第8話「革とレースの戦い! ファッションデザインバトル、開幕」
晴れ渡る放課後の教室。
手芸部の部室が、今日だけは特設のバトルステージと化していた。
机には革、レース、刺繍糸、スワロフスキーのラインストーン……
ファッションデザイン研究会の橘詩織が自慢の道具を広げる。
「今回のテーマは、“春の特別イベント用ハンドバッグ”。
機能性よりも芸術性を重視したデザインを求めるわ」
志乃は一瞬戸惑ったが、すぐに気持ちを切り替えた。
「かわいくて、みんなが“ほしい”って思うバッグにする!」
真宵もにっこり微笑んで言った。
「今回も全力でいくわよ!」
【バトル開始】
「時間は90分。では……スタート!」
二人は一斉に布や革を裁断し、針を動かし始める。
詩織は革の質感を生かした精密なカットとステッチを早業でこなす。
「素材の良さを引き出すのが腕の見せどころ」
志乃は前回の経験を活かし、レースやリボンを大胆にあしらったデザインを描きながら裁縫を進める。
「かわいくて、でも実用的。みんなが持って幸せになれるバッグに!」
真宵はレーシングコードを使って、機能的な開閉機構を縫い込んだ。
【事件発生】
時間が経つにつれ、詩織の革のバッグがどんどん形になっていく。
志乃たちの作品も負けていないが、焦りが見える。
そんな時、志乃のバッグのフリルが突然ほつれ始めた。
「あっ……」
「大丈夫? 志乃!」
「あああ、糸が切れたみたい!」
急いで修復しようとする志乃だが、時間は刻一刻と迫る。
【ラストスパート】
真宵が持ち前の集中力で応援しながら、志乃も必死で縫い直す。
「これが、かわいいの底力……負けられない!」
そして……
「時間です!針を置いてください!」
【審査】
美術教師が二つのバッグを見比べる。
「詩織さんの作品は革の質感と技術が素晴らしい。芸術的完成度は高い」
「対して志乃さんのバッグは、かわいさと実用性がバランスよく、温かみがある作品です」
「審査は……同点です!」
【結果に思うこと】
詩織は冷静に微笑み、
「あなたたちの“かわいい”は、確かに力を持っているわ。これからも切磋琢磨しましょう」
志乃と真宵はお互いの目を見て、心の底から笑った。
「かわいいは、戦える」