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魔法と闇と絶望と  作者: 凛莉
第一章 ~歪み~
18/70

第17話 1人の少女


ここは何処だ?


真っ暗で何も見えない


夢の中にいるのかな?




───違う、これは僕の孤独だ


自分で闇を作って人を遠ざける


人と関わろうとしない


誰か死のうと、泣く等の感情もない


化物の僕はここに居なければならない


本当は存在してはならないのだから



・・スピリーツ=ディスチェラーチオ


君は今、何処で何をしているのかな?










◇ ◇ ◇ ◇ ◇









「ちょっと、付き合ってくんない?」

「いいけど、何で?」


僕は幼馴染の女の子、スピリーツと話しをしていた所だ


「ちょっとね、会わせたい人がいるの」

「会わせたい人?」

「それは会ってからのお楽しみ~」


一体誰なのかな?


手を引かれ、僕はスピリーツと一緒に歩いた


道中、スピリーツはこんな事を言った


「魔法って、信じる?」

「マホウ?」


魔法って、何?

「魔法って言うのはね、空を飛んだり、何も無いところから水とか火とか出せるんだよ」

「へー、凄い! でも何でスピリーツが知ってるの?」

「・・・まぁね」

そう聞くと、ちょっと困った顔をして黙ってしまった


何かいけない事でも聞いちゃったのかなぁ?


気が付いたら僕の近くには人で溢れていた

スピリーツが手をギュッと握ってくれてるから迷子にはならないけど・・・


そういえばココって、城下町?

だとすると大分歩いたなぁ 僕の家とスピリーツの家からは1時間位掛かるから



その間もスピリーツと僕は人ごみの中を歩っていった


「・・ぷはぁっ」

「うー・・もう人ごみは懲り懲りだよ」

やっと人ごみを抜けられた 風が気持ち良い


「そういえばスピリーツ、ここは何処?」


「ここはね、城の門の前よ」

「ふえぇ?」


「ほらそこ、門番がいるでしょう?」

「・・えええぇぇぇ!?」 

何で僕らはこんな場所にいるの!?


「ちょ、え、すぴり、つ、な、で・・・」

「ふふふっ、リーディ慌てすぎよ」

そう言って慌てる僕の頭を撫でる

スピリーツは僕の2歳上、しかも身長が高い

頭一個分くらい差がある


「はぁ、えーっと、スピリーツ、 なんでこんな所にいるの?」

そう聞くとスピリーツは待ってましたとニヤッと変な笑みを浮かべる

・・・とても怪しげだ


「最初に言ったわよね?会わせたい人がいるって」

「ま・・・まさか?」

「そのまさかよ、リーディ 会う人はね・・・」


スピリーツの言葉を最後まで聞けず僕の意識は驚きで飛んでいった


















「・・・ここは?」

目が覚めて最初に見たのは白い天井

ベットに寝ているようだ


だけど僕はさっき外で・・・


そうだ、スピリーツは!?


「ん・・リーディ、起きた?」

声のする方を見る


そこにはスピリーツが目を擦っていた

「スピリーツ、ここは?」

「城の医務室よ」

薄々感じてはいたものの・・やっぱり?


「スピリーツ、君はフィデム王と何か関係があるの?」

「ま、遠い親戚よ」

親戚なら仕方が無いね


「そっかー、親戚か」


コンコン


扉の叩く音が聞こえる

「どうぞー」


扉を開けるとそこには豪華な服を纏った僕位の男の子が立っていた


「あら、ポプラリス王子 久しぶりね」

「スピーリツ!公の場以外では王子を付けるな!」

ちょっと怒った口調でスピリーツに寄る


「・・私──僕とスピリーツの差が出来てしまうのが嫌なんだ・・・」

哀しげな表情をしながらポプラリス王子は言った


「・・・スピリーツ、話が読めないよ」

「「あ」」


どうやら僕は忘れられていたようだ

・・泣いてもいいかな?


「君がスピーリツの言ってた、リーディ?」

ポプラリス王子が尋ねる


「僕がスリーデニィ=タンティース リーディって呼んでください」

僕は笑顔で答えた

すると彼も笑顔で言った


「僕はポプラリス=ポプル・ケィレリーム 公の場以外ではポプラリスって呼んで!」


「じゃあ、よろしくね!ポプラリス!」

「こっちこそ、よろしく!リーディ!」


その後僕とスピリーツとポプラリスで雑談をした

とても楽しかった




「リーディ、もうすぐ日が暮れるわ、帰らないと」

「「えーもっとポプラリス(リーディ)と遊びたいー!」」

「また今度、絶対会えるから ね?」

「むぅ・・」

「じゃあ、また今度ぜぇぇぇったい遊ぼうね!リーディ」

ポプラリスが笑顔で言う

それに対し僕も


「絶対遊ぼうね!ポプラリス!」

最高の笑顔で答えた












月日が流れ 魔法という物が世界に広がり発展した時代


フィデム王が病で亡くなった 70歳だった


その頃僕とポプラリスは18歳になった あの頃はまだ8歳

初めて会った頃と10年経った


ポプラリスは王位を継ぐ為何かと忙しい

スピリーツは行方不明

どこに行ったのか、分からない


だけど彼女は絶対生きている

そう、思った



そしてある日、僕の親戚、ルエ=ディブルが死んだ

ルエは僕の面倒を良く見てくれた

スピリーツに魔法の事を教えたのも、ルエだという


ルエは明日、僕のところにマジックソルチェと魔石という物をくれる筈だったんだ

そしてある事が起こった

国民がクーデターを起こす計画を立てていたのだ


力があるものが上に居るべきだ

今の王は頼りない

我らがこの王国に居るべき存在だ と


だから僕は、ポプラリスの護衛となる、前日

とうとう国民達・・・バケモノが王室へ乗り込んできた

僕はその頃、まだ王室から遠い所にいた


時折見た、クーデターの一員の国民達はもう人間では無かった


非力な民を惨殺し、笑っていた

その顔はとても酷く歪んでいた


王も、この国民達はもう国民ではなく、王国の害と見なしていた


「王を殺せ!」

『殺せ! 力あるものが頂点に立つ! 頼りない王は殺せ!!』

僕が王室に着いた時には、今にも襲ってきそうな状態だった


「ポプラリス王、遅れてすみません」

「リーディ早く逃げろ この国から・・!」

良く見るとポプラリスの体はボロボロだった

国民を助けるために戦っていたのだろう


このままではポプラリスは何にせよ死んでしまう

僕はそれが許せなかった


「ふざけるな、屑にポプラリスを殺させない 国の害は排除するべきだ」

「リー・・ディ 私は・・もう駄目・・のよう・・だ」

「ッポプラリス!?」

ポプラリスは肩で息をしていたが、息をするのももう辛いようだ


「リーディ・・最期に・・君と・・会えて・・うれしかっ────」

その言葉を最後に、ポプラリスは動かなくなった


死んだのだ


親友が


誰のせい?


目の前に立つあいつ等のせいだ


スピリーツもあいつ等のせいで行方を晦ましたんだ


許せない、許せない


「王が死んだ! これで国は我らの物!!」

わぁぁぁぁぁっ!!



何故人を殺め喜ぶ?


許さない


許さない


「許さない・・お前等全員皆殺しだ」

僕の体から力が溢れてきた

白かった髪が灰色に変わり、翡翠色の目が金色に変わった


そして背中から、灰色のような、黒のような、闇のように暗い翼が現れた


「何だテメーは!お前等!殺してやれ!」


僕に向かって武器、魔法を使って来るバケモノ

僕に触れる前に全員吹っ飛ばされた


「な・・!?」

「これで、終わり」

バケモノの足元から黒い魔方陣が現われ、上から刃物が、下からは黒い手が逃げないように掴んでいた


全員これで死んだ

「ふふ・・ははっははははははははは!!」

「ばけ・・もの・・・め・・」

最後の1人が僕の事をバケモノと呼んだ


「何を言っている、バケモノは君達だよ?」

僕は笑顔でそう答えた


そして何日経った時か、僕の姿は元に戻っていた


「う・・あぁ・・・」

そして目の前にしたのは、死体の山


生きているのは自分たった一人だと


・・孤独感が僕を襲った


「うわあああああああああああぁぁ!! あああああああああああああぁぁぁ!!!!」

物凄い声を出しながら僕は泣いた


泣き続けた


ポプラリスを殺したのは確かにあいつ等のせい

だけど、それを殺したのは誰だ?


・・僕だ


そして僕はあいつ等を殺した後、何をしてた?


・・笑ってた


最後の1人が言った言葉は?


・・バケモノだ と


その後僕は何て言った?


・・バケモノは君達だ と笑顔で言った



そして、その結果が今なのだ


「皆、僕のせいか・・ 僕が居たから、こうなった 僕が居なければ皆死なずに済んでいた 僕のせい・・僕が、孤独じゃなかったから、皆に甘えていたから・・・こうなったんだ」


もう僕はそうとしか考えられない


僕が居たから、僕は存在するべきものではなかった 存在して、孤独で無かったから

この結果



そして僕は一つの魔法を創った “Aeternam solitudinem《永遠の孤独》”という僕だけの魔法


これには僕の悲しみ、虚しさ、絶望 全てが詰まっている、“闇”そのもの


それを僕は創り、自分の奥の奥、とても深いところに封印した


そのまま僕は永遠の孤独と共に、永遠の眠りについた


「ポプラリス、もうすぐそっちに行くからね・・スピリーツ、君は今、何をしているのかな・・」







僕はこれを最後に、目を閉じた

意味深でもないこの話


ちょっと長かったかな?


文才ある人って本当凄いよ

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