前一級犯罪者として指名手配されてるぞ?・・顔だけだから指顔手配か?」
「星武・・僕がそう簡単に捕まると?」
ふふ、と笑ってみせると星武は
「ハハッ、そりゃそうか ・・俺はイズリとウルス管理長を呼んでくる」
そう言って星武は訓練室を出た
「ふーん、副管理長・・それに不愉快じゃなくなった」
「「「うぅー・・今まで何処に言ってたのー!!」」」
涙をボロボロ流しながら言う3人
「遠く、誰も居ない世界とか、犯罪者達の命を奪ってた・・かな? 彼が」
「「「「彼?」」」」
僕は頷いた
「そう、翼がある時の僕だよ」
「ふーん・・にしてもその髪と目、恐ろしいわ」
「あぁ、これはまぁ、仕方が無いよ」
「そういえば雪矢、笑ったり出来るようになったの?」
一番早く立ち直ったソーミィが僕に言う
「あぁ、彼のおかげで、感情をまた出せるようになったよ」
「「また?」」
「うん、5歳の時に失くしたんだ」
僕がそう言うと訓練室の扉が開いた
「「・・雪矢君!」」
イズリ秘書、ウルス管理長 そして星武だ
3人は走ってきたのだろう、息が上がっていた
「お2人も、お元気でなによりです」
「今は、大丈夫なのか?」
「今日は大丈夫ですよ」
「・・雪矢、君は何故惑星を壊している?」
イズリ秘書が言う
「多分、孤独、絶望、闇を望んでいるから・・」
「多分?自分でやってるんじゃないの?」
僕はこの10年の事を大まかに説明した
「なるほど、スリーデニィと名乗ったのはそのせいか」
「その時はまだ自覚してなかったんですけどね」
僕は苦笑しながら言う
「イメージ、本当変わったよ」
「でもまた、無くなってくと思いますよ?」
「・・そうなの?」
「きっとそのうち、負の感情に喰われてしまうからね」
「にしても望月は変わんないな 俺等は色々デカくなったのにさ」
「僕はまぁ、堕ちるとこまでは堕ちたかな?」
「雪矢ならその内底を突き破りそうだ」
イズリ秘書が軽く冗談を言う
「・・それは僕ではなく彼に言って下さい、僕はへこみますよ」
少し笑いが起きた
「「「「「失礼します」」」」」
もう午後の訓練時間?僕居たら大変な事にならない?
だって星武が「一級犯罪者として」って言ってたね
「あ!貴方は指名手配犯!? 何故こんなところに!!」
「わわ、イキュリーちゃん、皆待って」
「ユ、ユズキ教官! ですが・・あいつは一級犯罪者なのですよ!?」
「言う事は聞きなさい!」
マーレの鉄拳がイキュリー=エリシュに下った
「うぐ・・マーレ教官」
「落ち着いた?」
「はい」
「でも何でここにいるのかなー?」
「星武副管理長もいいんですか?あんな人ココに居て」
「事情があるんだ、それを聞こう ・・望月、俺等よりも詳しく、頼めるか?」
「分かった」
こうして若手5人へ僕の事を言う事にした




