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第5話「生徒会からの刺客、“裁縫バカ一代”現る」

――試合翌日。昼休み。


 


手芸部部室(旧校舎・窓なし・エアコンなし)にて、志乃はぐったりと机に伏せていた。


 


「……腕、まだ筋肉痛なんだけど……。ぬいぐるみで筋肉に勝つ日が来るとは思わなかった……」


 


「“かわいい”には、潜在火力があるから」


 


「その理屈、もうちょっと科学的に説明して……」


 


そんな平和なひとときを打ち破るように、ドンッ! と部室のドアが開く。


 


「ここの手芸部、いるかしらァァアッ!!」


 


「うるさっ!? 誰よ!!」


 


現れたのは――


真紅のはかまスカートに黒Tシャツ。額には赤いハチマキ。

腰には糸切りハサミを二刀流。

背中には、**「縫魂」**と筆文字で書かれたタスキを背負った、謎の和風女子。


 


「……誰?」


 


「名乗りましょう!! 私の名は――」


 


「縫ノ森 シズカ(ぬいのもり しずか)」

生徒会直属、特別技能戦力“職人科目部隊”所属!

通称――裁縫バカ一代!!


 


「なにその設定モリモリな肩書き!?」


 


「あなたたち、“ゆるスポ大会”で筋トレ研究会に勝ったんですってね?」


 


志乃「まあ……一応」


 


「その行為、見逃せないわ! “かわいい”に名を借りた邪道が、手芸を踏みにじるなどあってはならない!!」


 


「……急に“職人警察”みたいなの来たけど!?」


 


「あなたたちの作るモノは、“かわいい”を盾にした甘やかし。

真の手芸とは、無駄をそぎ落とした完成美。技術と心が一糸乱れず込められていてこそ、“作品”と呼べるのよ!」


 


志乃「いや、言ってることは正論寄りだけど!!」


 


真宵ひそひそ「志乃、やばい。あの子、“本物”かも」


 


志乃ひそひそ「刺繍の手元、プロ並みに早かったよ……あとバッグの縫い目が完璧すぎてキモい」


 


シズカは背中から一冊のバインダーを出す。開くと、中には無数の「作品写真」と「完成タイム」と「評価」。


 


「見なさい! これは私が一年間で縫ったバッグとぬいぐるみの記録! 365点、すべてオリジナル型紙使用!」


 


「……裁縫をスポーツ感覚で数値化してる人、初めて見た」


 


シズカは卓上に布を広げると、一本の裁ちばさみを志乃たちに突きつけた。


 


「“かわいい”を掲げるなら、それなりの覚悟を持ちなさい!

次のバトル形式は、“手芸対決”――つまり、縫い合いよ!!」


 


「……その言い方、なんか殺し合いみたいで怖いんだけど!?」

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