一蹴 米
サクマヒメ
「日本国民のみんなが米が高くなって困ってるんじゃあああああああああああああああああああああああああああああああ。可哀想だからサクマヒメが作っていた米をみんなに安く売ってあげるんじゃあああああああああああああああああああああああああああああああ」
サクマヒメは自身が育てていた稲から作った米を皆に安値で売り始めた。安い米が欲しい皆はそれに飛びつき、サクマヒメブランド米は一瞬で売り切れた。
「売り切れたからまた作るんじゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。みんな待っててくれええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ」
サクマヒメは需要に追いつくように頑張って米を作っていた。サクマヒメのミラクルパワーにより、通常よりも早く稲穂から米が穫れるようになっていた。そして作りまくり売れまくりの日々を過ごしていたら、
「億万長者になったんじゃ」
「ふむ、具体的にはどれくらい」
「ごにょごにょ」
「くれ‼」
「ストレートに欲してきたな、貴央先生‼」
「ああ、実は家を買ってしまったせいで、割と生活がピンチなんだ! 幻野くんも養わないといけないし!」
「貴央先生にはお世話になっているから、これくらいならあげてもいいんじゃ」
「豊穣神‼ マジ豊穣神‼」
貴央先生はサクマヒメから万札を沢山貰う。生々しい光景だ。教師が生徒に貢いでもらうという。
「まんこ舐めましょうか⁉」
「いや、そこまで遜らんでも」
「いつでもウチに来てくれ‼」
「ああ、それは嬉しい」
ちなみにここは保健室で、今は休み時間だ。最近貴央先生は家を買ったため、保健室にいる時間が少なくなった。とはいえサッカー部の顧問という新設定も生えたため、そこまでサクマヒメらとの交流の機会が減少した訳でもない。
「しかし、お前は意外とドライだよな」
「何が?」
「いや、ドランゴのことだ」
「ああ」
そう、ドランゴは実はハーハラという異世界人の女の子だったのだ。サクマヒメは卵を拾って孵化してからずっと面倒を見てきた訳だから、全く思うところがない訳では勿論ない。
「可愛かったのう、ハーハラ」
「サクマヒメ」
遠い目をするサクマヒメに、貴央先生は何を思うのか。
「まあそんな深刻な顔をするな。幻野くんをこっちに送り届けたのもハーハラちゃんだし、絶対また会えるさ」
「ん? ああ、そうじゃな。ワシも向こうの世界行ってみたいのう」
「ああ、それは私もだな。てか、行ってみるか?」
「え」
サクマヒメはきょとんとするが、
「いや、不可能では全然ないだろ。幻野くんが向こうとこっち行き来してるんだから、私達だって彼に頼めば向こうに行けるはずだろ」
「まあ、理屈の上ではそうじゃが。マジで行くのか、貴央先生」
「ああ。私とサクマヒメで異世界攻略しようぜ‼」
サクマヒメと貴央先生は拳を打ち鳴らす。こうして二人の異世界攻略が始まる。のだろうか。まずは幻野くんに頼まなければ。と貴央先生は胸を高鳴らせる。小さな胸を。
空久貴央