第6話「“縫い合い”開戦!時間内に作れ、かわいいと本気のフリルバッグ!」
手芸部部室兼バトル会場に集まった生徒たち。
机の上には色とりどりの布、リボン、レース、ボタン、針、糸……そして制限時間を示すデジタルタイマーがピカピカと光っている。
「これが……“縫い合い”か」
志乃は気合を入れ直し、糸巻きのミシン針を手に取った。
隣の真宵も、静かに深呼吸をする。
「みんな、今回のテーマは“春のおでかけバッグ”。かわいさと実用性の両立が求められるわ」
「かわいいだけじゃダメってこと?」
「そう。かわいいだけじゃなく、縫製の丁寧さ、使いやすさも審査基準に入るから、気を抜けない」
そこに颯爽と現れたのは、生徒会の裁縫バカ一代、縫ノ森シズカ。
「時間は60分。開始の合図で縫い始めなさい」
「わかった!」
「いくよ!」
タイマーがカウントダウンを始める。
「3、2、1……スタート!!」
【縫い合いバトル開始】
針が布を縫う音、糸が巻かれる音、時折かすかなため息。
志乃はかわいさを大切にしつつも、きちんと実用的なポケットをつける。
真宵は持ち手の縫い目を何度も確認し、丁寧にフリルを飾り付けた。
「かわいいって……甘いだけじゃない。だからこそ、本気で挑まなきゃ」
シズカは黙々と縫い続け、素早く型紙を使い、完璧なラインを作っていく。
「(あの人、本当にすごい……)」
タイマー残り15分。
突然、糸が絡まり、志乃のミシンが止まった。
「うわあああ、やばい!」
真宵がすぐさま駆け寄り、手伝う。
「落ち着いて、こうやって糸を引っ張って……よし、動いた」
「ありがとう!」
【勝負の行方】
カウントダウンが迫る中、志乃は最後の仕上げに集中。
「フリルはたっぷり、でも軽く」
「真宵、ボタン持ってきて!」
「はい!」
タイマー「残り10秒……5秒……3、2、1……終了!」
「はい、針を置いて!」
全員が作品を差し出す。
美術教師(猫好き)がじっくりと審査。
「どれも素晴らしいですが……」
「このバッグはかわいさと実用性のバランスが完璧です。
技術も高く、使い心地も良さそう」
「それは……志乃の?」
「そうです」
シズカが静かにうなずいた。
「認めます。あなたたちの“かわいい”には、職人の心が込められている」
志乃と真宵は顔を見合わせ、そして笑みを交わした。
「かわいいって、強いね」
「うん、戦えるね」