地獄の始まり②
レイオスのとある建物。
「私を呼び出してなんのようですか?」
「話す前に茶菓子でもどうだ?」
頭がハゲた60歳くらいの男が椅子に座りながら言った。頭には大きな火傷の傷が残っている。彼の名はゲルト・ローベルト。
「相変わらずですね。ゲルトさんは」
「そうか?アリアもあまり変わってないように見えるが」
アリアはソファに腰掛た。
「それでお話というのは?」
「昨日の依頼は見事だったと言いたいところだが……やりすぎだ。後処理班が殺し屋の連中は品がなさすぎる、後処理をする俺たちの身にもなってくれと怒っていたぞ」
「それは失礼しました。ですが、このためだけに私を呼んだわけではないんでしょ?本題に入ってもらえませんか?」
するとゲルトの表情が真剣になった。
「依頼を頼みたい」
「依頼?」
ゲルトはアリアに書類を手渡した。書類には写真が貼ってあった。
「ゼビア・オーウェン?・・・・確か3大商会の1つのオーウェン商会の商会長よね?」
「そうだ。奴は稼いだ金を裏の奴らに回している」
「それは許せないわね」
「あぁ。おそらく、兵器の製造に使っているのだろう」
「なるほどね。それは早く止めないとね。でも捕縛ではなく殺害に踏み切った理由があるんじゃないの?」
するとゲルトは険しい顔はさらに険しくなった。
「これにはエレナが関わっている」
その言葉が発せられた瞬間に空気がひりついた。
「分かりました。この依頼オリオンで引き受けます」
アリアの目には何かが宿っていた。それは復讐の目か?それとも…………。
♢♦︎♢♦︎
レイオス郊外の隠れ家。
そこでは少女たちがボードゲームで遊んでいた。
「よっしゃ!1番乗り」
「またフレアの勝ちだよー。強いよー!」
「はははははは。だろ!このフレア様にかかればボードゲームなんて余裕なんだよ」
「脳筋のくせに」
「あぁ?なんか言ったかノエル?」
「別にーー。脳筋のくせにって言っただけ」
言い争いはいつものことなので私は無視をした。そして次が私の番だったのでサイコロを振るとピッタリゴールに辿り着いた。
私は少し嬉しかったので小さく「やった!」とこぼした。
「すごい!ティアも毎回2番じゃん!」
「ティアちゃんまで……」
「はははははは。いいねぇ!レイナもゴールしてクソノエルを最下位にしようぜ」
私がサイコロを振ろうとした瞬間にアリアが戻ってきて話があるとみんなにボードゲームを片付けさせた。
「で?なんだよアリア。今いいところだったんだぜ」
「そうですよリーダー。私、ゴールできそうだったんです」
「仕事の話よ」
そういうとみんなの目が真剣になった。
「2日後にゼビア・オーウェンを殺す」
その一言でフレアの目には炎が宿った。
「ゼビア・オーウェンといえば商会長様じゃねぇか。いいね。金持ちはみんな大嫌いなんだよ」
「どういうことですか?ゼビア様を殺すなんて」
「レイナちゃんの言うとおりよ。どういうこと?」
「ゼビアは裏で金を横流ししている」
その一言でレイナとノエルは納得したようだった。私にはよくわからなかったが、レイナが納得しているならそれでいい。
「この依頼なんだが、フレア、ティア、レイナの3人に頼みたい」
「おぉよ!」
「任せてください、リーダー」
「わかった」
するとノエルが口を挟んだ。
「私は何をすればいいのかしら?」
「ノエルには別の依頼を頼みたいの」
この時のアリアの顔は真剣じみていた。
♢♦︎♢♦︎
ゼビア殺害の日。
私たちは武器の手入れをしていた。
「ティア、今日の依頼どう思う?」
「どうって?」
「リーダーの雰囲気がいつもと違った。それに……ノエルにだけあの場で依頼について話さなかった。なんかあると思わない?」
すると横からフレアが入ってきた。
「ノエルには荷が重すぎただけだろ。まぁ気にすんなよ。最年長の私が全部解決してやっからよ」
フレアの言葉を聞いてレイナは少し安心してるようだった。フレアはオリオンの中でも戦闘能力に関してはアリアの次に実力者だ。
しばらく沈黙が続いたあと、
「よっしゃ行くか」
フレアの掛け声で一斉にゼビアの屋敷へと向かった。
♢♦︎♢♦︎
アリアは机で眠りについていた。そしてこんな夢を見た。
周りが炎で覆われている。左端にはクリーム色の髪の少女が倒れていた。そして右端には赤髪の少女と白髪の女が血を流して倒れている。アリアの前に橙色の髪を持ち左眼に眼帯をした少女が立っている。
「なぁアリア、この世界で争いが終わらない理由がわかるか?」
「ハァハァ。なぜこんなことを?」
「わかっちまったんだよ!弱い人間がいるから争いは生まれるんだ・・・だから殺す」
橙色の髪をした少女は不敵な笑みを浮かべていた。
「ハァハァ。争いを終わらせるために関係のない人を巻き込む?笑わせないでそんなんじゃ世界は平和になんかなりはしない」
「はははははは。お前もあいつと同じことを言うんだな。ヘドが出るんだよ」
アリアに向けて橙色の髪をした少女は蹴りを入れた。その蹴りはアリアのみぞおちにささる。
「ガハッ」
アリアの口から血が出る。
「はははははは。最高だな。おいアリア、お前には1番ムカついてたんだよ!」
次から次へと蹴りが体に突き刺さっていく。アリアはなすすべがなかった。アリアの体中にはあざができた。
「ハァハァ」
「はははははは。これくらいじゃ死なないでくれよ。私をもっと楽しませろよアリアー!!!」
アリアはさらに殴られた。すると後ろから男が出てきた。もう火が回っていてどんな姿なのかよく見えなかった。
「さっさとトドメをさせ」
「チッ。わかったよ。じゃあなアリア・・・・死ね」
今までに橙色の髪の少女は1番強い蹴りをアリアに向かって入れた。アリアは吹き飛び壁に叩きつけられた。
「エレナ……」
アリアは橙色の髪の少女に向かって手を伸ばして言った。その声はあまりにも小さく彼女には届かなかった。男と少女はその場を後にする。
この場所は炎に包まれた。
アリアは眠りながら呟く。
「エレナ……」
アリアの目からは涙がこぼれ落ちていた。




